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Meta Questの新たな進化が意味するもの - ビッグテックが織りなす空間コンピューティング市場の競争

こんにちは!空間コンピューティングで人々のまなざしを拡げるMESONの小林です。

最近、Meta Quest 3(s)向けの新たなOSアップデートが一部のユーザーに公開され、ホーム画面にウェブアプリ(PWA)を追加できるようになりました。

このアップデートは単なる機能拡張以上に、Metaの戦略と空間コンピューティング市場におけるビッグテック間の競争の一端を垣間見せるものです。今回はそのアップデート内容と背景にあるMetaの意図について解説していきます。

今回、Meta Questの新しいアップデートを学ぶにあたり、こちらの動画も参考にさせていただきました!ぜひ併せてご覧ください!


新たなアップデートで可能になったこと

Metaが今回公開したOSアップデートの目玉は「PWA(プログレッシブウェブアプリ)」への対応です。

簡単に説明すると、ウェブ上で提供されるサービスやツールをそのままMeta Questのホーム画面に登録してネイティブアプリのように使えるようになるということです。

https://www.youtube.com/watch?v=lIQmO8ZGStw

従来、Meta Questでは専用のアプリを個別にダウンロードする必要がありました。しかし、今回のアップデートにより普段スマホで利用しているニュースサイトやツール、SNSなどがあたかもQuest専用のアプリであるかのようにすぐ起動できるようになります。

https://www.youtube.com/watch?v=lIQmO8ZGStw

これによりユーザーは新しいデバイスに乗り換えた際の「何も使うものがない」という課題を払拭し、すぐに慣れ親しんだコンテンツを楽しむことができるのです。

本アップデートはまだ一部のユーザーにのみ提供されている実験的な機能です。今後ユーザーからのフィードバックによって変更が生まれる可能性もありますが、近々全ユーザーへと展開されることになるでしょう。

AppleとGoogleにあって、Metaにないもの

近年、AppleはApple Vision Pro、GoogleはAndroid XRといった製品を発表し、空間コンピューティング市場に本格的に参入してきました。

両社はユーザーが日常的に利用しているスマホ向けの豊富な2Dアプリ群とそれを支えるApp StoreやGoogle Play Storeという強力なプラットフォームを保有しています。

それ故にユーザーはAppleやGoogleの空間コンピュータ上でも、これまで慣れ親しんできた2Dアプリをそのまま持ち込むことができ、日常生活や仕事の場面で利用できるのです。

一方でMetaはMeta Questシリーズを通じて空間コンピューティング市場のパイオニアとしての地位を築いてきましたが、日常生活や業務で使われるアプリケーション群という点ではこの2社と比較して劣勢になってしまいます。

Metaはゲームやエンターテインメントの領域では強みを発揮し、すでに多くのイマーシブアプリケーションを抱えていますが、PCやスマホで普段使われる2DアプリはMeta Questの中ではまだ使うことができるアプリが少ないのです。

PWAサポートという「燃費の良い」アプローチ

今回のOSアップデートで導入されたPWAサポートは、MetaがApple, Googleに対して持つディスアドバンテージを解消する解決策の一つだと自分は捉えました。そして同時にこれはMetaにとって非常に「燃費の良いアプローチ」でもあると考えます。

空間コンピュータの初期利用段階では2Dアプリが果たす役割は極めて重要です。空間コンピュータを装着したユーザーが手持ち無沙汰にならずに、普段から使い慣れたツールで作業を続けられる環境を整えることは、初期の市場浸透にとって決定的なメリットとなります。

しかし、この2Dアプリ群が長期的に必要とされる資産かというと必ずしもそうではありません

空間コンピュータが浸透する中で日常的に利用されるアプリケーションも2Dの枠を超え、より直感的で没入感のある3D体験へとシフトしていくでしょう。

そう考えるといまからMetaが2Dアプリの資産を開発者を募って構築することは費用対効果が高い取り組みとはいえません。PWAを活用してアプリ資産を一時的に増やし、ユーザーが空間コンピュータに慣れるための「足がかり」として機能させることは合理的な戦略なのです。

Metaはこのある種パッチ的といえる施策を通じて短期間で2Dアプリの不足を補い、Meta Questをゲーム機からPCの代替へ移行させるプロセスを円滑に進めようとしているのだと私は考えます。

今回のアップデートから垣間見える空間コンピュータの位置付け

今回のMetaのアップデートから空間コンピュータの位置付けがどんどんPCの代替的な存在として確固たるものになりつつあるということが垣間見えます。

また各社の動向をみても、空間コンピュータはもはや単なるゲーム機としての枠に収まらず、日常生活やビジネスシーンにおけるPCの代替としての役割を目指していることが伺えます。

そのため従来のスマホやPCで利用していた2Dアプリをそのまま利用できることは、ユーザーにとって非常に大きな価値を持ちます。

AppleやGoogleがすでに持つアプリエコシステムと対抗するためには、Metaも同様にユーザーが慣れたアプリケーション環境を提供しなければなりません。

今回のPWA対応アップデートは、Metaがこの課題に正面から取り組み、空間コンピューティング市場においてAppleやGoogleに対抗しようとする一手と見ることができます。

AppleやGoogleといった巨大企業との競争において、ユーザーにとってどれだけ使いやすく、親しみやすい環境を提供できるかが鍵となります。Metaの今回の動きは、Meta Questシリーズが空間コンピューティング市場で引き続き大きな存在となるための重要な一歩になるでしょう。

2025年に起こるビッグテック同士の空間コンピューティング競争

私は2025年の始めに公開したnoteで「ビッグテックが空間コンピューティング市場の覇権を奪い合う戦いが2025年には起こる」と予測していました。

Metaの今回のアップデートはApple、Googleの市場参入をかなり意識したアップデートでした。2025年は各社がこれまで以上に空間コンピュータ内のアプリエコシステムに投資を行い、しのぎを削っていくことになるでしょう。

Metaがどのようにエコシステムを拡大し、日常生活やビジネスシーンでの利用価値を高めていくのか、そして2025年にビッグテック間の競争がどのような形で展開されるのか、引き続き注目していきたいと思います。

最後に

MESONでは空間コンピューティング技術でともに人々のまなざしを拡げてくれる方を募集しています

MESONでは現実世界に対する捉え方を一変し、新たな捉え方を発見することを「まなざしを拡げる」と呼んでいます。MESONは人々のまなざしを拡げる手段として空間コンピューティング技術を扱っています。

MESONが人々のまなざしを拡げることで、人々がもっと自由にこの世界を捉え、多様な活き方を選択できると信じています。

このnoteを読んで、MESONでMESONでともに人々のまなざしを拡げる挑戦をしてみたいとおもった方はぜひ私のXからDMでご連絡ください!

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