2024年上半期の新譜 お気に入り2枚について
7月も終わりに近づいてきましたが、今更ながら2024年の上半期に聴いた新譜(海外インディ作品中心)の中で、特にお気に入りの2枚について感想を書きました。良ければお付き合いください。各作品の試聴リンクも貼り付けているので、気になったらぜひ。それではどうぞ!
Goat Girl『Below The Waste』
(2024年6月7日リリース)
サウスロンドン発3ピースバンドのゴート・ガールによるサードアルバム。2016年の結成以降、気だるいガレージサウンドをかき鳴らしてきた彼女たちは、シンセを取り入れた前作でまたひと味違う表情を見せた。だが、今作もこれまでとはかなり様子が違う。まるで鈍器を打ち付けるようなギターが鳴り響き、時にはインダストリアルな雰囲気を醸す一方で、シンセや鍵盤、打楽器、ストリングスの音により装飾される一幕も。フォーキーな路線へ一気に接近するさまは、暗闇で微かに瞬く星の光のような幻想的な広がりをもたらしている。もちろん過去作にあった気だるさや狂気、ヘヴィネスが今回失われたわけではない。ただ、今のゴート・ガールは、荒々しさや翳りの中に潜む繊細さを研ぎ澄ますことで、これまでに以上に色濃く、進化ならぬ深化したのではないだろうか。よりディープに、ゴート・ガールという深い森の中へと聴く側を引きずり込む今作。曇天にもぴったりだが、やはり真夜中に聴くと一層エモい一枚だ。
The Last Dinner Party『Prelude to Ecstasy』
(2024年2月2日リリース)
クイーンのブライアン・メイを彷彿させるギターソロにキャッチーなサウンド、存在感のあるヴォーカル、そして映画の登場人物のような華やかなルックス――こんなカッコいい女性の新人バンドがUKから出てくるなんて! 昨年先行配信された「Nothing Matters」のMVを観て衝撃を受けたのが、ロンドン出身の5人組ザ・ラスト・ディナーパーティーである。満を持して世に放ったこのデビュー盤では、グラム・ロックやニューウェーブ、ゴス、バロックポップなどの系譜をなぞりながら、ドラマティックかつスケールのあるロックアンセムを次々と展開。まるでおとぎ話の中に誘われた心地にすらなる。だが物語の主人公は他の誰でもない。紛れもなく彼女たち自身なのだ。仰々しいほど華やかな今作には、きっとバンドの今現在、そして誇りとプライドが強く刻まれている気がしてならない。彼女たちの物語は始まったばかりであり、まだまだその勢いは止まらないだろう。今年も世界各地のフェス等でライヴを重ねているが、ついに日本にもやってくる!7月27日、フジロックのグリーンステージでどんなパフォーマンスを繰り広げるのか。しっかりとこの目に焼き付けたい。楽しみ!
以上です。
上半期、他にも素敵な作品に出会い感想をまとめようと思ったものの、フジロックの準備で時間が足りず……。気が向いたら、もしくは年末に年間ベストをまとめる際に書けたらいいなと思っています。引き続き、新しい音楽を求めて楽しくディグしていきたい所存。ロックも、ジャズも、ブラジルも、ダンスミュージックもなんでも聴いていきたいですね。取り急ぎ人生初のフジロック、2日目のみの参加とはいえ思い切り楽しんできます!