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読書感想文「しにたい気持ちが消えるまで」
「飛んでみたいなぁ」
この本を読み終わったワタシは心の底からそう思った。
もちろん、そう思っただけで実際に飛んだりはしないし、著者もそんなふうに受け止めてほしいなんてこれっぽっちも思っていないと思う。
でも素直に「羨ましいな」とワタシは思った。
競走するのをやめて、人に頼れるようになったら生きやすくなった。車椅子の詩人が綴る自伝的 初エッセイ
16歳のとき、死のうと思った。すごく天気の良い日で、こんな日に死ねるなんて幸せだと思った。自宅のベランダから飛び降り、頸髄を損傷するが一命をとりとめる。 「死ななくて良かった」 「何もできなくても生きていていい」 現在を生きる筆者による 自死を止めたい、やさしくなりたい、お守りのような言葉。書き下ろし自伝エッセイ。
この本の中でワタシの心の中に一番残った言葉は
何よりもまず肉体は生きたがる。何かを傷つけ殺してでも、身体は生きようとする。死を怖がる。
だ。
言語化出来なかった感覚はこれだったのか!
ワタシはずっと、最後の一歩を踏み出すことを引き留めているのは心の奥底のさらに奥にある何か(この世界への未練とか)だとずっと思っていたけれど、身体が生きようとするチカラが強いから生きるのだ。と言われれば、そっちの方が正しいような気がする。正しいとか正しくないとか、そういうのはどうでもいいのだけど。
この一文を読めただけでもこの本を読んでよかった。本当にそう思った。
本文ではずっと、つらい体験を聞かせてもらっているはずなのに、なんだかこの著書はとても幸せなんだろうな。とワタシは感じた。そして、それは一度飛んだからなのかな。と思わずにはいられない。
だからこそ、ワタシはこの本を読み終わった時に「飛んでみたいなぁ」と考えたのだろう。
ワタシは飛ばないけれど、ひょっとするとワタシみたいに考える人がいて、その人は飛んでしまうかもしれない。なんてことも考える。
物語ではなく、現実世界での体験談。その吸引力はとんでもないチカラとなる。ましてやそのラインが見えている人にとっては抗えないくらい物凄いチカラになるんじゃないだろうか。
もちろん、この本を読んで救われた気持ちになる人の方が多いだろう。口コミやレビューもそういった意見が多い。
でもワタシみたいに感じる人もいるだろう。
だから、安易におススメしたい本ではないかなぁというのが個人的な意見だ。
ワタシも小さい頃から「死にたい」「消えてしまいたい」ということを考えるのはあたり前のことだと思っていた。そして、この世界の人達は全員そういう気持ちがあるものだと思っていた。
なので「そんなことは一度も考えたことが無い」という人に初めて出会った時、そんな人がこの世界に存在しているんだ。と物凄くびっくりした。
ワタシが出会った自分とは反対側の世界の人達は、ワタシがそういった気持ちになるような状況に陥った時、どういうふうに考えるのかを聞いたことがある。
「周りを全部、元通りにならないくらいめちゃくちゃにぶち壊してやろうと思う」
片手で数えられるくらいの人にしか聞いてはいないけれど、ワタシが聞いた人達は、それがさも当たり前かのようにそう答えてくれた。
自分を壊すか。
世界を壊すか。
チカラを向ける方向は逆だけれど同じなんだなぁ。なるほど。と、その話を聞いたとき、ワタシは何となく納得した。
だからといって、ワタシの考えがそっちに変わったわけでもないし、今まで通り「消えてしまいたい」と、ふとした瞬間に思ってしまうのは相変わらずだ。
しかし、自分をこの世界から消し去ってしまうのではなく、世界の方を破壊してやろうという考えがあることを知ったことで、まだ何か他に向かえる方向があるんじゃないかなぁ。なんてことも考えてみるようにはなった。
そしてそれからは、一点集中していたときよりほんの少し楽になったような気がする。
生き辛い気持ちを抱えている自覚はあるけれど、生き辛いって何だろう。
たまにそんなことを考える。
消えてしまいたいと思うのは、生き辛いと感じているからなんだろうか。よく消えてしまいたいと思うくせに、ワタシはいまだにそこのところがよくわからない。
よくわからないけれど、はっきりとした言葉じゃなくても、なんとなくでも、その気持ちの中にある何かに少しでも触れられたら。存在をほんのりとでも感じられたら。それだけでも、固く重くピクリとも動かない何かに影響を与えられるのかもしれない。
ワタシが正反対の対処法を聞いて、なんだかほんの少し楽になったように。
もちろん答えなんて出ないけれど。
この本は安易にお勧めしたくないかなぁと。さっき言った。そしてその気持ちは本当だ。
でも、この本の中で言語化されているさまざまなモノを知ることで、自分の中のモヤモヤした何かに名前をつけられるかも。とも思う。そう考えると、いろんな人に読んで欲しいと言いたいかもしれない。
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