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下町そぞろ歩き2024#4 人形の久月 浅草橋総本店

当社は江戸時代、天保年間に創立され、約190年の歴史を有する製造問屋です。職人らの手によって一体一体丁寧に仕上げられた〝縁起物〟を、これからも老舗の誇りとこだわりをもってお客様に贈り届けて参ります。
そして、当社は「晴れの日」の皆様の幸せを願う節句人形という伝統商品を、如何に広く、深く浸透させてゆくかが弊社の責務と思っております。

◆久月の心

雛人形(ひな人形や五月人形の歴史は、人形が身代わりになり子供に災いが降りかからないように祈りを込めて飾るものです。特に節句人形は、親、そして祖父母が、その人の子、その孫に「健やかに」「心のやさしい人に育て」と願いをかけ贈るもので、愛情表現の一つです。節句人形を毎年飾ることで、その赤ちゃんが大きくなった時、どれ程自分を思っていてくれたかが分かると思います。それと同時に、節句を祝うことで、家族の団欒の機会を作ることが出来、暖かい家庭を作る手助けになると考えています。

久月の心

◆匠の技

江戸時代天保年間から約百九十年に渡り、匠たちから引き継がれた技を、現在も伝統工芸士として認められている現代の匠たちが引き継ぎ、日本を代表する「ひな人形」「五月人形」「羽子板・破魔弓」に代表される「節句人形」を生み出しています。

美を極める

◆伝統から新たなる挑戦~革新真っ只中~
―ただの人形屋ではなく「モノではなくてコトに寄り添う縁起物屋」にしていきたい(横山久俊社長)ー

当社は、江戸時代からの約190年の歴史と伝統を受け継ぎつつ、生活スタイルの変化に応じお客様のニーズに寄り添った人形作りをモットーに新たな商品を次々と世に送り出してきました。   
近年では、チャレンジ精神と情熱の塊である8代目横山久俊社長の陣頭指揮の下、伝統工芸の技術力をフル活用し、枠にとらわれない商品づくりと海外展開を見据えた情報の発信をしています。

〇少子化・核家族時代の省スペース商品

省スペースで飾れる三段飾りや、インテリア感覚で飾ることができる兜かざりや破魔弓など。

省スペース商品

〇インバウンド(訪日外国人)のお客様が喜ぶ商品を

職人の遊び心から生まれた、その名もボトルストッパー。750mlボトルやワインボトルにぴったりのサイズです。最高の伝統工芸技術を惜しみなく使った日本色豊かなお土産アイテム。
ワインや日本酒のボトルに使用することで、サムライ気分を簡単に演出できます。
一つ一つ職人が手作りしているので、リアルで高級感があり、海外の方へのプレゼントとしても喜ばれています。

ボトルストッパー

〇どんなアイデアでも「まずやってみる」のスタンス

社長の自由な発想から生まれ、イギリスで喝采を浴びたポロ競技のトロフィー。2020年、ポロのプレゼンターを務められるイギリスの女王陛下より、トロフィー提供の依頼が届いたことが始まりです。長き久月の歴史を振り返っても、トロフィーの前例はありません。今では、自前の伝統工芸技術だけではなく、デザイナーとのコラボによる漆器類や箱根の寄せ木細工を取り入れた秀逸のトロフィーを生み出しています。

トロフィー

〇伝統の承継と革新

久月では古典的なデザインとモダンなデザインのそれぞれの良さ全面に出した商品を展開しています。ECのお客様をターゲットにしたデザイン、素材、色使いを最大限に活かして、斬新でかつお客様が楽しんでいただける商品をオンラインで展開しています。
新しい雛人形や五月人形は、現代的なインテリアに馴染むようなデザインが多くなっていますが、家族の願いや思いが込められ、お子様の厄除けとしての「縁起物」という点を忘れることはありません。また、インバウンドのお客様が増加する中、日本の文化に対しても興味関心が高まっていることを背景に、外国のお客様向けの越境ECにもチャレンジしております。

ECでの人気商品

◆新たなコラボレーション

〇羽田エアポートガーデンに久月とAzoneのコラボショップ 「多組 (TAKUMI) 」NEW OPEN

Ki-gu-mi、Si-gu-miで人気のAzoneの商品と、人形の久月が取り扱う日本人形や縁起小物を取り揃えるNEW SHOPが7月11日(木) 羽田エアポートガーデン2階にオープンしました。
第三ターミナルに直結する複合型商業施設の羽田エアポートガーデンのショッピングエリアには、日本各地の伝統工芸や老舗の和菓子をはじめ、キャラクターショップやご当地のお菓子が揃っており、ご家族、ご友人で楽しめる空間になっております。

多組(TAKUMI)

◆伝統技術の承継のために

人形学院の心
木目込み人形と押絵

〇新たな担い手のチャレンジの場を
~東京藝術大学出身アーティストによるグループ展の支援~

久月では、発表のチャンスをなかなか持てない藝大出身者に無償で発表の場を提供し、応援しています。若き芸術家達に、一般に公開するチャンスを与えることで、日本の(伝統)工芸をしっかりと次代に引き継ぎ、発展していくことを願って支援をしています。会場づくりやポスター作成は、自分達の世界観を十分に表現したものになっており、熱き魂を感じていただけると思います。

◆人形を慈しむ心を大切に~人形報恩祭の開催~

久月では人形を慈しむ心をつないでいくため、毎年御鎮座1900年を誇る蔵前・第六天榊神社(だいろくてんさかきじんじゃ)で、人形供養の「人形報恩祭」を開催しています。地元の方はもとより、遠方からもたくさんの方にご参列頂いて営まれております。
この人形報恩祭は、御両親や、祖父母が買ってくれたひな人形を始め、日頃かわいがっていた人形やぬいぐるみなどが、"自分達の無事な成長を見守ってくれた"そのことに対して、親に、祖父母に、人形に感謝して納めていただき、「御霊抜き(みたまぬき)」を行い、同時に施主とその家族の健康を祈願した後、お焚きあげを行っています。お焚きあげの人形たちについては、久月では年間を通じて、納められる方の色々な思い出や、人形への感謝の気持ちを大切に受け止めながら、お預りしています。

 ◆人形の久月のSDGs

日本の文化は、SDGsと世界的に取り上げられる前から、あたりまえのこととして自然にSDGs行われてきました。人形作りを始めとした一見SDGsに関わりのないと思われる日本の伝統工芸は、SDGsとの深いつながりの中で育まれてているのです。生産地域にあった資源を必要なだけ活用・保存し、それを基に技術や製法を発展・継承している伝統工芸の在り方は、まさに持続可能なSDGs生産といえるでしょう。

■人形で心の和を創造する

◇No.9、 12「産業と技術革新の基盤を作る」「つくる責任つかう責任」

久月が一番深く関わり合いのあるSDGs目標は、17個の目標のうち12番の目標「作る責任使う責任」と9番の「産業と技術革新の基盤を作る」です。
①    人形作りに関わる生産者者、販売者、そして消費者にとっては、「ものを大切にする」精神は、人形作りの歴史の中で時代を重ねて培われてきたと言えます。日本人形は、大規模な大量生産ではなく、手作業で一つ一つ丁寧に選ばれた少ない資源から作りあげられる美しく、品質が高く、長い間使い続けることができる伝統技術から生みだされています。     
特に節句人形は、子や孫への「健やかに」「心のやさしい人に育て」とういう願いをかけて贈るだけではなく、人形を毎年飾ることで子や孫たちへその思いと感謝する心の大切さを引き継ぐことができます。
②    久月では購入から数年経っても、お買い上げいただいた人形は無料で修理させていただいてます。とくにひな人形は、今でも親から子へ、子から孫へと修理を加えながら大切に引き継がれています。
③    また、久月では、少子高齢化に伴い、役目をはたした人形たちをお預りして、毎年蔵前・第六天榊神社で「御霊抜き(みたまぬき)」を行い、同時に持主とその家族の健康を祈願した後、お焚きあげを行っています。人形たちの生まれる時から神様にお返しする時まで、持主の方の思いに寄り添うことも、サステイナブル(持続可能な)活動ではないかと考えています。

◇No4 「質の高い教育をみんなに」

 久月は、美術やデザインを学ぶ人たちの発表の場の提供や久月人形学院を通じての日本文化の醸成に努めています。
① 久月は、江戸時代より培ってきた人形づくりを通じて、伝統文化の大切さ、その心のふるさとやたくさんの喜びを感じていただきたいと思い、久月人形学園を海外や日本各地の支部や教室をひらき学んでいただいています。
② 久月では、発表のチャンスをなかなか持てない、今は名もなき芸術家達に、一般に公開するチャンスを与えることで、日本の(伝統)工芸をしっかりと次代に引き継ぎ、発展していくことを願って支援をしています。

■人形づくりで「生活」と「市場」を守る

◇No.3、8「すべての健康と福祉を」「働きがいも成長も」

日本人形作りの産業は、年々伝統行事を行う家庭が少なくなり市場の縮小や後継者の減少が大きな課題となっています。人形作りでは、頭づくり、装い、小道具、甲冑づくりなど分業生産で成り立っており、たくさんの人たちがこの産業で働いています。
①    久月では、この伝統産業を維持、拡大するために様々な取り組みをして  います。また、人形作りは、小規模事業者が多く、地域性の強い産業ですので、そこで働く人たちの雇用を守るだけではなく、障害者や知的障害者の方に働く場所を提供することにより、これらの多くの人々の生活を守ることや生きがいづくりに役に立つことを願っています。
②    市場の拡大は、伝統的な人形だけだはなく、若者やインバウンドのニーズを取り込むために、新規新鋭のデザイナー、地元の企業、海外の企業等と共に画期的な商品開発をめざして取り組んでいます。
 また、新たなチャレンジとして、オンラインストアを開設し、古典的なものやモダンなデザインのそれぞれの良さを全面に出した、EC世界にマッチしたデザイン・素材・色使いの自由さを最大限に活かした型破りな商品を提供し好評を得ています。併せて、インバウンドのお客様が増加し、日本文化に対する関心が増々高まることを考え、海外向けオンラインストアも開始しました。

■環境にやさしい人形づくりを目指す

No13.14,15 「気候変動に具体的な対策を」「海の豊かさを守ろう」「陸の豊かさも守ろう」

日本人形や節句人形は、長持ちで、修理を繰り返し、大切に使われるため、廃棄物が極めて少なく、併せて、伝統的な素材を主に使用し、プラスチックなどの使用を控えることで、海を含めた環境の保全や整備に貢献しています。
また、日本人形や節句人形の多くの材料は陸から採られています。そのため、陸の豊かさが損なわれれば、当然当社の伝統技術による人形の生産も不可能になります。当社の商品は、自然から恵まれた限られた資源である、漆、絹織物、和紙、染料等を必要な範囲で無駄なく使用することで、資源の回復および持続可能な利用の推進に貢献しています。


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