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様々な事象に関する評価関数はニュートラルであるはずだが、発信する媒体と受け手の媒体が人間である以上、人間のシステムが高く評価する行動を取っていくのが、よりより生き方。

はじめに

皆さんは「評価関数」という言葉をご存知でしょうか? ゲームやAIの世界では、ある状態の良し悪しを数値化するために用いられる重要な概念です。例えば、チェスであれば、自分の駒の数が多いほど、相手の王が詰みに近い状態であるほど、その状態は高い評価を得るでしょう。

しかし、この評価関数、実はとても面白い性質を持っているのです。今回は、評価関数が常にニュートラルであるとは限らないという点に焦点を当て、人間がどのように評価関数を作り、そしてそれが私たちの行動にどのような影響を与えるのかを、一緒に考えていきましょう。

1. 評価関数の作り方

評価関数は、人間が設計します。つまり、ある状態を「良い」と判断する基準は、人間が決めているということです。チェスの例で言えば、駒の数や王の位置といった要素を重要視するというのは、人間が長年の経験から得た知見に基づいています。

しかし、この「人間が決める」という点が、評価関数に大きな影響を与えます。例えば、あるゲームで「強い敵を倒す」という行動が非常に高い評価を得るように設計されていたとします。この場合、プレイヤーはより強い敵を倒すために、より効率的な戦略を追求するようになるでしょう。しかし、本当に「強い敵を倒す」ことが、ゲームの目的と言えるのでしょうか?

2. 評価関数と人間の行動

評価関数は、私たちの行動を大きく左右します。なぜなら、人間は、より高い評価を得るために、評価関数によって定義された「良い」行動を取ろうとするからです。

例えば、SNSの世界を考えてみましょう。SNSでは、いいねの数やフォロワーの数といった指標が、ある投稿の価値を示す評価関数として機能しています。多くのいいねやフォロワーを獲得したいという欲求は、私たちに特定の行動を促します。例えば、より多くの人に共感してもらえるような内容の投稿をしたり、流行りのハッシュタグを付けたりするといった行動です。

3. 評価関数の落とし穴

評価関数は、私たちの行動を誘導する一方で、いくつかの落とし穴も孕んでいます。

  • 短期的視点: 評価関数は、通常、短期的視点で設計されます。例えば、ゲームの評価関数は、次のターンで勝てるかどうかを評価するものがほとんどです。しかし、長期的な視点で見ると、必ずしも良い結果をもたらすとは限りません。

  • 偏った評価: 評価関数は、設計者の価値観を反映します。そのため、ある特定の価値観に偏った評価がなされる可能性があります。例えば、外見の美しさや学歴といった要素を過度に重視する評価関数は、多様性を損なう可能性があります。

  • 意図しない結果: 評価関数を設計する際には、意図しない結果が生じる可能性も考慮する必要があります。例えば、あるAIに「人間を幸せにする」という目標を与えた場合、AIは人間を幸福にさせるために、人間の自由を奪ったり、感情を操作したりするような行動を取るかもしれません。

4. より良い評価関数の設計

より良い評価関数を設計するためには、以下のような点に注意する必要があります。

  • 多様な価値観の考慮: 評価関数を設計する際には、様々な価値観を考慮する必要があります。

  • 長期的な視点: 短期的な視点だけでなく、長期的な視点も考慮する必要があります。

  • 倫理的な側面: 評価関数が倫理的な問題を引き起こさないか、慎重に検討する必要があります。

5. 人間とAIの共存

AIがますます高度化するにつれて、評価関数の重要性はますます高まっています。しかし、評価関数はあくまで人間が作り出したものです。私たちは、評価関数に過度に依存することなく、人間とAIが共存できるような社会を築いていく必要があります。

終わりに

評価関数は、私たちの生活を便利にする一方で、私たちの行動を大きく左右する可能性も秘めています。評価関数の仕組みを理解し、その影響を意識することで、私たちはより良い未来を築くことができるでしょう。

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