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大戦略IIの体験版
「大戦略II」は、1987年にシステムソフトよりpc9800シリーズ向けに発売された戦略シミュレーションゲームだ。僕がこのゲームと出会ったのは、2023年に放送されたアニメ「16bitセンセーション ANOTHER LAYER」の影響を受け、98がマイブームになっていた頃だった。システムソフトベータのサイトから体験版がダウンロードできるということで、とりあえずプレイしてみたのだが、そうしてテスト1週間前の週末を全て消費したところで得られた結果が、"無理"だった。その時の自分は、このゲームに「CookieClicker」と同じ印象を持ったのだろう。「キャンペーン版 大戦略II 体験版」は、PCからディレクトリごと消去されていた。しかし「CookieClicker」とは違い、このゲームは僕から時間を奪っただけでなく、まごうことなき"一敗"の記憶まで刻んでいった。このまま与えられた敗北に甘んずるのか?いいや違う。六田守もおそらく、当時このゲームをプレイしているときに同じ状況に立たされたに違いない。そういうわけで、この記事では大戦略IIの体験版に再挑戦していこうと思う。
インストール方法
大戦略II体験版のインストーラは以下のリンクからダウンロードできる。
キャンペーン版 大戦略II 体験版
しかし、Macにおいてはわからないが、Windows版はそのままではインストールできない。そこで、ReactOSプロジェクトのInstallShieldを用いることで無理やりインストールすることができる。
詳細は以下のリンク
16ビットセットアップランチャースタブを使用した32ビットプログラムのインストール - ReactOSフォーラム
を確認してほしいが、おおまかに以下のような手順を踏む必要がある。
Is3Engine.zipをダウンロード
普通にゲームのインストーラを起動
「"{ユーザー名}/AppData/Local/Temp/~/SETUP.EXE"を開始または実行できません」と出るので、そのSETUP.EXEがあるディレクトリに移動
SETUP.EXEをIs3Engine.zip内のsetup32.exeに置き換える
置き換えたsetup32.exeを起動
もっとも、これは公式にサポートされた方法ではないので、あくまでも自己責任で行ってほしいが、しかしこれで、この記事の読者も同じスタートラインに立ったと言えよう。
また、そのままでは窓が小さすぎて見づらいので、ゲーム画面のアップスケーリングにMagpie
GitHub - Blinue/Magpie: An all-purpose window upscaler for Windows 10/11.
を用いている。
プレイする
左上の「読み込み」からマップを読み込み、「開始」で開始できる。
より詳細な説明は、「Manual」フォルダ内のテキストを参照してほしい。
このゲームは、最初が肝心だ。
ゲームの内容としては、CivilizationやHearts of Ironに近い、いわゆる戦略シミュレーションゲームなのだが、
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真ん中の窪みの部分に都市が集中しているため、ヘリなどを活用して1ターン目からさっさと前線を押し上げないと、生産力で遅れをとってしまう。
また、上の画像は悪い例で、最初から前線にいる貴重な歩兵は間違っても敵のカノン砲の射程内に配置してはならない。この歩兵を失うと、空港の占領が遅れ、兵員の輸送が間に合わなくなる。
加えて、1ターン目は生産力がほぼほぼ無限なので、駆逐艦、戦車、航空機を大量に生産しておく必要がある。
2ターン目以降は、
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ヘリ、航空機を特攻させ敵のSAM、カノン砲を積極的に攻撃しつつ、敵の戦線構築を阻止するように攻めていくというのがおそらく正解だろう。また、1ターン目に生産した駆逐艦や戦車の移動も忘れてはならない。
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8ターン目。意外と好調な気もするが、どうなんだろうか。ただ、都市や工場を全く占領できていないので、生産力で上回る敵側に逆転される可能性は十分ある。
そしてこの後、実際に逆転されたが立て直し、最終的にはこうなった。
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これは追い詰めたと言っても過言ではないだろう。
しかしここからが長かった。面倒くさすぎる。きっと大戦末期のソ連も同じ心情だったのかもしれない。
そしてここから13ターン経過し、ようやく勝利することができた。
やっと、敗北の記憶と決別することができた。敗北を塗り替えた勝利が、最も勝利の実感を生む。
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感想
このゲーム、面白いのだが一つ欠点がある。それはクリアまで8時間かかることだ。まあ人によるのかもしれないが、慣れても4時間くらいはかかりそうだと思う。しかもこれで体験版というのだから、製品版を本格的にプレイしだしたら、おそらく総プレイ時間は桁が2つ増えることになるだろう。そして怖いのは、プレイの体感時間がこれまでに経験したこと無いくらいに恐ろしく短く感じることだ。死が早まった気がする。死にたくない。プレイしたのが僕だったから良かったものの、それがネガポジアングラーの常広(あるいはefの久瀬)だったらどうするんだ。これらの点から、Z世代、とりわけ僕のような、自分と向き合うことを避け、ある種の現実逃避として脳内を自分自身以外の情報で満たすことで自分自身のことまで考えが及ばないようにしている人間には厳しいと思った。ただ、それもこのゲームが面白すぎることの裏返しなので、この記事の読者も一度くらいは遊んでみてもいいのではないかと思う。