若者支援、35歳引退説
若者支援をはじめて17年。
30歳くらいの頃から35歳になったら今までのような若者支援ができないなと感じ、35歳で引退すると言っていました。
そんな私が先月35歳になりました。これまでを振り返りながら、今思う気持ちを書き残したいと思います。
※最初にお伝えしておきますが、これは私に限った話で、引退を煽っているわけではありません。私が意識していることをまとめ、それが誰かの参考になればという思いで書いています。
若者支援と聞いてピンとくる方は多くないかと思いますが、ここ最近トー横キッズや闇バイトなど若者を取り巻く課題が報道されています。
その背景には、親からの暴力や居場所がない若者の存在があり、そうした若者に居場所や住まい、仕事の提供などを行うこと全般を若者支援と言っています。
ここでいう若者支援とは15歳から25歳くらいのことを指しています。主に20歳前後の若者たちの関わりを想定して書いています。
これまでの若者との関わり
私は2008年の18歳頃からこの若者支援に取り組み、はや17年ほどになります。
私は若者たちと親とはちょっと違うちょっと頼りになるような友達のような関わりを意識してきました。
20歳の頃は中学生や15歳前後くらいの若者たちと主に関わり、みんなタメ口で「荒井」とか「あらいちゃん」と呼ばれていました。
ちょっと舐められるくらいがちょうどいい。
普段はバカにされたり、いじられたりするけれども、帰り道1対1になった瞬間に、深刻な悩みを相談される、そのような関わりをしていました。
20代後半になると、私も社会人なので、一緒にふざけて遊ぶというシーンもあれば、仕事のサポートだとか、ちょっとつながっている大人を紹介するなど頼れる姿も見せるようになります。
30代に入ると、だんだんと体力が落ちます。
サンカクシャを立ち上げた時は29歳でしたが、若者と朝までゲームをしていたり、サッカーをしたりするのですが、特にオールすると寿命が削れている感覚がありました笑
加えて、団体の代表ということもあり、この頃は「荒井さん」と呼ばれることが増えました。誰もタメ口とかじゃない、、
若者たちとフラットに関わり続ける限界
これまで意識していたことは、若者たちのフィールドや目線に自分の方から合わせるということです。
ゲームが好きな若者がいれば、オールで一緒にゲームをしたり、自分も本気で取り組む。なんなら負けず嫌いなので、相手より上手くなる笑
ちょっとバカにされつつ、でも頼りになる。同じ目線で遊んでくれるし、一緒にいてくれるから、悩んでることを話せる。
そんな関わりが若者たちには必要だと思い、意識して関わってきました。
ただ、30歳を超えてくると、若者たちと仲良くなるのに、とてつもない労力がかかると感じはじめました。
最初は、ただただ関わっていれば仲良くなれたものの、30前後になると4,200時間くらい若者たちとゲームを一緒にしたり、何度も一緒に朝まで過ごしたり、彼らの趣味にとてつもない時間を費やしてようやく目線が少しフラットになります。
若者に必要な関わり
若者たちとの関わりは、大きく分けて2つ大事な要素があると感じています。
1つは関係構築。もう1つは支援。
関係構築は私が得意としていたことで、ただただ仲良くなって、大人を信用してない若者たちが、この人にだったら悩んでいることを話してもいいかも。そう思ってもらえるように全力を注ぐ関わりです。
この時に、最初から支援をしようとかアドバイスをしようとか、相手の困りごとをなんとかしようということが前面に出ると、若者たちとの関係が築けない。
これを「支援臭」と呼んでいて、若者は支援臭に敏感です。
一方で、支援というのは、制度につなげたり、助言をしたり、相談にのることなどを指します。
こちらは制度の知識が必要で、いわゆる専門職の人たちの領域です。
若者支援者として、どちらも兼ね備えていることが強い。
でも、この両者ができている人は本当に少ない。
関係構築だけできても、支援ができないと難しいし、支援ができるけど、関係が築けないとそもそも支援も始まらない。
この両者が必要なのが若者支援の難しさです。
若者支援業界というものがあるわけではないと思いますが、周りの支援者を見ていると、圧倒的に後者の方が多いと感じています。
私は、若者支援が広がっていく際に、前者の関係構築に特化した支援者や場(居場所がここに当たると思います)の重要性をもっと訴えていかないといけないなと感じています。
そろそろタイトルの話に触れると、
関係構築を考えた時に、35歳を超えると、できなくはないのですが、労力がとてつもなくかかるということです。
私は30歳になった時に、35歳でこの関わりを引退しようと思っていました。
そして、先月35歳になり、いよいよ引退だなと思って、宣言の意味も込めてこの文章を書きました。
伝えたいことは、若者支援が広がっていく時に、この「関係構築」に重きを置いた関わりや場がまず増えてほしいということです。
そこで活躍するのは、20代や30前半の若手の存在です。
そして、支援者とこの若手の連携が大事。
相談窓口につながらない若者たち
若者たち向けの相談窓口などはありますが、相談ができる若者は少ない、ハードルが高いとよく言われています。
若者たちは、親近感がある人に相談をします。
周りの友達であったり、最近だとYoutuberや配信者、SNSで出会った人に相談をします。
今起きていることに絡めていうと、大人に相談するよりは、繁華街に屯することを選ぶし、SNSでさまざまな人とつながれます。
どれも安心できる場であればいいのですが、頼れる人がいなかったり、孤立していたりすると、選択肢が少なくなり、犯罪などに巻き込まれるリスクも高まります。
一方で、相談窓口にはなかなか繋がらない。大人にはなかなか相談しない。
いわゆる福祉や支援をする人と若者の価値観やキャラクターが大きくかけ離れています。
その現実にどう向き合うかが私たちには問われているのだと思います。
若者支援における「関係構築」の大切さをもっと訴えていこうと思います。
支援や相談の前に、まず仲良くなる場が若者たちには必要です。
そうした場を増やしていくことや若手の支援者を増やしていかないと若者支援は成り立たない。
私のこれまでの17年間を次の若手の支援者たちに共有していきたいなと考えています。今後を一緒に作っていく担い手が見つかるといいな。
我こそはと思う方はぜひ連絡していただけると嬉しいです。
今後の展望
最後に、私の今後をお話しします。
フラットに若者たちと関わることが難しくなった私は、次は仕事をする大人として若者たちに色々なものを伝えていこうと思っています。
私は事業の立ち上げと経営が好きなので、次は経営者として若者と一緒に働いて、私が先輩から教わった数々のことを若者たちに伝えていこうと思っています。
今、闇バイトに繋がる若者が多くなっています。
若者の居場所や住まいなどを展開してきて、仕事を作っていかないと福祉は闇バイトに対抗することはできないと痛感しています。
これから若者たちの仕事を作っていきます。
一緒に汗をかきながら働き、一緒に学び、一緒に食っていく。これまでと同じようにできる限りフラットにそんなことを一緒にしていきたいなと思っています。
この話はまた追って。
以上、私の17年の活動の引退宣言と今後の展望でした!
最後までお読みいただきありがとうございます!