NPOセクター高齢化問題


今日FRJ2025の「NPOの価値とは何か」という設立6年目のNPOが出るには重たいタイトルのイベントに登壇してきました。
https://jfra.jp/frj/sessions_speakers.html

いきなりこんなタイトルで、諸先輩方に怒られそうですが笑、今回のイベントの事前打ち合わせで出てきた言葉でした。

イベントで話したこと、話せなかったこと、NPOセクターに若者がもっと増えるにはどうしたらいいかイベントを振り返って書いてみようと思います。

そして、前のnoteで引退の話を書いたら、40代、50代の人たちからたくさんリアクションがありました。

最近、年齢の話ばかり書いてますね。。こちらも併せて読んでみてください。

6年目のNPOの新参者が何を言ってるんだと怒られないように、セッション後のテンションを残しつつ、丁寧に書きたいと思います笑

・NPOセクターの高齢化


事前の打ち合わせでそんな課題意識が共有されました。
これまであまりその実感はなかったのですが、言われてみるとたしかにと感じました。


私は今回若手枠みたいな形で登壇した?のかと思いますが、私は35歳なので別に若くないと思うんです。

私は2008年ごろから活動してきて、ホームレス支援が最初のスタートだったので、それこそ派遣村の活動とかを活動始めたばかりの時に見てました。

その後、社会起業家ブームがあり、私はその頃インターンを始めました。
インターンで一緒だった同世代やボランティア仲間は振り返るとみんな就職のタイミングで企業で勤めてました。

インターンやボランティアでの活動がしんどかったのか、大変だったのかわかりませんが、その後NPOに戻ってくる人も少ない印象です。
新卒でNPOに就職する人やNPOを起業する人たちも少なかったです。

今はスタートアップの方が盛り上がっていて、社会課題にも触れられるし、ワクワク感や期待感がありそうですし、NPOほど身を削らなくても良さそうな雰囲気があるのか、NPOよりスタートアップで社会課題に取り組む人の方が多い。

先輩方が盛り上がりを作ってくれたのですが、そこに追随する若者が少ないのが今起こっているんだと思います。

・若者離れの背景

これは怒られるだろうなぁと思いながら恐る恐る書きますが、
NPOの人たちってなんか怒っていて近寄りがたい雰囲気があったように思うんです。
イベントでは、キラキラと揶揄されるようなエリート感だとか、男性中心の社会なんて言葉も出ました。

サンカクシャで若者たちと関わっていても、エリート感とか正義感とかが全面に出ると若者たちは引いていくんです。
これはサンカクシャの若者だけに限った話ではなく、今の若者たち全般にもそう映るんではないかなと感じます。

もちろん、私たちも活動を通じて、憤ることはたくさんあります。
怒りで人は動くかもしれませんが、同時に分断を生むなぁと今起きているさまざまな現象を見て思います。

また、社会課題もさまざま取り上げられていている中、あれこもれも深刻さばかりが訴えられると、あまり関心のない人たちはうんざりしてしまうんじゃないかなと。

深刻さを伝えることも大切です。でも、深刻さだけだとしんどい。

深刻さも伝えるけれども、活動の楽しさ、明るさ、フランクさみたいなものがあった方が関わってくれたり、応援したりする人が増えるかもしれない、そんなスタンスが最近は支持されているような気がします。

これだけで若者が増えるわけではないと思うので、イベントで話したNPOの価値にも触れながら、高齢化問題をどうしたらいいか考えたいと思います。

・NPOの価値①:課題の早期発見と普及啓発


少しだけサンカクシャが辿ってきたことを振り返ります。
2019年に法人を立ち上げたのですが、当時若者支援は全く見向きもされてませんでした。
当時は子どもの貧困対策などが主軸で、若者は自己責任とされていました。
私も子どもの貧困対策の一環で学習支援などに携わり、教え子たちが高校に進学した際に、みんな相次いで中退し、高校生年代に入ってからも支援の必要性を感じました。

当時は、幼少期からの支援が子どもの貧困対策では有効だみたいな意見が多かったので、なかなか高校生年代への支援は語られてない状況でした。

コロナのタイミングで、住まいの支援を始めましたが、住まいの支援はホームレスの方々や高齢者、障害者などがメインのターゲットで、若者が利用できる制度もありますが、若者が利用するにはニーズとマッチしてないものがほとんどでした。
今ではトー横キッズや闇バイトなどの報道が増え、若者の課題も目が向いてきたなと少しずつ感じます。

サンカクシャにも東京都やこども家庭庁をはじめ、全国の自治体や支援団体、企業の視察が年間100件以上あり、1年でだいたい300名を超える方の視察を受け入れてます。
経済同友会の方々にも現場に来ていただいて、若者の課題を知ってもらえるようにもなりました。
https://www.sankakusha.or.jp/magazine/20240903/

この5年を振り返ると、課題が認知されていないけれども、取りこぼされているところにいち早く突っ込んでいき、死ぬ思いをしながらでも、活動を作ってきたことに、そしてその課題や取り組みを発信していくことに大きな意義があったように思います。
話をまとめると、課題の早期発見と早期介入、課題の普及啓発がとても重要だったように思います。

・NPOの価値②:ビジネスモデルの外側の活動


サンカクシャは暴力を受け、心がズタボロになった若者を支援していて、心の傷の回復から活動が始まります。
1人支援するのに平均3年、そして3年間で352万円かかります。

サンカクシャでまとめている支援の5つのステップ

この352万円を高いとみるか安いとみるかは人それぞれですが、1人を支援するのにも時間も手間もとてもかかります。

公的支援は税金が元になっていることもあり、費用対効果が必ず言われます。
大変な層ほど、手厚い支援が必要になるのですが、この手厚さは費用対効果が悪く見られがちです。

大変なところに手を出せば出すほど、たくさんの人数を支援してるとはいえず、たくさんの人数を支援しているところの方がすごい活動をして見えるというのはよくあることかと思います。

安易な数字ばかりに重きを置かれると大変な領域こそ取りこぼされてしまいます。

時間も手間もお金もかかるとビジネスモデルを作って解決というもの難しい。

これははっきりと言いたいですが、ビジネスで社会課題を全て解決できるわけではなく、ビジネスモデルがどう考えても成り立たないけど、支援しなければいけない領域は絶対にあります。

ビジネスモデルとかそういうことを考えず、大変そうなところに突っ込んでいき、死にそうになりながら、色々な人に助けてもらう、これがNPOの1つの姿勢であってもいいように思います。

一方で、組織が大きくなり始めると、雇用を維持することとか、持続可能な仕組みを作っていくことが求められます。
活動が形になり、仕組みができると、新しい活動が作りにくくなります。

サンカクシャは今年度1.2億くらいの規模になりそうですが、今まさに葛藤しているところです。

現場で活動していると、まだ全然知られていない課題に気づく瞬間はたくさんあります。

規模が大きくなってリソースが増えてくる段階だからこそ、まだ発見されていない課題に次々着手する、これが大事なのではないかなと思います。
ただ、それが難しくなる。

そこにどうチャレンジするのかが今のサンカクシャの課題でもあり、なんとかしたいと思っているところです。

課題の早期介入や発見を立ち上がったばかりのNPOだけが担うのでは、キャッチできる課題が少なくなってしまうと思うんです。

NPOは大変なところに躊躇なく突っ込んでいく、それでも組織が死なないように、みんなで応援する。

こんな応援のされ方がもっと増えてほしいなぁ。

持続可能性はもちろん大事ですが、リスクを取ることを損なわない、このバランスが大事だと思います。

もちろん、担い手となるスタッフの持続可能性はめちゃくちゃ考えないといけません。担い手が無理せず、楽しく活動し続けられることは大事にしながらも、カオスに飛び込んでいける、そんな組織をサンカクシャでは作りたいです。

・まとめ:NPOはもっと狂おう!

とんでもない雑なまとめですみません、、笑

サンカクシャで抱える葛藤みたいな余計な話もしてしまいましたが、NPOというのはとても大切な役割を背負っていると思うんです。
それなのに、次の担い手となる若者が少ないことはまずい。

もっとリスクを背負って、次々新しい課題を発見し、それを社会に発信する。
ビジネスモデルなんて関係ねー!と大変なところにこそ飛び込んでいく。

それでいながら、楽しそうに、明るくフランクでいて、応援をたくさん集める。

ビジネスモデルを作れない企業の劣化版みたいな存在ではなく、ビジネスでは解決できない領域なんだと胸を張って活動する。

交流会の時間に荒井くんもジャケットなんか着てちゃんとしちゃってるねみたいなことを言われて、なんか守りに入ってるなぁと反省しました。

全て自戒を込めて書いてますが、もっと狂ったように攻めてるNPOが増えていけば、こいつら何かやってくれるかもしれない、自分もこういう存在になりたい。

そう思ってもらえると、次の担い手となる若者もこの領域に飛び込んでくるのではないかと。

そのためにも、働きやすい環境を整えたり、給与水準を上げていったりすることを進めていく。(こっちの方が大事な気がします)

体制を整えながらも、もっともっとリスクを取ってチャレンジするやつら、何かやってくれるんじゃないかと思ってもらえるように私も全力でやっていきたいと思いますー!

こんなことを書いておきながら、あまりNPOを背負って!という気持ちはないですが笑、NPOでしか取り組めないことは絶対にありますし、もっと盛り上がっていかないといけないので、NPOセクターのこととかあんまり意識せず、自分の現場にひたすら向き合って、狂ったように攻めていきたいなーと思います。



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