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MLBプロスペクトTop100発表!未来を担う注目のランクアップ&ダウン選手をチェック
2025年1月24日、毎年恒例のMLB公式プロスペクトランキングTop100(MLB Pipeline)が発表されました。大方の予想通り、1位は佐々木朗希、2位はBOSのロマン・アンソニーとなりました。
Roki Sasaki is your new No. 1 prospect!
— MLB Pipeline (@MLBPipeline) January 25, 2025
With Cy Young upside and potentially the best pitch in the world, Sasaki lands in the top spot: https://t.co/SDUw3758BP pic.twitter.com/rHFigFWp9E
MLBにはさまざまな楽しみ方がありますが、私にとって最大の魅力は「プロスペクト」と「トランザクション」です。未来のスター候補たちがどのように評価され、どのように球団の戦略に組み込まれていくのかを追い続けて早15年になります。発表された2025年版Top100を2024年版と比較しながら、気になったポイントを見ていきます。
2024年プロスペクトランキングとの比較
新しくランクインした選手(13人)
Roki Sasaki 右投手 LAD 1位
Jesus Made 遊撃手 MIL 56位
Drake Baldwin 捕手 ATL 63位
Zyhir Hope 外野手 LAD 75位
Thayron Liranzo 捕手 DET 82位
Carter Jensen 捕手 KC 86位
Arjun Nimmala 遊撃手 TOR 87位
Eduardo Tait 捕手 PHI 93位
Tre' Morgan 一塁手 TB 94位
Josue Briceno 一塁手 DET 95位
Jonny Farmelo 外野手 SEA 96位
Michael Arroyo 二塁手 SEA 98位
Theo Gillen 外野手 TB 99位
私が特に注目しているのはTre' Morganです。Dylan Crews、Paul SkenesとともにLSU(ルイジアナ州立大学)でプレーし、2023年のカレッジ・ワールドシリーズ優勝メンバーとなりました。ドラフト3巡目(全体88位)で取ったTBはうまいことやったなと思いましたが、ついにTop100入りかという感じです。
TBには1BとしてTre' MorganとXavier Isaacという2人のプロスペクトがいます。Isaacはパワーが魅力のスラッガータイプで、長打力に優れ、将来的には中軸を担う可能性があります。Morganは優れたバットコントロールと守備力を武器とするタイプで、ディフェンス面での貢献が期待されています。Kyle Manzardoを放出し、TBの未来の1Bレギュラーは2人のどちらかです。
攻撃力を優先するならIsaac、安定感や守備を重視するならMorganが起用されるかもしれませんし、DH起用やコンバートの可能性も考えられます。個人的にはMorganはCody BellingerのようにOFでも問題なくプレーできると思っていますが、彼らがどのようにメジャーでフィットするのか、チームがどのようにプランを描くのか、今後の動向に注目です。Yandy Díazの契約が残り1年10M+クラブオプション12Mなのでチャンスは十分に用意されています。
Zyhir HopeはLADがまた絶妙なトレードでCHCから獲得した選手です。ドラフト11巡目(全体326位)と評価はさほど高くありませんでしたが、2024年のマイナーリーグで大きく成長し、評価を急上昇させました。まだ粗削りな部分はあるものの、スピードとパワーのツールの組み合わせが魅力的なプロスペクトです。
もし今後さらに打撃のアプローチが改善され、現在はLFがメインのOF守備が安定してCFが守れるようになれば、MLBレギュラーを狙える存在となるでしょう。まだ20歳になったばかりですが、2025年はAAへの昇格が期待され、打撃の一貫性とコンタクトスキルの向上がカギになりそうです。
ランク外になった選手(13人)
Jace Jung 三塁手 DET 62位
Drew Gilbert 外野手 NYM 74位
Druw Jones 外野手 ARI 82位
Zac Veen 外野手 COL 83位
Brady House 三塁手 WSH 84位
Braxton Ashcraft 右投手 PIT 85位
Ryan Clifford 一塁手 NYM 87位
James Tibbs III 外野手 SF 88位
Jacob Melton 外野手 HOU 89位
Agustin Ramirez 捕手 MIA 96位
AJ Smith-Shawver 右投手 ATL 97位
Ralphy Velazquez 一塁手 CLE 98位
Carson Benge 外野手 NYM 99位
Jace Jungは打撃が売りの選手ですが、守備力の低さが懸念され続けています。もともと2Bとしてプロ入りしましたが、守備範囲や送球の安定性に課題があり、3Bへとコンバートされました。3Bでも守備力の評価は低く、将来的に1BかDHに移る可能性もあります。
DETはColt Keithを2Bからフルタイム1Bにコンバートし、Spencer Torkelsonの居場所が危うくなり、Kerry Carpenterも3B/OF/DHをうろうろしています。守備難タイプの選手をどう起用するか難しい判断を迫られており、Jungの将来のポジションが不透明になっていることも評価下落の要因です。JungがMLBで成功するには、兄Josh Jungのように3B守備でプラスを出すか、DH枠を確保できるほどの圧倒的な打撃を示す必要がありますが、そのどちらもまだ確立できていません。
Druw Jonesは2022年MLBドラフトで全体2位指名され、大きな期待を背負ってプロ入りしました。しかし入団直後に肩を負傷し、デビュー前に手術を受けることになったため、プロでのキャリアスタートが大幅に遅れました。その後もコンディションの問題が続き、思うように試合経験を積めなかったことが評価の低下につながっています。
父アンドリュー・ジョーンズ譲りの守備力と身体能力には定評がありますが、プロ入り後の打撃成績が期待を大きく下回っています。速球への対応力不足とスイングメカニクスの安定性が問題視されており、プロスペクトランキングが下がり続け、ついにTop100外となってしまいました。
ドラフト時に「父の再来」と言われ、エリート守備力+高い打撃センスを兼ね備えた5ツールプレイヤーになると期待されていましたが、現時点でその期待に応えることができていません。まだ21歳と若く、身体能力の高さや守備力のポテンシャルは依然として評価されています。今後の成長次第では再びプロスペクトランキングを上げる可能性もありますが、打撃の安定性向上が鍵となるでしょう。2025年シーズンはキャリアの方向性を決定づける重要な年になるかもしれません。
順位が上がった選手
Alejandro Rosario 右投手 TEX +36 86位→50位
Quinn Mathews 左投手 STL +32 77位→45位
Andrew Painter 右投手 PHI +24 32位→8位
Franklin Arias 遊撃手 BOS +19 95位→76位
Kumar Rocker 右投手 TEX +14 58位→44位
Leodalis De Vries 遊撃手 SD +10 28位→18位
Hagen Smith 左投手 CWS +10 34位→24位
Dalton Rushing 捕手 LAD +9 39位→30位
Colt Emerson 遊撃手 SEA +7 27位→20位
Sebastian Walcott 遊撃手 TEX +6 23位→17位
Alejandro Rosarioは2023年ドラフト5巡目ですが、2024年にA~A+で88.1イニング 防御率2.24と素晴らしい数字を残しました。K-BB率(33.1%)はマイナー全体で1位、K%(36.9%)とK/BB(9.9)は2位となりました。
スライダーは80mph台後半で鋭く曲がり、右打者に対して有効な決め球として機能しています。大学時代投げていたカーブとカッターをやめ、スプリットを左打者に対する3rdピッチとして使えるようになったことでK%が向上しました。先発投手としての完成度が増したことがランキング上昇の要因となっています。
TEXのSPはベテランもプロスペクトも(稼働できるかはともかく)数はいるので、Rosarioを急いで昇格させる理由は見当たりませんが、もしかしたら今シーズン中にMLB昇格もあるかもしれません。
順位が下がった選手
Edwin Arroyo 遊撃手 CIN -27 65位→92位
Moises Ballesteros 捕手 CHC -25 44位→69位
Kevin Alcántara 外野手 CHC -23 67位→90位
Owen Caissie 外野手 CHC -20 34位→54位
Jacob Misiorowski 右投手 MIL -20 80位→100位
Xavier Isaac 一塁手 TBR -15 36位→51位
Cole Young 遊撃手 SEA -11 38位→49位
Emmanuel Rodriguez 外野手 MIN -8 29位→37位
Nick Kurtz 一塁手 OAK -7 45位→38位
Jett Williams 遊撃手 NYM -6 52位→58位
CHCの2人の外野手の落ち込みが目立ちます。Kevin Alcántaraはローパワーと身体能力に優れた外野手ですが、マイナーでシーズン20発以上打ったことがなく、実力を発揮できずにいます。コンタクト能力の向上が停滞し、高い三振率が改善されていないことが評価低下の要因です。2024年シーズンはAAAでのK%が29.6%と危険水準で、速球への対応に苦戦する場面が目立ちました。
スピード身体能力の高さとからCFを守れると期待されていましたが、実際にはコーナーOF向きと評価されつつあるため、ポジション価値の低下も影響しています。うまく育てばCFで40発打つ選手になれるという夢を見させてくれる選手だったのですが…。2022年オフに20歳で40人枠に入ってしまったため、MLBにほとんど出ていないにもかかわらず既にオプションが1つしかありません。
Owen Caissieは2023年シーズンにAAで22本 OPS.918と打撃で成長を見せましたが、このままでは対右投手のプラトーンが限界ではという懸念が高まっています。守備でもRFとして評価されていましたが、レンジが改善せず、将来的に平均以下のLFかDHにコンバートされる可能性もあります。
CHCはPete Crow-Armstrong(PCA)がレギュラーを奪取し、Kyle Tuckerをトレードで獲得し、Ian Happと鈴木誠也は契約があと2年残り、ポジションが完全に埋まっています。26人枠に割って入るとしたらソリッドな4th OFとしてですが、Alexander Canario(オプションが残っていない)も含めてそういうタイプではありません。3人とも40人枠のため、そろそろトレード放出を考えなければいけない時期に来ています。