全日本釣り人っぽくない格好で釣り旅行に出かけたい選手権の参加者は意外と多いんじゃない? って話
記事タイトルを見て「なにいってんの?」と思ったそこのアナタ!「釣りが主目的の旅行に出かけるけれど、大きなロッドケースを担いで行ったり、釣り場に立つ格好のままで公共交通機関を利用したりするのはイヤだな~」などと、いったい誰に対してのものなのか謎な羞恥心を感じたことはありませんか!? そこまでいかなくても、いかにもな"釣り人ルック"を避けたい状況はしばしば存在するハズです。たとえば仕事の出張に釣り道具一式を持ち込む場合とか、家族旅行に出かけるときのトランクにパックロッドを忍ばせるときとか……あんまり釣りモード丸出しだと後ろめたいじゃないですか。
そんなワケで、本稿では過不足なく釣りを楽しめる道具をどうやって目立たぬよう持ち運ぶか、またいかにコンパクト&軽量に釣り道具をまとめるかについて筆者のノウハウ(というのも大げさですが)を記したいと思います。筆者は仕事の出張や釣りがメインでない旅行にパックロッドを中心としたタックル類を持ち込んで現地の魚を手にする、ということを十数年に渡って続けておりますので、私の持っている知見が多少なりと皆さまの参考になれば幸いです!
【ロッドを何に入れて運ぶか】
世の人は何をもってして隣を通り過ぎた者を「釣り人」だと判断するのか? といえば、それは釣り竿を持っているか否かでしょう。逆にいえば、釣り竿さえ抱えていなければ釣りに行くことはバレないワケです。ワンピースロッドに代表される運搬時に長大なロッドケースを必要とする釣竿ではなく、スーツケースやバックパックに収まる寸法のパックロッドを利用し、なおかつロッドケースを単体で持ち運ばなければ釣り人バレはほぼないはずです。釣り具メーカーのロゴが入った衣服や帽子を着用していれば話は違いますが、たとえば「Abu Garcia」と書かれたキャップをかぶっているだけで「あっこの人釣りが好きなんだな……」と理解してくれる人にだったらむしろ気づいてほしいくらいですよね。きっと。
そんなわけで、あえて釣り用ではないケースにパックロッドを入れてみるのはいかがでしょうか? 筆者のおすすめはコクヨの製図ケース。長さを自在に変えられることに加えて、内径がある程度広いので2本の竿を1つのケースに収納できる(※継ぎ竿+振り出し竿でちょうどいい位。継ぎ竿2本だとガイド径によっては入らないこともあります)のも魅力的なんですよね。筆者はこのケースにルアーロッド1本+フライロッド1本を収納して出かけることが多いです。
ロッドケースごと収納できるほどの大きなスーツケースやダッフルバッグなどを持って出かけるのであれば、釣り具メーカーの商品を使用するのも良いでしょう。私のイチオシはアブガルシアの「セミハード パックロッドケース 55-90」。その名の通り55cm~90cmに可変する機構も便利なのですが、何より「地面に立つ」のが最高です! 滞在先から釣り場までの移動時、メインバッグを宿泊場所に置いて釣り具だけを持ち運ぶことも多いかと思いますが、自立しないケースだとバスや電車での移動中にずっと竿を背負うか手に持ち続けなければなりません。大して重くない竿であっても、地面に置けるだけでかなりストレスが軽減されますよ。それに強度もなかなかのものです! 筆者はプチプチでくるんだパックロッドをこのケースに詰め込んだあと、ソフトトローリーバッグに入れて国際線のカウンターに預けたことがありますが、中に入れたロッドは全て行き帰りとも無事でした……いや、もちろんハードケースに入れたうえで樹脂ないしアルミニュウムのスーツケースに入れるのがベストではありますけれども……。
【旅行や出張に適したリール選びについて】
釣りのために出かけるのであれば、釣りたい魚にマッチしたリールを持っていけばそれでいいでしょう。ただ「ついでに釣りができたらいいな」という程度の家族旅行や出張の場合、わざわざリールを入れるためのハードケースを荷物に加えるのは面倒です。こんなとき、スピニングリールはそのまま鞄に放り込むとベールアームが曲がってしまうリスクがありますけれど、ベイトリールやクローズドフェースリールでしたらほぼ問題ありません。いくら密度の高いパッキングをしたとしても、ハンドルが曲がるほどの荷重が掛かることはまずないですから。スピニングリールを持参したい場合は、いっそベール折り畳み機能が付いたインスプールの機種を選ぶのも一手ですよ! 私はアブオタクなのでこれまでカーディナル3BPやカーディナル44などのインスプールリールを使用してきましたが、鞄に他の荷物と一緒に放り込んでもベールアームを損傷する心配がない、というのはかなり気楽です。アウトスプールのリールは構造上ベールアームを折り畳み式にできませんから、これはインスプールリールならではのパッキング技ですね。
【荷物を軽くしたいならフライタックル・餌釣りタックルをチョイス】
筆者のnoteは記事ごとのアクセス数を見る限り主にルアーアングラーの皆さまにお読み頂いているようなのですが、ここであえて! フライ&餌釣りタックルをおススメさせてください。ルアー、特にプラグ類は容積が大きいので相当にかさばります。ブラックバスやシーバスを真剣に狙おうと思ったら、下手をすると持っていくプラグの収納ケースがリールケースより大きく、重量はロッドとリールを足したよりも重くなっていた……なんてことになりかねません。繰り返しになりますが、別件で出かける際にちょっと竿を出せたらいいな、なんてときに大荷物を抱えていくのは面倒です。
その点でいうと、フライは1本1本が超軽量なうえ、リールもスピニングリールやベイトリールと比較にならないほど軽量です!! さらに強度も高いため、リールを保護するためのハードケースを持参する必要もありません。また、マルチピースのフライロッドは(メーカーにもよりますが)アルミニュウム製のロッドケースが付属することが多く、新たに何かを買い足すことなく旅行に持ち出せるのも嬉しいポイントです。
また、これは本当に当たり前のことではありますが……リールを付けないのべ竿の餌釣り用タックルであれば、さらに軽量化できますね!! のべ竿は長さ・強さともに多種多様なラインナップがありますし、仕舞寸法が50cmを下回るものも多く、1本持っておくだけで釣りのフィールドに立てるチャンスはかなり増えるんじゃないでしょうか。また、筆者は未経験ですが、テンカラ釣りのタックルなども荷物量を減らすには覿面かと思いますよ。
【ランディングツールについて】
令和のルアーアングラー、特に海釣りを愛好する人は魚の下顎を挟むタイプのフィッシュグリップを愛用していることが多いんじゃないでしょうか。Eastaboga Tackle Manufacturing社の「ボガグリップ」に代表されるこれらの商品は、ある程度大きな魚(※サケ科、コイ科の魚を除く)を狙う際の取り込み用具としてランディングネット以上に普及しています。
ですが皆さん、お忘れになっていませんか――いや、平成生まれのヤングな方々はもはや見たことがないかもしれませんね? 折り畳みランディングネットを……。網部分を支える枠が柔らかい素材で作られており、ぐにゃっと曲げて小さな収納ケースに収納できるランディングネットがあるんですよ! フィッシュグリップが生まれるずっと前、1950年代から今に至るまで、折り畳み式のランディングネットは複数のメーカーで、しかしあまり大規模にではなく細々と生産され続けています。この記事を書くにあたって調べてみましたが、2024年現在、筆者の愛用しているシマノ製のフォールディングネットは既に製造中止のようでした。けれども皆さん! 暴れる魚の下顎をピンポイントで狙って掴まなければならないフィッシュグリップと、魚体を大まかに狙って掬えばOKなランディングネットと、どっちがバラしにくいと思いますか!? ええ!!!???? ……ついアツくなってしまいましたが、70㎝を超えるような魚体だったらともかく"ついでの釣り"で狙うようなサイズの魚だったらフィッシュグリップよりランディングネットの方がより確実に取り込めるはずです。釣りメディア、特に商業雑誌やWebサイトにはフィッシュグリップを使てカッコよく魚を吊るしている写真が多く掲載されていますが、昔ながらの網を使うことも"ついで"すなわち"短時間かつ適当"な釣りにおいては、ボウズ率を下げるのに一役買ってくれるんじゃないでしょうか。あ、念のために記しておきますが、ランディングネットは1匹でも魚を入れると全体に魚体が持つヌメりの匂いが染みつきますので、気になる人はレジ袋でぐるぐる巻きにするなどの対策をしてから仕舞ってくださいね。
ここまでとりとめもなく筆者が愛用している"出先での釣りに便利な、コンパクトで実用的な道具"について記してきましたが、お役に立ちましたか? 旅立つにあたって荷物をどうパッキングするかは人それぞれ――というか、個性や主義主張、果てはアイデンティティや哲学にまでかかってくる問題ですので軽々なことは申し上げられませんが、もしこの記事を読んで今まで「釣りなんかする余裕はないか」と諦めていた釣り場に糸を垂れる人がひとりでも現れたなら、筆者としては望外の喜びです。ねぇ皆さん! お出かけの際はぜひ、カバンに釣り具を忍ばせていきましょうー!!