熱海紀行 2024

家族というか一族で熱海に一泊旅行に行ってきた。バブルの頃に建てられたであろうホテルが、経営者を変えて改装してそれなりになっているホテルに泊まった。豊かな時代の豪華な装飾があちこちあるホテルだった。

熱海、すごい人気らしいんだけど、街全体が昭和レトロなんだよね。30年前はきっと、立ってるホテルが全部ピカピカで、シャッター閉めてるお店が全部土産物売ってて、お店で働いてる老婦人がみんな40代だったんだろうなと思う、みんなが豊かでないはずがないって思った。

熱海にいる間中、祭りの後の街、滅びゆく何かをなんとかできないかって、思考がぐるぐるしてた。あんな価値もあるしこんな投資がありえるじゃないかって、。

都内に帰ってほっとした。投資が来てるところではちゃんと古いビルを壊して新しいのを建ててる。脈絡もなく高倉健さんの映画「ぽっぽや」のシーンが頭に浮かんだ。どうしたら人間の目の光の色をあんなふうに変えられるのか、魔神なんじゃないか、って思うけど、人間の目として見たこともないような光り方をして、健さんは「戻るんだ、、元の原野に、」とか言っていた。

熱海が原野にもどるわけはないんだけど、木造二階建ての小津安二郎さんの映画みたいな民宿で熱海がやっていくのは、ディズニーとかUSJの経営者みたいな人が熱海をエンタメの街にしなくていい、一番無理なく熱海が落ち着く先だよ。どう考えてもバブルの頃に立てたホテルをリノベして次の30年はやっていけないから。

むかーしからある薄皮饅頭の黒糖の薄皮にこしあんがはいっているまんじゅう以上のものを、この30年で思いつかなかったんだよ。それは無理もないよ。こんなうまいものを超える何かを作るなって無理なんだから。

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