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ミニみたいだな、まったく(400文字)
キャブレター時代のミニに乗っていたことがある。
BMWのミニじゃない。ローバーのミニである。
サスペンションはゴムだった。
だから、中央道のトンネルの、でこぼこのあるトンネルなんかではひょこひょことはねた。
馬に乗ってるみたいだった。
真夏の高速でとまってしまったりもした。パーコレーションである。
路肩に寄せて、復活を待つことしかできない。
スタンドで給油して、走り出そうとしたらエンジンがかからないなんてこともあった。
スタンドのお兄ちゃんは、そんなとき、とても親切にしてくれた。
古いミニの気むずかしさをよく知り、愛してくれていた。
別荘地の坂道をぽこぽことのぼっていると、外人さんが笑って後ろから、プーッシュ、プーッシュ、なんて言いながら押してくれたりもした。
海老茶色のミニ。
人気者だった。
ずいぶんと世話を焼かされたけど、そのぶん余計に大事に思えてしまうのだった。
――今、妻を見て思う。
ミニみたいだな、まったく。
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