自転車旅25日目 -鹿児島県鹿児島市〜出水市-
え!?宿が取れてない?
この旅最大のピンチ!の巻。
今日は国道3号線を北西に突き進む。
ガチな日本一周ならば海岸線を行くべきでしょうが、
良いのです。
この旅はゆる〜く日本一周がモットーなのです。
しかしながら内陸部を横切るということは、
すなわち峠越えは避けられない訳で。
今日も今日とて、えっちらおっちら坂を登る訳です。
最近ですね、ちょっとコツを掴んだのか、
以前ほど、上り坂に絶望することは無くなりました。
ギアを一番軽くし、無理に急がず、
一回転ずつ丁寧にこぐ。
まるで歩く速度だろうと構わない。
立ちこぎなんてせず、確実に前進を重ねる。
そうするとですね、いつかはてっぺんに着く訳です。
意外と脚の負担も少ない。
この牛歩作戦、初心者には最適解かも。
さてさて。
鹿児島市から予約した阿久根市の宿まで、
80km走破しました。
坂もたくさん登りました。
本日のご褒美に、コンビニで大好きなストゼロと
晩ごはんを買い、宿に着いた訳です。
この宿、ちょっと特殊で、無人なんですね。
チェックイン時にQRコードをかざすそうなんですが、
そんなの受け取っていない。
チェックイン用のタブレットで「担当者に通話」を
選ぶも、順次取り次ぎの画面のまま、
一向に進展なし。
クタクタに疲れているのに、部屋に入れない。
この宿は某外資系予約サイトで申し込み、
支払いも事前に完了している訳です。
さあさあ、嫌な予感がしてきました。
15分ほどタブレットの前で困っていると、
おじさま4人組が入ってきました。
この方々も同様に「QRコードなんてないぞ!」と
困っている様子。
「私もQRコード無くて困ってて」
「スタッフいないと困るね。
ところでどこから来たの?」
「大阪から自転車で。四国周って今は九州を」
「自転車!?それはすごい。きみ頑張ってるね」
これまでの旅行話で盛り上がる中、1人のおじさまが
「俺、ここのオーナーと友達だから聞いてみるわ」
と、突然の直談判。
おじさま4人組はその場でQRコードを発行してもらい、
なんなくチェックイン完了。
これも運と言いましょうか、親切なそのおじさまは
電話越しに
「ところでさー、同じようにQRコード無くて、
困ってるお客さんが他にも居てさー」
と、私のこともオーナーさんに相談してくれました。
「とりあえず本人に代わるわ」
と、おもむろに私に携帯を渡してくれました。
オーナーさんに経緯を説明すると、以下が明らかに。
・私の予約と、他の外資系予約サイトからの予約が
重なり、オーバーブッキング状態になった
・他方の予約サイトはキャンセル不可とのことで、
私の方の予約サイトにはキャンセルを依頼した
・私の予約サイト側はキャンセルを了承し、
ユーザ(私)には他の宿泊先を手配する、
との回答をもらった
まさに目が点。
私は予約サイトから何も聞いていない。
オーバブッキングが発生した時点で、
オーナーさんが直接私に謝罪しようとしたが、
予約サイト側からは氏名しか教えてもらえず、
連絡が取れなかった、本当に申し訳ない、
と電話越しに謝罪がありました。
経緯のご説明ありがとうございます、
予約サイト側に問い合わせます、と伝え、
携帯をおじさまにお返ししました。
おじさまは
「この辺、他に宿ないよ」と、
とても心配してくれましたが、
これ以上第三者のお世話になる訳にもいかず、
お礼を伝えて宿を後にしました。
ひとまず予約サイトに電話し、これまでの経緯を説明。
確認のため15分後に折り返してもらいましたが、
予約サイトの言い分は以下。
・宿側に連絡を取ろうとしたが、連絡がつかない
・代替の宿を探したけれど、近くでは見当たらず
少なくとも、予約サイト側から、この経緯を
どこまで認識していたのか、説明はありませんでした。
すっとぼけているのは、一体どちらでしょう。
オーバブッキングを見過ごした宿のオーナー?
代替手段を講じなかった予約サイト?
まあ怒りを覚えない訳ではないです。
こちらはきちんとお金を払い、予約を確定しており、
非はまったくない訳です。
だがしかし、優先すべきは、早くシャワーを浴びて
ベッドに寝たい、です。
80km走ってクタクタな訳ですよ!
陽も暮れて真っ暗な訳ですよ!
予約サイト側の女性の方もなんか泣きそうだし。
いやあなた個人に何の恨みもありませんが。
「もういいです、この宿はキャンセルしてください。
自分で今夜の宿を探します」
「お詫びにUS2.95$のポイントを差し上げます」
いやおま、この問い合わせの通話料も
満たしてないやん。
呆れて声も出ない、とはこのことで。
いやー、まいった。
もっと追求したい気持ちもあったが、
寝床確保を最優先。
最寄りのホテルを予約!
ちゃんとUS2.95$ポイント使ったよ!
何とまあ、とんでもエピソードのおかげで、
20kmライドおかわり!
これが市街地なら、まだ手は打てたのだけれど。
なんせここは、ネットカフェも、
他に空いてる宿もない訳で。
真っ暗闇の怒りのライドですよ。
街灯ねー!車も走ってねー!
おかげで気分良く車道をかっ飛ばしました。
そして着いたぜ、出水市のホテル!
ロビーにて。
「あのー、あらかという者ですが、今日から1泊の
予約って入ってますか?」
「はい、承っております」
あ な た が 神 か ?
そりゃ魅上にもなりますよ!
砂漠でオアシス状態ですよ!
完全に余計な会話だったけれど。
ついついフロントマンに、これまでの経緯、
愚痴を話してしまった。
フロントマン、目が点ですよ。
先の私のように。
「それは大変でございました、
どうぞごゆっくりお休みください」
オアシス!湧き出る水!
いやー、沁みた。心に染みまくった。
ってな訳で、無事にシャワーを浴びて、
ベッドで眠ることが実現しました。
野営も考えたけれど、もう意地だね。
80km走破のご褒美を取り上げられて、
ついつい意地になって100km走破してしまった。
もう明日はゆるく行くぞ。
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