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「本来の」リリイベ

まなみのりさ「たいせつな… 広島限定ver.」リリースイベントが、三連休直前9/14の駅南口地下広場エールエールを皮切りに、今日9/17まで4日連続で行われている。

こたつねこさんのこのツイートを見てハッとした!今の広島リリースイベントはフタバ図書さんのご協力あってオープンスペースのイベント。CDが発売された後で現物が売っていて、気に入ってくれたらその場で買える。複数買い特典ではなくて一枚でも買ってくれたらサインしてお話し。そうだ、今回の広島のリリイベこそが本来のリリイベじゃないか!

そんなの当たり前、何を今さら、という意見もあるだろう。でも、その当たり前のリリイベをできているアイドル、アーティストがどれだけいるのだろうか?発売何ヶ月も前から、場合によっては収録曲さえ決まらない段階から始まるリリイベ。もちろん現物のCDはなく、予約票だけが溜まっていく。複数買いを煽るレギュレーション。自分たちの歌を一人でも多くの人に届けたい、気に入ってもらいたい、という意図とはかけ離れた、オリコン順位の上位に入るためのリリイベ。今のアイドルのリリイベはほとんどがそういう感じだろう。いや、アイドルに限らず、だ。

なので、それ自体が悪いのか、と言われればちょっと即答はしかねる。誰もが少なからずやっていること。そしてそれは「売るため」の一つの手段でもある。そしてそんなリリイベをきっかけに、自分たちを知らなかった人たちに歌を届けることができる部分も少なからずある。実際にまなみのりさも「νポラリスAb/逆襲のポラリス」「真夏のエイプリルフール/Results」でそのようなリリイベをやっている。いわゆる「スタンプラリー」。購入枚数に応じたスタンプの数によって後日メンバーを交えた特典イベントに参加できる、というもの。

そして、この話をするとどうしても2年前を思い出す。2016年4月24日。渋谷TAKE OFF 7で行われたまなみのりさ定期公演。これから始まる「真夏のエイプリルフール/Results」リリイベに向けて、みのちゃんが泣きながら語った言葉。

「正直、このやり方が正しいとは思わない」
「生き残るためにはどうしても結果が必要」
「だけど、いつかそんな世界を変えてみせる」

テレビは視聴率で、雑誌や書籍は部数で、歌手はオリコン順位で評価される。テレビだって今や録画して観るのがあたり前、ネット番組の台頭を考えれば視聴率って意味のある数字なのか?雑誌や書籍も電子書籍が当たり前、音楽だってダウンロードやサブスクリプションが当たり前の世の中、「数字」にどれだけ意味があるのか?という疑問は残る。それでも視聴率の悪いドラマは打ち切られ、書籍も初版が売れなければ重版は難しい「生き残るため」には「結果」が必要なんだ、と。

そして彼女たちはこのCDでオリコンデイリー1位という「結果」を残した。

昨夏、移籍して復活第1弾のミニアルバム「さよなら、またね」がリリースされたとき、「積み滅ぼし」と銘打った。過去にこういうリリイベをやってきたけど、今回は無理に積まなくても良い、という彼女達なりの「罪滅ぼし」を「積み滅ぼし」と掛けた訳だ。ただ、そう言いながら、1,000枚限定CDということで「本当に自分たちの歌を広めるつもりがあるのか?」という批判も聞かれたりした。

でも、結果的に今ではこれらの収録曲はすべてダウンロード販売され、誰もが入手できるようになっている。

ニューシングル「たいせつな…」にしても、広島版と東京版、銘打っているとおりそれぞれが広島と東京でしか購入できないが、音源自体はダウンロード販売され、全国どこからでも購入できるようになっている。

CDというパッケージはある種の「特別なもの」という体裁をとりながら、曲自体はダウンロード販売やサブスクリプション公開で、自分たちの音楽を拡げていくことに余念がない。そういった理想的な流れがここ一年でできてきたんじゃないかと思っている。今回のリリイベもそういった流れの中で必然的にたどり着いた結果なんじゃないだろうか。思えば「正しいとは思わない」リリイベも経験してきて、その中でもがきながら結果を出してきたからこそ、一周回ってようやっと本来のあるべき姿、になれたというのが改めて感慨深いのだ。「いつかそんな世界を変えてみせる」にはまだほど遠いかもしれないけれど、それに向かって確実に小さな一歩は歩みだしている、と実感する。

今日9/17は、そんな広島リリイベ最終日。ジ・アウトレット広島で行われる。お近くの方はよろしければまなみのりさが見せる「本来の姿のリリイベ」を楽しんでほしい。


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