まなみのりさAcoustic Live ~アコースティックの固定概念を超えたライブ~
ということで、なかなかまとまった時間がないと書く気が起こらないのが会社勤めの悲しい性。とはいえズルズル放っておいたら年が明けてしまいそうなのでここら辺でまとめておくw
そんな訳で今更ながら12/10にMt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASURE で行われた「まなみのりさ~Acoustic~」を思い返しているのだが、改めて考えると自分たちの中で「まみりのアコースティックって、こういうもの」っていう固定概念みたいのが知らないうちに出来上がってて。でも、それを見事に(良い意味で)裏切って来たのが今回のステージだったなぁ、と思う。
そういう意味では、実は前半はあまりピンと来てなかった。(後でそれが「あーそういうことか!」と思った訳だけど)。ORIONのアカペラ始まりは最初っから震えたけど、いざ中身はというとパーカッションもカホンではなくドラムを普通に叩いてて「これってアコースティックじゃなくて単なるバンドライブなんじゃないの?」ってね。ただ、3人の歌声はビンビンと心に響いてきて、あー改めて自分は3人の歌声が好きなんだなぁ、としみじみして、時折涙しながら聴いていた。これも後でからくりが分かるわけだけど。
やっぱりアクセルが入りだしたのはJAZZアレンジの「waveびーと」あたりからだったんだと思う。個人的には「bye byeバイナリ」のアコースティックはあっても「waveびーと」はないと思ってた。それは単にお祭りソングだから、ってことだけではなく、アコースティックでアレンジ替えても「歌詞を聴かせる曲」ではないと思ったから。でも、狙ってきたのはそこじゃなかった!
ちょっと「ルパン三世'80」を彷彿させるようなオシャレなJAZZアレンジ。その音に実にいい具合にまみりの声が乗っかってくる。ルパンで言えば峰不二子のような妖麗さを感じさせる歌声。いつもならコールで張るような「たいぎい言うたらゆるさんけえ」「2サビ行くよ」といったところを敢えて低音に抑えたり、ワインレッド衣装とも相まってぐっと大人っぽい仕上がりに輪をかける。これぞそんじょそこらの若年アイドルでは出せない、年輪を重ねて技術を持ったアラサーアイドルだからこその技。
そして単にアコースティックはしっとり歌って歌詞を聴かせる、ってだけではなく、ああいうアレンジで音を楽しむ、っていうのもアリ、ってことを改めて認識させてくれたと思ってる。
それは、続く「ウソ」で確信になった。それまでもいろんな要素を詰め込んだこの曲が、アコースティックということでそれをそぎ落としてどういう曲になるか?と思ったが、たった1本のバイオリンが加わるだけで奥行きの深さがグッと広がった感じがした。それと同時にバイオリン1本でここまで広がるのであれば、フルオーケストラバックのアコースティックでこの曲を演ったらどんなスゴイことになるんだろう、という想像が膨らんだこと。いつか是非実現してほしいな、と妄想に駆られたね!
そこからの「bye byeバイナリ」は、個人的には「キターーー-!」って感じで。これは後ほどもう一本別に書きたいくらい個人的にはエポックメーキングな出来事だった訳ですよ。
そしてピアノ伴奏だけの「knock」はいわゆる和食的な引き算の料理。これはアコースティックとしては正攻法の伴奏を削ぎ落とすことでよりまみりの声を楽しむことができた。
そして冬曲メドレー。上京して最初の成果である「アイドルお宝くじSP お宝カヴァーしNight」優勝の収録日が、4年前の正にこの日12/10という巡り合わせもあったからか、やはりこの日のカヴァーも手を抜かない。フリがない分、歌とハモリを極限まで仕上げてきた感じ。カヴァーって下手すると単なるカラオケになっちゃうから難しいんだけど、自分たちの持ち曲のように仕上げてきた。これって、お宝くじやパーティーライブでも散々見せてきた、正に「カヴァーのまみりもスゴイんだぞ」っていうのを見せつけられた気がした。とくに男性の曲を女声で歌うって結構難しいと思うし、今回はソロシンガーの曲も多かっただけにハモリをつけるのも大変だったと思うけど、そんなこと全く感じさせないカヴァーだったな!
そして「ココロト」の時にすべて理解した。出だしの「ORION」もそうだけど、パーカッションもカホンではなくドラムを普通に叩いてて「これってアコースティックじゃなくて単なるバンドライブなんじゃないの?」と思ってたんだけど、違う。アコースティックだからこそのバンドライブ。 もし単なる生バンドバックのライブだったら、普通にスタンディングでコールもかかっていただろう。でも、今回はアコースティックということで、着座でクラップ程度、だからこそ、普段コールにかき消される歌声もきちんと聞こえて、まさにこれ、アコースティックライブだからこそ、と思ったんだよね。
あと、新曲の時に披露した、みのちゃんのカズー、りっちゃんのオカリナ、そしてまなさんのタップね。これが素晴らしかった。とくにまなさんのタップは、エンタメ要素多めでサービス精神旺盛なまなさんだからこそのナイスプレイ。タップのボートと靴を持ってきて「ダサい靴下履いてきちゃった」といったくすぐりを入れつつ、いざ!となったら両手にスリッパでタップもどきを演奏する、という「それかーい!」とツッコミたくなるようなネタ披露。しかしそこから後半は本当にタップを披露して魅せるという。これっていわゆる歌ネタ芸人の人の常套手段だよね。フラチナリズムもハチャメチャやっといて最後「幸せのキセキ」で締めるとかやるしね。絶対に彼らの入れ知恵があったんじゃないかと思ってるw
そして本編最後のフルコーラスアカペラの「三ツ葉」。これを絶賛する声は多いけど、アコースティックワンマンの全編を見れば、これも要するに今回のアコースティックの中のいろんな表現として、その中の一つ、なんだろうな、と思った。ふんだんに演奏の音を使ったアコースティックもあれば、逆にまったくバックのないフルアカペラの表現もある。最後にそれを象徴的に示したかったんだな、と。
ちょっと上手くて年期入ってるアイドルだからアコースティックやってみました、っていうようなレベルのアコースティックライブはもうはるか昔に通り過ぎてるな、という実感。ダンスを封印した、という以外のところで、彼女達ができる最大限の表現をしたのが今回のアコースティックだと思っている。実力派かつ大人アイドルだからこそ魅せることができる「次のアコースティックの可能性」を示してくれた感じ。
細かいことをいえば、マイクの使い方とか、バランス的にもうちょっと考えても良かったかな、と思うようなところはいくつかあった。それをもってしても十分にレベルの高かったライブであったが、逆に言えば、まだまだ伸び代もあるということ。緊張もあっただろうし、次はさらに良いものを披露してくれる、という期待感もある。願わくば次は、広島のホールでのアコースティックライブ、期待したいね。