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はじめてコーヒーを飲んだ日

『こぽこぽ、珈琲』という本を読み始めた。
まだ読み終えてないけれど、はじめて飲んだコーヒーのことを思い出したので、思い出を書いてみる。

はじめて飲んだコーヒーは、500ウォンのあま〜い自販機コーヒーだった。
21歳大学生のわたしは、韓国ソウルにある東国大学に交換留学生として通っていた。

東国大学には留学生が韓国語を学ぶ語学堂が併設されていて、わたしもその語学堂に通っていた。
クラスのほとんどは中国人で、日本人はわたし含めて二人だけ。
語学堂に通い始めた当初は、クラスに馴染めるかとても不安だったが、杞憂だった。

みんなとても明るくて、朗らかで、やさしかった。
日本の文化にも興味をもっていて、積極的に話しかけてくれた。
語学堂の授業が終わったらみんなでご飯を食べに行ったり、料理が得意なクラスメイトの家に集まって、中国料理をごちそうになったこともあった。

ある日、クラスのみんなでゲームをすることになり、負けたチームはみんなにコーヒーを奢ることになった。
罰ゲームは冗談交じりで決めたものだったのだが、負けたチームの子たちは、律儀に全員分のコーヒーを買ってきてくれた。

一人の子がノートをお盆代わりにして、その上にいくつも紙コップをのせて教室に入ってきた。
コーヒーがこぼれないようにそろりそろりと歩いて、クラスのみんなにコーヒーを配っていく。
もちろん、わたしの手にもそのコーヒーはやってきた。

その日まで、わたしはコーヒーを飲む機会がなかった。
胃に悪いと聞くし、種類もいくつかあって注文するのが難しそう。
父はよくコーヒーを飲んでいたが、全然美味しそうに見えないし、きっと一生飲むことはないと思っていた。

クラスの子からコーヒーを渡されたときは、正直どうしようかと思った。
でも、せっかくクラスの子が買ってくれたのに・・・。
ここで飲まないわけにはいかない。

わたしは覚悟を決めて、ぎゅっと目を閉じ、ずぃっと一口飲んだ。
「あれ、思ってたのと違う」
やや冷めたそのコーヒーは、わたしの予想を裏切りとても甘く、舌にじわっと染み込んでいく。

お砂糖がたっぷり入った甘いコーヒー。
韓国には学校や地下鉄の駅などにコーヒーの自販機があって、小さな紙コップに入ったコーヒーが500ウォン(当時だと50円程度)で気軽に購入できた。(今もあるのかな?)
クオリティとしては、いわゆる粉状のミックスコーヒーに近い。

気がついたら、わたしはコーヒーを飲み干していた。
その日以来、毎日自販機のコーヒーを飲むようになった。
そのうち友人たちとカフェに行き、カフェラテを頼むようになった。
休みの日は一人でカフェに行き、コーヒーを飲んでぼーっと過ごしたりもした。今思うと、とても幸せで贅沢な時間だったな。

当時はブラックコーヒーを飲むことはできなかったが、現在はブラックでもなんでも1日3杯はコーヒーを飲まないと落ち着かない。

味に大きなこだわりはないので、家では手軽に入れられるスティックタイプのコーヒーを好んで飲んでいる。(AGFの「ちょっと贅沢な珈琲店 スペシャルブレンド」が最近のお気に入り)

わたしが住む京都は、カフェや喫茶店、コーヒースタンドがたくさんある。
最近は大手コーヒーチェーンばかり行っているので、そろそろ新しいお店を開拓したいところ。

さて、文章も書き終わったことだし、コーヒーでも飲もうかな。


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