君に贈る火星の
”やあ。久しぶり。元気してる?
君と離れて暮らすようになって、もう3年になったね。
火星で農耕が簡単に出来るようになるにつれて、地球で使っていた道具を改良したものが沢山出回るようになったんだ。
この手紙が着く頃、僕からのプレゼントも到着すると思う。
僕が帰るまで後2年。
その間、僕たちの大切な畑を維持するのに使ってみて。とても便利で今までのモノとは比べ物にならないから”
彼からの手紙を読み終わった時、ピンポンと玄関のチャイムが鳴った。
「お届け物でーす」
受け取った荷物にもまた彼からの手紙が付いていた。
どれだけその道具をお勧めしたいんだか。
私はふふっと笑うと包装を解きながら手紙を読む。
”これが火星の最新型のシャベルです”
私の手にあるのはどう見ても土木作業にも使える大型のスコップ。
火星ではコレを「シャベル」と呼ぶようになってしまったのか。
私は彼からの贈り物であるスコップを手に持ち空を仰いだ。
あの地では関西勢が優勢か……
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