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方方(Fang Fang)さんの武漢日記に触発されて :12月22日

昨日(21日)、2021年度予算案が閣議決定された。一般会計106兆円と、3年連続で100兆円を超えた。税収は60兆円未満であり、残りは国債発行で賄うことになる。18日のnoteでも書いたが、我々はいつまでツケの先送りができるのだろうか?

歳出のメリハリが必要

日経の記事によれば、主な歳出項目は、新型コロナ対策予備(5兆円)、社会保障(35兆8421億円)、地方交付税等(15兆9489億円)、公共事業(6兆695億円)、文教・科学(5兆3969億円)防衛(5兆3422億円)となっている。これらの中で、将来の成長につながるかもしれない投資は脱炭素社会をめざした研究開発とディジタル化だけであり、その他は現状を維持するための歳出となる。

どれもが重要であることは否定しないし、特にコロナ禍に対処するための財政出動は止むを得ないにしても、単純な拡大ではなく、何かを切り捨てて出来る限り歳出を抑えることは不可欠だ。過去には、歳出増を国債発行で賄う予算に歯止めをかけるために、国債発行額や一般会計予算規模のキャップをかける意識・議論があったが、2011年の東日本大震災や、今回の新型コロナウイルスという国難で、歳出を抑える努力が弱まることを懸念する。

経験した屁理屈の例

自分が経験した狭い世界のなかでも「これはおかしいだろう」と思ったものに、2013年に仙台市多賀城に作られた制御システムセキュリティ-センター(CSSC)がある。CSSC自体は重要インフラの制御システムに対するサイバーセキュリティ対策を促進するための仕組みと設備なので、とても重要な設備である。それまであまり意識されることの少なかった「制御システムのセキュリティー」の重要性を広く認識させただけでも、大変大きな貢献をしたと考える。同時期に同じような演習をイスラエルから持ってくることに関与していたため、大変強い関心を持ってみていた。

問題は、CSSCが東日本大震災の復興費用で作られた、ということだ。被災された人々の生活再建、被害を被った道路や設備の復旧、被災した事業者の事業再建支援、などに復興予算は使われるべきだが、なぜサイバーセキュリティ対策事業が東日本大震災の復興事業になるのだろうか? 被災地域の仙台にあったソニーの工場跡地を利用していることで、復興事業の中に組み込まれたのかもしれないが、CSSCが出来た時点でまだ仮設住宅に住んでいる人々が沢山いたはずである。庶民感覚からいえば、復興事業でCSSCを作る金があったら、仮設住宅に住む人が自宅を再建するための補助金に回すべきだ、と考えるのはおかしい話ではない。どのような予算であれ、屁理屈をつけて自省庁の事業に持ってくる頭の良い役人の面目躍如、と理解している。

こういった行政の悪弊が改善されない限り、際限ない歳出増が続く。しかも、この予算は「2番じゃ駄目なんですか?」の事業仕分けで人気を博した民主党政権時代のものだ。政権が野党に取って代わられても、なんの財政規律改善もなかった。

2021年度も、コロナ対策の名目でおかしな事業が行われない、ことをひたすら願う。

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