オーストリア留学手続きまとめ

 大変でしたので、後に続く方の参考になれば。

 念願の志望大学の合格を、遂に勝ち取った喜びに浸っているヒマもなく、いつまでもバタバタと日々が過ぎていっています。

・住むところの確保を最優先。ディスカウントスーパー徒歩圏?

 入試から帰国して、まず最初に手をつけたのは、住居の確保。なにしろ入試で現地に行った時に、本人がネットで調べたり先輩にきいたりして、希望の物件を探したのですが、ここぞというところはどこも満室で、困り果てて帰国しました。

 そこで、入試前からお世話になっていた留学エージェントに費用を払って探してもらったところ、諸条件の良い物件が見つかりました。予算よりだいぶ高かったのと、完全に息子の希望条件と合致していない部分が少しあったのですが、すぐに返事しないとキャンセル!という売り手市場で、悩んだ末にそこに決めることにしました。

 決めてからだいぶたって、ディスカウントスーパーが3軒も徒歩圏にあることがわかりました。入試で暮らした時は、社会情勢の影響もあって物価高で生活に大変苦労し、げっそり痩せて帰国しました。その様子をみて、こちらも今後の生活費の予算立てを変更したり、金策を考えたりと、頭が痛かったのですが…これ、けっこうポイント高い!今度の所なら、安心して暮らせそうです。

・学生滞在許可の初回申請時の経済補償に、家賃差額と保険料も計上

 ところが、手続きを進めていくと、別の問題が浮上しました。オーストリアに行ってから申請する、学生滞在許可の経済補償です。

 基準となる月額生活費が決まっていて、それの12ヶ月分…というのは調べてわかっていたのですが、留学エージェントの滞在許可申請サポート情報で、さらに

-家賃にも基準額があり、その差額を計上する。

-医療保険料も、加算する。

ことが判明しました。これを入れると、月200ユーロ以上×12ヶ月分も増額になります。当初の予算では当然足りなかったので、金策に走り回る結果となりました。最終的にはなんとかなったのですが、これを知っていたら、家賃最優先で家探ししたのに、、、と悔やまれました。

 滞在許可の条件を、あらかじめよく調べてから行動しましょう。

・残存期間2年半のパスポートを10年へ切り替え

 息子は高2の時に、一人でヨーロッパへ行って、留学先を探す計画がありました。ところが、社会情勢で中止になってしまい、その時にとった5年のパスポートが、2年半という中途半端な残存期間になってしまっていました。

 ホームページなどで調べると、パスポート切り替えは、基本は残存期間が1年未満の場合のみ、とあります。または、申請する在留資格の期間に満たない場合は、1年以上でも切り替えられるが、それを証明する書類も必要、とあります。

 しかし息子の場合、留学先は大使館があるウィーンではありません。現地で期限切れを迎えて切り替え申請しようと思ったら、申請と受け取りにわざわざ高い特急料金を払って、ウィーンまで2往復もしなければなりません。行くだけで1日つぶしてしまいます。それに、必要書類を揃えるのだって、大変です。ただでさえ腰が重い息子の性格を考えると、思っただけで気が遠くなりそうでした。

 そこで、母は頑張りました!

 揃えた書類は

-旧パスポート

-入学許可書(PDFで大学から送られてきていた)とGoogleTranslateでの翻訳

- 合格した選考学科のホームページ(在学期間が記載されているページ)と同じホームページのブラウザでの翻訳(担当者が対照しやすいように)

-事情説明書(パスポートのホームページからダウンロードできます)

以上を持って、窓口につきそいました。けんもほろろにつっかえされるかと思いましたが、話をきいてくれ、「在学期間に足りないということですね」と県に問い合わせてくれました。

 すると「入学許可書に在学期間が4年間と記載がありません。」とおっしゃるので、『学士課程のホームページに「夏学期と冬学期」「8セメスター」とあります。つまり2期制で1セメスターが半年、8セメスターで4年になります。』と説明しました。隣で息子もウンウンと力強く頷いていました。(笑)このとき、対照しやすいように用意した原文と日本語訳のホームページを印刷した紙が、モノを言ったようです。

 再び県に問い合わせ、数十分待たされましたが、事情説明書に在学期間の説明を加筆して、切り替えOKになりました。10年のパスポートで、安心して旅立つことができます。

・犯罪経歴証明書の書類は問い合わせよう。

 パスポートを確保したら、無犯罪証明書、日本では「犯罪経歴証明書」は、住所地の警察本部に申請します。ホームページを見ても、必要書類は「お問い合わせください」。まあ、いろんなケースがあるんだろうなあ…入学許可書と、あと何だろう???

 と電話すると、とってものんびりしたおじちゃんの声で

「オーストリアで出される滞在許可申請書の、今わかるところだけ記入したののコピーを、持ってきてください。」

 え゛、それだけ?

 「はい、日本語訳もいりません。ドイツ語のままで大丈夫です。オーストリアに留学される方はこちらにたくさんいらっしゃってますので、大丈夫ですよ〜。」

 息子ちゃんも、びっくり。犯罪経歴の証明って、そんなもん?

 でも、警察本部です。その時の社会情勢によって、変わるかもしれません。行く前に、必ず電話して確かめましょう。

・入学前の航空券は往復で、シェンゲン回避

 最大の失敗は、これでした。

 入試の時、なにしろ毎日のように「物価が高い、お金が足りない」と予算を大幅にオーバーして送金したので、とにかく節約したくて、ろくに調べもせずに、キャンセル不可の片道の安い航空券(バンコク、ミュンヘン経由)を押さえてしまいました。渡航時期がちょうど観光ハイシーズンと重なっていて、ググると、安いチケットは情け容赦なく毎日消えていくのを目にして、なお焦りがつのってしまいました。

 いいえ、正確には、オーストリア大使館のホームページで「直行便でなければ短期滞在許可の申請が必要です」との文言は読んでいたのですが、留学のページは別になっていて、他にググってもそれに関わるような説明が得られなかったので、大丈夫なんだろうなあ、えいっ、と…

 留学エージェントの担当者から、めちゃくちゃ叱られました。直行なら6ヶ月いられるので、滞在許可が出るまで余裕だけれど、シェンゲンの他の国で入国手続きをしてしまうと、3ヶ月しかいられなくなって、間に合わない可能性が高いし、片道じゃそもそも飛行機に乗せてもらえないかも!

 エージェントさんもそれでもいろいろと調べてくださり、大使館とかけあったり、ドイツに問い合わせたり、オーストリアの留学担当専門機関に確認したり、大変なご苦労をおかけしてしまいました。

 あまりに大変なので、私もタイ航空に問い合わせたところ、「日本とタイでは片道でも乗せますが、ミュンヘンで拒否された場合に備えて、すぐにオンラインチケットを購入できるように待機してください」と言われて、目が覚めました。そんなに固いんだ、、、

 ドイツの対応については、外務省ホームページにも掲載があります

 また、タイ航空から、チケット本体以外の空港サージャージ代は返金する、と言われたことも、背中を押しました。決断の時です。

 そこで思いついたのは、逆に就航都市を調べること。ウィーンだとシェンゲン以外の国にも就航しています。最終目的地には、ウィーンから飛べばよろしい。そこで、バンコクからもウィーン直行便が出ていることがわかりました。

 他は、日本(高すぎ)、韓国(高い)、シンガポール(そこから先が売り切れ)、ロンドン(西回りは辛い)、トルコ(トルコ語がわからないので本人が自信ない)←タイ語だってわからないでしょ!?

・航空券は航空会社の公式サイトで

 善は急げ!

 その時たまたま、タイ国際航空日本地区コールセンターはクラスターで対応体制を大幅に縮小しており、電話がつながりにくいことこの上なく(2時間くらいかかりました)、思い余ってタイ本国のタイ国際航空コンタクトセンターの日本語対応に電話しました。

 事情を説明すると、若いタイ人の男性が、完全ではないけれども、日本語で一生懸命対応してくれます。オーストリアをオーストラリアと聞き間違え、それでも上司にかけあって「時間が合えば、スルーチェックインできると思います。」「あのー、オースト『ラ』リアじゃなくて、オーストリアなんですけど…」「あっ聞き間違えました!オーストリアですね!できます!できます!スルーチェックインできます!今お調べいたします!」と、私より興奮しちゃって、可愛い♪

 ところが「…お調べしたのですが、満席です。」と、ガッカリした声で応えてきました。おかしいな、さっき空席あったんだけど、、、

 そこで「もしこちらでチケットを別々に買った場合、同じスターアライアンスなので、スルーチェックインの扱いにしていただくことは可能でしょうか」と問うと、上司に確認して、可能であることが判明しました。

 それで、まずは「満席」と言われたオーストリア航空のサイトで、チケットを買いました。問題なく買えて、座席指定もできました。たしかに、あんまり選べなかったけど。

 あとはタイ航空。ググって「タイ航空」とあるサイトに行って、航空券を予約して…あれ?さっき使ったクレカが使えない!おかしいな?でももう疲れたし、買ってしまいたい!えいっ、他のクレカで決済…

 息子にメールボックスを確認してもらうと「エアパスってやつ?』

 いや、タイ航空のはずですが…

 ブラウザの履歴で確認したら、やられてました。Airpazという、聞いたことのなかった旅行会社でした。

 その日はもう疲労困憊だったので、翌日改めて確認すると、タイ航空と検索入力するとトップに現れ、開くといかにもタイ航空らしい紫の背景です。思いっきり勘違いしました。インドネシアの会社のようです。しかもググると、騙された、チケット予約されていなかった、というクチコミがちらほらと…

 心配だったので、タイ航空の公式サイトで確認すると、ちゃんと発券されていました。ただ、往路と帰路で別々の予約番号がふられていました。

 そして往路で、座席指定しようとすると、できません。旅客情報のタイトルが入力できず、「Mr.」が入らないために、情報を完成することができないからです。緊急連絡先等も入力できません。帰路の旅客情報にも、なぜかミドルネームが入っています。でも帰路はMr.が入力済みなので、座席指定は可能な状態でした。

 またも辛抱強くタイ航空に電話すると、いろいろなことが判明しました。決済はマレーシア、発券はサンフランシスコであること、旅客情報はタイ航空内の情報であって、チケットにはパスポート通りの氏名が表記されているので、渡航には問題ないこと、旅客情報の訂正は旅行会社を通さないと不可能であること。

 そこでAirpazの日本の電話番号に電話しました。自動音声案内の英語が聞き取れない!それでも頑張って英語で交渉しました。易しい英語で根気よく対応してくれる女性の後ろで、インドネシア語?でまくしたてる男性の声や、飛行機の音が聞こえます。すると、Airpazの公式サイトに、パスポート情報をsubmitしたら、旅客情報を変更します、と。

 で、言われた通りにAirpaz公式サイトでログインし、パスポート情報、つまりパスポートの画像データをアップロードして、SAVEボタンを押すと

「変更された情報はありません」でSAVEできません。

 当たり前じゃないですか。名前や国籍、パスポート発券国などの情報は、すでに入力済みで、これを変更したら、アップロードしたパスポート画像と一致しなくなります。

 電話しても、会員番号を入力すると電話をつないでくれません。メールを送っても、「オーダーに対応中です。しばらくお待ちください」と定型文が即答で返ってくるだけ。

 タイ航空の関西弁のお姉さんのけだる〜い「チケットの表記は何の問題もありません」という言葉を信じることにしました。が、ミドルネームが心配なので、Airpazにはしつこくしつこくメールで繰り返し連絡を入れていたら、途中から対応が急変し、Airpazからタイ航空に問い合わせたとのこと。すると、タイ航空のサイトの表示システムのエラーの可能性があるので、チケットには影響ありません、ご安心ください、とのお返事でした。なんだか玉虫色の結論ですが、どうしようもなさそうなので、これで手を打ちます。

 航空券を買うときは、本当に公式サイトかどうか、よくよく確認してから買いましょう。

 ちなみに心配だったので、往路のバンコクまでの座席指定は、追加料金を払って指定できる席を確保しました。もう、無事に渡航できさえすれば、何でもいいや、な心境に至りました。

・航空券をばらばらに買っても、スルーバゲージできました。

 さて、日本ータイと、タイーオーストリアの航空券を、それぞればらばらに購入しました。あとはスルーチェックインの確認です。

 タイ航空に電話して、辛抱強く待ち、スルーチェックインをお願いしました。すると、「スルーバゲージはOKです。荷物は最終目的地までお運びしますので大丈夫です。」ああ、よかった。

 ところがです。「スルーチェックインは、オーストリア航空のシステム次第。あちらのシステムがオープンならできますが、オープンではない場合はスルーチェックインできないので、タイでトランジットの際に、オーストリア航空の搭乗口でチェックインしてください。タイで出入国はせず、あくまでトランジットですので安心してください。」

 たしかに、オーストリア航空の公式サイトで、My Bookingsにアクセスすると、すんなり通ることの方が少ないです。システムが脆弱なのか、容量が小さいのか?何回もいろいろトライして、やっとログインできます。だから、ログインできた時を大いに活用して、座席指定したりダウンロードしたりスクショ撮ったり、計画的にアクセスしましょう(笑)。

 とにかく、荷物を持ってってもらえることだけ確保したので、いいことにしました。

  今は、社会情勢の影響で、国際貨物は船便のみ、それも6ヶ月以上かかるって…この冬に使う物は、渡航時に持っていくか向こうで買うしかないのです。だから、荷物を最終目的地まで運んでもらうことが、今回とても大切になりました。

・親の資力証明は

 学生の滞在許可申請と言えば、本人に収入がないのであれば、親の資力証明も必要と考えるのが、当然だと思います。

 ところが、オーストリアの学生滞在許可の申請では、本人のオーストリアの銀行口座に基準額がある残高証明書があれば、よいことになっている、といろいろなサイトで調べられます。留学エージェントも同じようにおっしゃいます。

 いや、でも、滞在許可の機関って、何言い出すかわからないことってあるじゃないですか?心配だったので、しつこく調べ回りました。でも、何もでてきません。本当かなあ?

 と思っていたら、ひょんなところから、というのも、滞在許可申請に必要な息子の戸籍抄本の翻訳をお願いしたオーストリアの公的認証通訳の方から、貴重な情報をいただくことができました。

・担当官の考え次第で、親の課税証明書を追加提出せよと言われることが実際にあるので、住所地を管轄する役所で課税証明書の簡易版を取得してアポスティーユまで準備しておくこと。

・翻訳はそんなに時間がかからないので、言われてからでも十分に間に合う。

・課税証明書の後で、親の給与明細書や銀行通帳のコピーを6ヶ月から1年分出せと言われることもあるので、備えておくように。

・アポスティーユ申請書の書き方

 日本の公的文書をオーストリアの役所に提出するには、外務省でアポスティーユというのをつけてもらう必要があります。

 戸籍抄本、課税証明書、がこれに当たります。

 戸籍抄本は簡単でした。本人の名前だけで申請できます。

 混乱したのが、課税証明書。アポスティーユの申請書は、まず始めにA「私は○○です。」と氏名を書く欄があります。次にB「書類が必要なのは××です。」と、またまた氏名を書く欄があります。

 戸籍抄本は翻訳の必要があったので、これだけ先に送りました。これだけなら、AもBも息子の名前ですんなりです。しかし今回、返信用封筒もあるから、親の課税証明書を、息子の犯罪経歴証明書に同封するので、どっちにどっちの名前を書くのか?

 素人的に考えると、Aが親でBが息子。だって、息子の滞在許可だもの。

 ところが申請書はその下に「何の書類ですか」ときいてくる。ここで混乱します。

 そこで、外務省の問い合わせ窓口に電話しました。対応したのは、日本語が母語ではない相談員。でも、いっしょうけんめい説明してくれます。

 封筒に連名は不可。申請するのは一人だけにまとめる。息子が二十歳未満なら、母親が申請すれば委任状は不要。父親の課税証明書の委任状だけでよい。

 いやいや、誰の滞在許可だよ。自分で書いて出せや。お母さんはサポートに徹します。

 最終的に、相談員さんと二人で読み合わせて確認しました。A息子、B親、なぜならアポスティーユが必要な書類は親の書類だから。両親の委任状をつければ、よろしい。

 なるほど!お役所的文言解釈に納得がいった瞬間でした。

・送金方法は?WISE本人確認はアプリで

 さて、大事な大事なお金の問題。どうやって送金するか。

 入試の時は、息子が調べてソニー銀行に口座を作りデビットカードを取得して、私が家族カードで預入をする方法で、向こうでATMから引き出していました。

 ソニー銀行で有難かったのは、送金が簡単だった以外に、そそっかしい息子が「キャッシュカードの暗証番号とデビットカードの暗証番号がどっちがどっちかわからなくなった」と、トランジットのヘルシンキから言ってきた時。ひえ〜そんなこと言われても、口座作ったのアナタでしょ!お母さん何にも知らないよ!!!

 こっちゃもう心臓が止まるかと思うほどに心配してたら、ウィーンからあっけらかんと「ソニー銀行のサイトでちゃんとリモートで確認する方法があったから、もうわかった」とメッセージ。さすが、世界のソニー銀行。いやあ、助かりました。

 しかし今回の渡航では、滞在許可申請のために本人がオーストリアで銀行口座を開きます。そこに送金するにはソニー銀行だと手数料がもったいないので、WISEマルチカレンシー口座を私が開きました。WISEデビットカードも作れば、ネット通販で購入物品を学生寮に直接送ることもできます。WISEなら、翻訳料や学費、家賃等の支払いも、安い手数料で可能になります。なんなら離日前に親子それぞれでWISE口座を開設すると、円から外貨への為替手数料のみで、振込手数料なしでやりとりできます。

 アカウント作成で大変だったのは、本人確認。WISEのサイトから送られる暗証番号をメモに書いて、それと一緒にWISEのサイト上で自撮りした写真を送信するのですが、スマホのカメラアプリの設定を最小サイズにしても「10MB以下のファイルをアップロードしてください」と表示されて、先に進めません。

 木曜日の夕方に始めて、金曜日も何度もトライして、土日挟んで月曜日。

 WISEから、本人確認を促すメールが届きました。もう一度やってみますが、どうしてもできません。そこで、状況を説明するメールを返信すると、それでも本人確認をしてください、とまたメールが。そこで、状況を細かく説明して、必要性も書き添えて返信したら、責任者みたいな人からメールがきて「パソコンで撮るか、スマホにアプリをダウンロードして撮影してみてください。なお2営業日が過ぎると、申請は自動的に拒否されます。」

 ひえーぎりぎり!

 慌ててアプリをダウンロードし、撮影して送信したら、あっさりできました!なーんだ、最初からアプリでやればよかった…

 しかし、アプリじゃないとできない、っていうのも、どうなんだろう?

 もう一つ、WISEを使い慣れないとあるあるな間違い発生。翻訳料やらいろいろ支払わなければならない見通しがたってきたので、WISEの口座に送金したら、「返金します」とメールがきました。どういうこと?

 電話で問い合わせをしたら、「WISEはまずWISEアカウントの方でどういう送金するかというオーダーを作ってからでないと、WISEの方でも送り付けられたお金をどうしたらよいかわからなくて返金になってしまう」とのこと。

 今回は初回だったので、WISE内で組み替えをしてもらえましたが、これは1アカウントにつき1回限り。次回からは返金になりますので要注意、とのことでした。はい、今後気をつけます。

 ちなみに、ソニー銀行やWISEヘ振り込む日本の口座は、auじぶん銀行を使っています。条件によりますが、他行宛振り込みが月10回まで手数料無料なので、便利です。これは本当にたまたまで、息子が留学志望を決めた時から、学資口座を別に決めて貯めていたのですが、auじぶん銀行ならコンビニATMが使えて便利だったから、という理由でここにしていたのが、ラッキーでした。

 他行宛振込手数料無料の金融機関は他にもたくさんあり、それぞれ使い勝手や条件が違いますので、よく調べてご自分に合うところを探されるとよいと思います。

 なおWISEは、WISEからの振り込み限度額が日本円100万円です。それ以上は複数回に分けて振り込む必要があります。またユーロ口座は3000ユーロ以上は口座管理料が発生します。計画的に使った方がいいですね。

・預け入れ超過料金でひと騒動

 お尻に火がつかないと動かない息子は、荷造りも前日でした。預け入れ荷物の超過料金がもうオンラインでは決済できなかったので、仕方なくタイ航空とオーストリア航空に電話して、超過分を支払いました。

 タイ航空は支払いサイト案内メールを送ってくれたので、それで支払って自動的にバウチャーが発行されました。

 オーストリア航空は「このお電話でクレジットカード情報をいただければ、こちらで決済いたします」とおっしゃるので、言われる通りにしました。

 さて当日、お見送りにきてくれた幼馴染の目前で、車のドアを乱暴に閉めて私の右手の中指と薬指を突き指にしたり、そのため高速道路をほぼ片手ハンドルで制限速度で走っていたらめちゃめちゃ煽られたり、カーナビが案内を間違えて空港周辺を3周もして親子喧嘩が勃発したり、いろいろありましたが、なんとかタイ航空のカウンターの長蛇の列に辿り着き、搭乗手続きです。接種証明書が前のパスポートのままだったので、急遽スマホ内で旧旅券の写真を探してことなきを得ました。

 問題は、その後。オーストリア航空のバウチャーがないと、スルーバゲージできない、とおっしゃいます。そう言われれば、バウチャーが届いていません。

 いや、一人でこの荷物を持ってバンコクの空港で9時間半は無理…慌ててオーストリア航空に電話しますが、延々とつながりません。タイ航空のカウンター前で、スマホを握りしめて立ち尽くすこと半時間、あんなに長蛇だった行列が跡形もなく消えた頃に、やっと電話がつながりました。

 予約番号を告げ、早口で状況を説明すると、電話の向こうも大慌て。すぐに確認してくれ、なんと外貨決済だったのでクレジットカード会社が「間に合わない」と決済不可になってたとのこと。

 それならそれで、連絡してくれなければ困るじゃないですか!

 うろたえるオーストリア航空のオペレーターの後ろで、責任者っぽい声が飛び交うのが漏れ聞こえてきます。そして、タイ航空のカウンターの責任者と代わってください、と言ってきました。

 航空会社同士で話をして、タイ航空のカウンターで事前予約扱いで決済してスルーチェックインする、ということに話がまとまり、無事に支払い完了できました!

 が、刻々と迫る出発時刻。カウンターの方が必死で画面操作をしてくださいます。この突然の変更、どれだけ面倒なんだろう。

 出発時刻まで残り5分、手続き完了。待機していた係員2人が付き添って、荷物を抱えて従業員用保安検査場へ猛ダッシュ。人をかき分けて保安検査を超特急で済ませ、そこから先も猛ダッシュで、一言の「さよなら」すらも言うヒマなく、息子の姿は視界からあっけなく消えました。

・航空会社スタッフの言うことに耳を貸すな!

 バンコクに着いてからも、やれソニー銀行のカードなくした、いやバッグの中にあった、眠れなかったからラウンジ使っていいか、などなど、いちいちメッセージを送ってくる甘ったれ息子に、こっちも疲れてきて「もう寝るよ」と返信して寝てしまいました。

 でも昼間の出来事で興奮したのか、なかなか眠れず、やっとうとうとしかけたところで、突然の電話。

 泣きながら「俺ウィーンで帰される」

 は?どういうこと?なんのことだかわからない。

 「大学の書類見せても、滞在許可の準備の書類見せても、レジデンスがないとウィーンで尋問されたらリジェクトされるって。ウィーンで何の書類見せたらいいのかわからない」

 ちょっとまて。こちらはあらゆる関係各所に連絡相談して書類を整えて持たせてある。そんなことは絶対ないはず。そもそも日本国籍は非シェンゲン協定国からオーストリアに入国すれば、6ヶ月いられるはずですよ。

 「とにかく今は時間がないから、乗る」ぶちっ

 …そんな終わり方じゃ、お母さん、心配で寝れないじゃない。

 ウィーン到着時刻は、ちょうど翌日の昼の時間。でも、それは機体が空港に着く時刻で、それから外に出て、入国の列に並んで…だと、万が一の場合に仕事の隙間の昼の間に対応できるのだろうか?

 朝、上司に事情を話して了解を得、万が一の場合は仕事を抜ける許可をとり、のどを通らない昼ごはんを前にスマホ画面を見つめる。既読がつかないLINEにじりじりする。ああ昼が終わってしまう…と思ったら、既読がついた!

 送ってあった「日本国籍は非シェンゲンから入れば6ヶ月いられる」「タイでのスタッフさんの勘違いかも」のメッセに勇気づけられたのか、

 「ビザ出るのに何ヶ月かかる?」「3〜4ヶ月ってきいてるよ」

 「じゃ、いられるじゃん」

 そこからまたLINEが動かなくなり、昼も終わって30分くらい経ったでしょうか

 「入国できました」

 のメッセに、どっと安堵の気持ちが溢れ出ました。

 あとでいろいろな人に聞いたら、あるある現象らしいですね。法律の専門家でもない航空会社のスタッフは、各国の細かい在留資格の仕組みに精通しているわけではないので、こういうトラブルはよくあるそうです。

 自分の準備に自信を持って、何を言われてもスルーする胆力も必要です。

・荷物の引き取り忘れにご注意!

 ウィーンでトランジットの間も、やれLTEがつながらないの、APNプロファイルのインストールがわからないの、もうそんなこと自分で解決してくれっていうようなどうでもいいことを、仕事で忙殺されている最中のおかーさんに、矢継ぎ早にLINEを飛ばしてくる息子。がっつりスルーしてたら、ウンともスンとも言わなくなりました。

 ずいぶん時間が経って、気がついたらもう最終目的地に着いてタクシーで学生寮に辿り着き、ついでに運ちゃんに頼んでちゃっかり銀行にも寄ってもらって現金を引き出し、学生寮の入寮手続きに入っていました。「お母さんの生年月日と緊急連絡先を教えて」まあずいぶん事務的なこと。

 それはいいけど、あんた、アマゾンで受付に届いた荷物受け取ったの?12時までだよ?

 明日いくからいい。

 明日は土曜日。土日は休みだよ。月曜日まで受け取れないけど、どーすんの?

 まじ?

 もー知りません。剥き出しのベッドで、服で寝てください。

 で、すぐに電話が鳴ります。今度はなんだ?

「 ごめん、ほんっとごめんなんだけど、空港で段ボールの箱を引き取るの忘れた。空港から送ってくれないかな」

 おいおい。

 空港サイトをグーグル先生で日本語に訳して解読すると、引き取り券をつきあわせて受け渡しになるので、必ず空港まで取りにいかなければなりません、とあります。当たり前だよね。

 と、伝えて、あとはあんたのドイツ語で頑張ってね。

 はい、頑張ったようです。無事に保管されていること。今日中に引き取りに行くこと。連絡してきました。どうやっていくの?

 バスと電車の時刻表を送ってあげて、おかーさんは寝ます。

 夜の11時頃、また電話。今度はなんだ?

 「乗り過ごしちゃったみたいなんだけど、俺、どこ?」

 知るわけないじゃないですか。空港見えるんなら、そんなに遠くはないはずだから、反対方向の電車に乗って、いってらっしゃい。

 「もう疲れたから、帰りタクシー使っていい?」

 はい、はい。

 お母さんは、この三日間で1Kg以上体重が減りました。

・現地での手続き 1住民登録、2学籍登録、3電話番号、4銀行口座、5医療保険

 オーストリアへの留学生は、現地で滞在許可申請をします。

 大学のホームページにも親切なガイドが載っていますが、実際に手続きしてみると、書いていないことがいろいろ判明しました。

1.住民登録 予約して、登録用紙と賃貸契約書とパスポートを持っていけば、すんなりできます。問題なし。

2.学籍登録 予約して、パスポートを持っていけばOK。学生証をもらえます。

3.オーストリアの国番号43で始まる電話番号の取得

 実は、これが大事な鍵です。これ以降の手続きは、オーストリアの電話番号なしでは、何も進みません。旅行者用SIMでも何でもいいので、とにかく現地に到着したら、速攻で43で始まる電話番号を取得しましょう。息子は諸事情でこれが遅れたために、大学が始まってから手続きを並行で続けるはめになりました。

 ちなみにA1というオーストリア最大の携帯電話会社では、電話番号付き低速物理SIMカードを、無料で入手可能です。その後A1で本契約に進めば、同じ電話番号を継続して使えます。

 というのを全然知らなかった!知ってたら、日本の携帯電話契約をeSIMにして、渡航してすぐA1物理SIMを入れたのに!

 そして、オーストリアでは、学生契約は毎月の料金は安いのですが、端末代がめっちゃ高くなります。なるべく日本の端末を持ち込んだ方が安上がりです。

4.銀行口座

 めちゃ大変。覚悟して臨みましょう。

 どの銀行もオンラインで口座開設できるとありますが、現地でやると何故か画像アップロードができず。WifiでもLTEでも、スマホでもタブレットでも、セキュリティの設定を変えても、何をどうやってもどうしても、何度やっても日を変えてもできず、断念。

 そして、留学生に優しい人気のある銀行は、予約が気が遠くなりそうなほど先になってしまいます。とりあえず、最短で予約が取れた銀行にターゲットを絞ることにしました。

 英語力に自信のある息子が、一人で窓口へ行くと、「契約書類を完璧に日本語に通訳できる人を同行しないと受け付けない」と言われ、

 まだ学校も始まっておらず、現地に同行を頼める友人というものも居なかった息子に、しかたないので留学エージェントを通して、目の玉が飛び出て転がり落ちてしまいそうな高額で、通訳緊急手配サービスを依頼せざるを得ませんでした。

 通訳同行で、無事手続き完了かと思いきや、「テクニカルプロブレムで今日の開設は無理。いつになるかわからないが、電話連絡したら署名しに来てください。通訳はいりません。」と言われて帰されました。

 テクニカルプロブレム、って何?

 三日たっても電話が来ないのに業を煮やした息子は、閉店ぎりぎりに銀行に殴り込みをかけに行きました。あと少しで銀行に着く、という時になって、スマホに着信。無視して銀行窓口でまくしたてたところ、銀行側は「明日手続きにきてくださいと連絡するところだった」とのこと。ゴリ押しで交渉して、その場で署名させてもらえることになりました。

 ところが、予定していた学生口座は作れませんでした。まだ10代の息子は、日本の民法が改正して成人になったのが今年の4月、年度途中の身分変更だと、オーストリアでは未成年扱いになるため、子供口座になってしまうとの説明でした。

 子供口座の違いは、デビットカードなど週の限度額が200ユーロまでと、学生口座より低い設定になることだけ。学生口座と同じく口座管理料は無料だし、それだけ使えれば日常生活には十分だろう、ということで、やっと口座開設に至りました。

 さっそく滞在許可の残高証明のための送金をしようとしたのですが、できない…オーストリアです。閉店後の手続きは翌日に持ち越し。はい、翌朝無事に開通しました。

 その後、1週間くらい後にPINコードとキャッシュ&デビットカードがばらばらに郵送で到着しました。

 留学生が多いせいか、滞在許可申請のための残高証明書は、こちらは窓口ではなく、専用の機械があり、キャッシュカードで取得します。残高証明書も無事取得できました。

 ところが、土曜日の買い出しでお店でデビットカードを使おうとしたら、「使えねー」とメッセ。使用前の機能設定が必要なことが判明し、インターネットバンキングに登録しようとしたら、できない。数日間にわたる格闘の末、結局、銀行窓口にボコりに行き、すぐ使えるようになりました。

 子供口座も、オンラインバンキングやモバイルバンキング、モバイルウォレットも使えます。つましい学生生活には、これで十分かなと思います。

5.医療保険

 各種あるようですが、大学おすすめの保険に入っておけば、間違いないはずです。これもオンラインで手続きできると思ったら、電子証明書が複雑で断念、窓口を予約して手続きに行きました。3〜4日で健康保険加入証明書が郵送されます。保険証の配達は、さらに後日になります。

 滞在許可申請のための送金時に、医療保険料をさらに加算して送金していれば、口座開設してすぐに医療保険への加入手続きができます。

 うちはそこまで頭が回らず、キャッシュカードが届いて残高証明書を取得してから、医療保険の手続きをしたので、1週間ほどタイムラグができてしまいました。

 まあ残高証明書が取れないと、いずれにしろ滞在許可申請はできないので、似たようなものかもしれませんが。

・滞在許可手続きの役所も、これがオーストリア

 滞在許可手続きの役所のホームページを見ると、初回申請時は電話で予約せよ、とありました。(場所によって違うようです)

 そこで息子が電話すると、「予約なしで、直接来てください。」と言われました。

 そう言われたので、予約なしで行ったら、「メールで予約申し込みをしてください。日時が決まったら連絡します。」

 みんな言うこと違いすぎ。これがオーストリア。

 で、返信メールは「予約不要」…どないせえと?

 そこで、行ってメール見せて経緯を説明したら、やっと整理券をもらえました。…なんなんだ。

 で、用意した書類は受理されたのに、「親の給与明細3ヶ月分を、英語でいいからデータで送るように頼んで」と言われました。公的認証通訳の翻訳じゃなくていいって言われました!そんなことあるんだ!

 でも私の給料、ボーナス入れないと、だいぶ見劣りします。そこで、私が担当者とGoogle英語メールで交渉して、本当にGoogle英語つけて、6ヶ月分を翌日メールで送りました。

 そうしたら、問題ありません、と返信がきたので、本当なんだ〜と。ちなみに現地時間朝6時半のメールでした。そんなに早く出勤してるのか、この担当官!

 そして、10日以内に連絡する、と言われていた通り、水曜日にメール送って翌週木曜日に連絡あり、金曜日に取りに行けるとのこと。早い!留学エージェントからは3〜4ヶ月かかると言われていましたが、地方のためか、1週間ちょっとで滞在許可がおりました!


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