向き合う
休職することになった。
今まで10年程社会人をしてきたが、体調不良で仕事を休んだことなんてなかった。
どちらかと言うと、自分はよく働くし、そういった人たちのフォローにまわるのが多い方の人間だった。
朝は早く起きなくていい。ゆっくり朝食を準備して夫を送り出した。
夫が家を出てすぐ玄関に泣き崩れたのを覚えている。
いつになったら子供に会えるの?いつなったらスタートラインに立てるの?周りからは妊娠報告ばかり。しかも私より後に結婚した人たちの。
泣きながら家事を済ませ、お昼が近づく頃にやっと泣き止む。
バセドウ病はどんどん痩せていくけど、お腹が空く。晩ご飯の食材も合わせてスーパーに買いに行く。スーパーに行くのも休憩しないと歩けなかった。そんなことになってるなんて気づかなかった。
頑張って辿り着いたスーパーで子連れを見る。
慌てて家に帰ってまた泣きながら食事の準備。
慌てたり走ったりすると、すぐにしんどくなるし足が震えてうまく走れなかったけど、そんなことはどうでも良くなるくらい。
体より心を守らないと潰れてしまいそうだった。
毎日その繰り返しでおかしくなっていた。
でも今まで我慢せずに毎日泣けて、ゆっくりできたことがあったかな?
行為ができないことに関してもずっと自分を責め立てて、体がこんな状態になるまで無視し続けたことを後悔し、この時間を使って自分と向き合うことを決めた。
ずるい自分に気づく。バセドウ病で苦しんでいるのは確かだし、9割はショックだったけど、「あー、これで私はただの行為ができない痛がりの惨めな人間ではなく、病気のせいでで妊娠ができない人間なんだ」と、1割思っている自分に気づいた。
病気を言い訳にするような、こんな考えでは病気がよくなるはずがない。
精神のもっと根本的なところから何かを変えなくてはならない。
それを教えてくれる経験なんだと言い聞かせて、好きなだけ泣いて自分と少しずつ向き合うことにした。