クールダウン
3年ぶりのまなみのりさのTIF出演。その皮切りはフジテレビ本社前のドリームステージ。チケットを持っていない人でも観覧できる、一般の人の目にも触れやすいステージだ。このステージに対する彼女たちが決めたテーマ「今のまみり」のセトリは以下の通り。
1.花びら
2.LUCK SONG
3.三ツ葉
~MC~
4.ウソ
~MC~
ちなみにこのセトリ、個人的に直前に予想ツイートをして、曲こそ全部当てたものの「花びら」と「ウソ」の順番が逆だった。惜しかったということでちょっとだけ自慢したいが(笑)いずれにしても正に今のまみりを表現するならこの曲だ、という4曲のセレクトは納得がいくところ。
しかもタイテは直前がPimm's、PartyRocketGTというロック色の強い演者。そもそも野外ステージだけにどこもガンガンに盛り上げる系の曲を持ってきている中では異色ともいえるこのセトリ。クラップするのも「LUCK SONG」くらいで、「ウソ」「花びら」にしても大人しい曲ではないけれどじっくり聴く系の曲。「三ツ葉」に至ってはバラード曲だ。ステージ後のツイートの動画で本人たちも炎天下にバラードなんてごめんなさい、と謝っていたけど、いやいやどうして。むしろ炎天下の野外のステージだからこそ「一服の清涼剤」のようなクールダウンになったと思う。真夏のフェスの野外ステージこそ、こういう演者が不可欠じゃないのかな?
という訳で、最近まみりの口からも出るようになった「クールダウン」という言葉。今回は野外ステージということもあってそれが一層独特のものとして輝いたんじゃないかと思う。これも「GIG TAKAHASHI TOUR」であゆみくりかまき、Task have Fun、桜えび~ずと一緒のツアーを回った時の一つの成果。その時のパンフレットに4組から1名ずつ参加しての座談会の様子が掲載されているが、そこでみのちゃんが言ったのがこの言葉。
逆に言うと、まなみのりさはほかの3グループさんがすごい熱いライブをして"わー"って盛り上がっている中で、お客さんをクールダウンさせるっていう役割だと思っていて。まみりの曲はお客さんが声出したり、コールしたりする曲が少ないんですけど(笑)。だから、いい意味でクールダウンできるようなライブをしたいなって思っています。
このツアーをきっかけに、MCでも「クールダウン」とか「箸休め」とか自分たちで言うこともしばしば。いやいや「箸休め」という表現は自虐的過ぎてどうかと思ったけど、本人たちは「いい意味での箸休め」って言ってたからね(笑)。でも、たしかに他のグループが盛り上げてるから負けないように、ではなくて、敢えて「クールダウンの役割」と言えるところがまみりの強みだと思う。「我が道を行く」ではないけれど、他には真似できないステージをできるのは、復活したた時に目指していた「唯一無二の存在」になってきている、と言えるんじゃないかな?
「ポラリスAb」「花魁サンダー」…自分がファンになった頃のまみりライブはフロアも一体になった熱いライブが特徴の一つだった訳でね。一周回って「クールダウン」と言えるようになったのは一つの成長だと思うし、12年目のベテランアイドルとしてあるべき姿の一つの解なんじゃないかと思うんだよね。自分たちが前に出るのではなく一歩引くことによって逆に引き出すことができる圧倒的な存在感。
GIG TAKAHASHI TOURといえば、ファイナルではまなみのりさの次があゆみくりかまきというタイテで、こういう感想も聞かれた。
4組が4組、あるいはゲストも含めてすべてが盛り上げセトリだったらこうは行かなかっただろう。あえてまみりが「クールダウン」に徹したことによって次のあゆくまが爆発的に盛り上がる、というね。バネは縮めて縮めて、その反動で大きく跳躍する、みたいな感じ。
そして「クールダウンのセトリ」を構成するにあたって「LUCK SONG」「ココロト」という「緩く盛り上がれる曲」をレパートリーに持っている、というのは強いな、と感じた。ガツガツ煽る訳でもないからまみりの特徴であるハモリも映える形での盛り上がりを作れる。これもまた「まみりならでは」の世界観 。
そういう意味では、3月から新曲として「LUCK SONG」がラインナップに加わったのは大きな武器だと思ってる。対バンライブはある意味ガチンコ勝負。「真剣勝負バチバチ行くけえ」と考えがちだけど、対バンツアーの融合性を考えると「肩の力を抜いて気楽に行こう」という存在も重要な役割、ってこと。
このあたりの思いは、ベストアルバムのタイトル「breath」にも表れているんじゃないかと思っている。音楽用語でのブレスは「息継ぎ」。息継ぎせずにずっと歌ってはいられない。文字通り「一息入れる」というのがクールダウンであり箸休めの役割、というのにぴったりのタイトルだ。
そして息継ぎの仕方やタイミングで曲全体のイメージは大きく変わる。休み方が大事。それこそ一度「立ち止まった」ことのあるまなみのりさだからこそ「息継ぎ」の大事さを知っているはず、などという深読みもしてみたりする。