子バスが釣れる止水域/釣れない止水域があるよねって話
バス釣り界隈において「メジャーレイク」と呼ばれるフィールド、その中でもとりわけ関東圏の止水域ってあまり子バスが釣れないと思いませんか? 霞ヶ浦・牛久沼・印旛沼……いずれもビッグサイズの期待を持てる湖ではありますがブラックバスの個体数自体は少なく、丸一日釣りをしてもボウズに終わることは珍しくありません。
一方、バス釣りフィールドとしてはあまり有名でないものの、冬季をのぞけばほぼ確実に魚信が得られる湖も多々あります。そのような湖はたとえば伊豆の一碧湖や、富士山を見上げられる田貫湖など、釣りよりもむしろキャンプやボートなどのアウトドアアクティビティを楽しむ場所として認知されていることが多いように感じます。ヘッダーの画像は田貫湖で撮影したものですが、息子とおしゃべりしながら適当に沖へ向かってスピナーを投げているだけで、小バスが果敢にアタックしてきました。ただし、どちらも釣れるのは当年に生まれたばかりと思われるチビっ子ばかりで、30cm超のサイズすらなかなか見られませ……ここまで書いて気がつきましたが、一碧湖は山梨県、田貫湖は静岡県ですからどちらも関東ではなく中部ですね……。東京からギリギリ日帰り圏内ということで勘弁してください。関東民は「関東地方」といったときにどこまでを指すのかについての理解が曖昧なんです(主語を大きくして責任の所在を曖昧にする記述法)。
さて、先に挙げた「釣れたら大きいが小バスがあまりいない」フィールドと「子バスは簡単に釣れるがなかなか大きいバスに出会えない」フィールドは何が違うのでしょうか? 少なくとも関東一円(富士五湖あたりまでを含むってことにしてください、何卒ご勘弁を……)において
前者:マッディウォーター・釣り人が多い・電車の駅から近い
後者:クリアウォーター・釣り人が少ない・電車の駅から遠い
上の傾向はほぼ確実にありそうです。単純に考えるとクリアウォーターの方が釣り人が目視でターゲットとなる魚体を見つけやすいですから、そこに暮らす魚たちにより強いプレッシャーがかかりそうなものですが、実際には――少なくとも関東近郊においては――濁った水域の方がブラックバスの個体数が減少しているようなのです。
これはどういった理由なんでしょう? 筆者の個人的な推測にはなりますが、ブラックバスの繁殖に関しては釣り人が与えるプレッシャーよりも水質の悪さの方がより大きなマイナス要因になるのではと考えています。本来ブラックバス、とりわけラージマウスバスは濁った水に強い魚のはずですが、関東のマッディレイクは泥や砂、粘土によって濁っているのではなく工業・生活排水によって透明度を落としているケースが多いですから、ケミカルな水質悪化にはいくら悪い水に強いバスといえども流石に耐えられず、代を経るごとにその個体数を減らしている……のではないかと考えております。90年代バスブームの頃にはかなりの数が釣れていたのに、今は個体数が少ないという湖に関しては特にその傾向が見られるのではないかと。
ブラックバスは河口湖や芦ノ湖など一部の湖を除き、繁殖して個体数を増やすことが歓迎される魚ではありませんし、新しいつがいや稚魚を放流することは明確に違法です。が、ブラックバスの個体数すら減り続けている霞ヶ浦のような関東マッディレイクにおいて、他にどんな魚が増えられるのだろう……? と考えると暗澹たる心持ちになるのもまた事実でありまして……。近年は水質浄化技術が工場したほか、個人や企業の環境保護に対する意識も高まっているかと思いますので、関東のマッディレイクのこれからに期待です! 我々釣り人もせめて自分の目に見える範囲のゴミを拾うとか、根掛かりしてもルアーを回収できるような強いラインを使うとか、エサ釣り師なら無駄な撒き餌を打ちすぎないとか、できる限りの努力はしてゆきたいものですね。