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【6/30~7/5】 ウィークリーレポート:ギャレット (べいじゃり)

0.はじめに

ベイスターズのパットンが将軍ならこの男は鬼軍曹と言ったところだろうか?見た目のいかつさもさることながら、経歴もいかついこの選手にフォーカスをしてみた、西武の新助っ人投手ギャレットである。
参考:https://full-count.jp/2020/02/08/post682773/
記事内で紹介されているが、日本で言えば防衛大学にあたる軍事学校出身で機関銃を担ぐ授業も経験しているといういかつい風貌のイメージ通りの異色の経歴を歩んできた投手だ。ちなみに、上記の記事では経歴の紹介ついでにカット、ツーシームに加えて三振が取れるカーブを操る”攻撃的な”投球をするという本人のコメントも紹介されている。
というわけでこの鬼軍曹が日本でどんな投球をしているのか、見ていきたいと思う。

1.選定理由

先週の西武はオリックスとの6連戦であった。チーム状態が決して良くないオリックスに対して、打線が本調子と言えない西武、接戦となることが予想され勝ちパターンのギャレットの登板機会はが多くなるであろうと想定された。また、先々週のソフトバンク戦では支配的な投球をしており、NPBに挑戦してきた選手として要注目であるというところで選んだ。(本当はオリックス中川にしようと思っていたものの抹消にされてしまって二番手候補に切り替えた話は内緒である。)

2.先週のギャレット

それでは、早速ギャレットの登板を振り返っていきたい。
先週は以下の3登板であった。

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7/2(木)と7/3(金)で連投し、2日連続で2安打を浴びるながらも危なげないと言っていい投球で無失点に抑えた。1週間で3登板は通常なら70試合ペースの登板、開幕してすぐに日本の暑さと湿度に順応しなければいけないという状況の中では十分以上の内容だろう。去年、イニング跨ぎを繰り返していた平井が今週、1回もイニング跨ぎをせずに1イニングで交代しているのもギャレットの安定感によるところが大きい。去年定まらなかった7〜8回の継投に安定感が出てくることで先発投手に「6回まででいい」という安心感が出てくるのは今年の西武にとって強みになってくるのではないかと思われる。

3.詳細分析

引き続き、詳細の投球内容について分析していきたいと思う。
先週は48球を投じたギャレットだが、内訳は以下の通り。

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平均球速155km/hと威力のあるストレートが過半数を占めている。日本のボールにもアジャストしているようで、制球よくコースに投げ込まれている豪速球はかなりの脅威となっている。
次に投じているのがナックルカーブである。昨年阪神に在籍したピアース・ジョンソンでさらに注目の的となったこの球種だが、ギャレットのナックルカーブはさらに縦成分が強く、いわゆる縦スラに近いボールになっている。
続いてスプリットとなる。このスプリットはメジャー時代に投げていた際は、変化が小さくストレートに近い軌道になってしまうこともあったようだが、現役時代にフォークを武器にしていた豊田コーチにアドバイスをもらい変化が大きくなり、実戦で使えるボールとなったようである。
参考: https://full-count.jp/2020/03/07/post711753/
平均143.3kmとストレートよりもナックルカーブに近い一方でスライド気味に沈むナックルカーブに対してややシュート回転気味に沈むスプリットはかなり有効な球種となっている。
そして、最初の記事でも紹介されていたツーシーム、カットボールと続いていく。ツーシームは7/3(金)の吉田正尚の打席では3球連続で明らかにボールとなるなど、先週投じた5球全てがボールと、制球に苦しんでいるようで、まだ実戦で使える状態にはないように見える。一方、2球しか投げていないカットボールだが、キレ自体は悪くないように見える。2球とも右打者のアウトコースへの投球となっているが、アウトコースに手が伸びるジョーンズとロドリゲス相手に投げており、7/2(木)のロドリゲスにバットの先ながら、左中間に運ばれて2塁打とされて以降投げていない。先週のギャレットを見ていると、ツーシームは全て左打者、カットボールは全て右打者と棲み分けされているようだが、筆者は長いシーズンのことを考えると死球のリスクをとってでも球数を減らせるような投球をしていった方が良いと思っている。特にカットボールは制球できているので、左打者に投げることが出来れば大きな武器になるのは間違い無いであろう。

次に球種別のスイング率、コンタクト率を紹介する。

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かなり特徴的なデータとなっている。全48球中20球でスイングされており、そのうち空振りは4球だけ。しかもストレートはスイングをかけられた10球全てでコンタクトされているという結果になっている。そのうち、ファウルが5球、ゴロアウトが2球、フライアウトが1球、単打が2球となっている。開幕直後で威力はあるものの、空振りは取れておらず、疲れが出て来た時に心配な内容ではある。ただ見逃された15球のうち9球はストライクとなっており、3つの三振を奪っている。ファールでカウントを整えることもできるし、決め球となる軸のボールとなっていると言えるだろう。このストレートが活きているのもスプリットとナックルカーブのおかげだろう。この2球種はスイングをされた9球のうち、許したヒットは1安打だけで、空振りも4つ奪うと威力が十分であることが分かる。ストレートでカウントを整えて追い込むと、同じ軌道から違う変化をするストレート、ナックルカーブ、スプリットを投げわけるトレンドの最先端の投手であることが分かる。

というわけで”攻撃的”な投球であったかは置いておいて、先週のギャレットは洗練された投球をして大活躍だった。やや不調で入ったオリックスとの対戦とは言え十分なピッチングをしており、今週は現時点ではパリーグで最も好調な楽天打線に通用するかも見ものの1週間になる。

4.おまけ

ここからはちょっとした補足の話になる。ギャレットの連投耐性だが、結論から言うと「耐性あり」になる。前日に25球を投げ、連投2試合目となった7/3(金)でも平均は154.2km/h出ていた。これは3登板の平均速度とも遜色なく2連投ならば問題ないことを証明しているであろう。

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