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中年以降は顔以外の要素が大事

昨年末、友人に誘われて高校の同窓会へ行ってきました。学年全体の、数百人が集まる同窓会です。
あまり社交的なタイプでなく……というより、むしろコミュ障の部類に入る私は、高校の時もさほど友達は多くありませんでしたし、正直あまり気は進みませんでした。

でも、まあ友人と一緒だしどうにかなるだろうと高を括って参加したのですが、いざ会場へ着くと、なんとすでに席が決められているではないですか。
クラスごとにテーブルが分かれているため、友人とも離れてしまいます。
以前参加した中学校の同窓会が立食だったので、席順にまでは考えが至りませんでした。

とはいえ、私はもう大人。気を取り直して卒業した学科のテーブルへ近付くと、懐かしい顔がいくつも見えてきます。
その中の一人が、ふとこちらを振り返りました。小柄でにぎやかな、ムードメーカーの美紀でした。その美紀が私の顔を見るなり、

「え!朝霧さん!?」

口元を抑えながら、目を真ん丸にして声を上げます。

「朝霧さん、めっちゃキレイ! めっちゃキレイ!!」

まわりを見回し、他の同級生にも同意を求めます。
美紀の勢いに押されて立ち尽くしている私。その様子を見て苦笑している、元野球部の吉野君。

「朝霧さん、なんでそんなにキレイなの!? 仕事は何してるの?」
「営業かな」

私が答えると、

「キャリアウーマンって感じだよね」

と、吉野君。
実は10年ほど前に、吉野君の会社へ何度か商談で訪問したことがありました。先方の担当者から、

「さっき、朝霧さんが入って来た時に『同級生が来た!』ってウチの社員が騒いでましたよ」

と言われ、名前を聞くと吉野君。高校時代はあまり話したことがなかったけど、これも何かの縁だろうと帰り際にロビーへ呼んでもらい、挨拶したのを覚えています。

自分の席にたどり着くと、隣には山本君。山本君は逆に、私の勤めている会社へルート営業に来ていたことがありました。話し相手がいてよかった…。

円卓のこちら側は、なぜか男子ばかり。女子は向かい側に集中しています。
高校時代、学科内で人気ナンバー1だった女子も来ていたし、5指に入るであろう美女も2人出席していました。
不思議なことに、すっかり中年体型になっている男子と比べて、女子はみんな顔も体型もほとんど変わっていません。

そんなことを思いながら山本君と話していると、吉野君がこちらの席にやってきました。

「朝霧さん、ほんとに変わらないね。すごいキレイだし…」

言いながら、じっと私の顔を見つめてきます。

「朝霧さん、前にウチの会社に来てたでしょ? あの時、すごいスラッとした美人が入ってきたと思って見惚れてたら、朝霧さんだったからびっくりしたよ。オレなんか、すっかりおじさんになっちゃったしなぁ」

「ほんとだね」とも言えずに「貫禄あっていいんじゃない?」と、曖昧にやり過ごす私。
吉野君、高校の頃はいわゆる爽やか好青年で、結構人気あったんだよね。

みんなが席移動を始めた頃、私も席を立って友人の席へ。ほかの女の子たちも交えて話をしていると、何やら視線を感じます。
顔を上げると、視線の先の顔だけ知っている男子と目が合いました。

「えっと…。クラス、一緒になったことないですよね」

と話しかけると、

「え、なんで敬語?」

と、彼は少し顔を赤らめながら、うれしそうに笑います。

「初めて喋るから、なんとなく」
「名前、なんていうの? 旧姓」

旧姓が書かれた名札を見せる。

すると今度は、違う学科の男子が一人、反対隣の席に。
「こんにちは」
「こんにちは。えっと…どこのクラス?」
「あ、オレ、進学科」
そこからまた少し話をして、自分の席へ戻ります。

あの中学の同窓会から、早8年。

男の子たちが入れ替わり、立ち替わりはあの時と同じ。まだまだモテ期は続いているようです。

それにしても、なぜ彼らは高校時代のマドンナではなく、私に寄ってくるのでしょうか?
その鍵は、美紀や吉野君が発した「キャリアウーマン」という言葉にありそうです。
マドンナたちは確かに若い頃と変わらず、今も可愛かったけれど、それは“小ぎれいな中年女性”の域を出ていませんでした。
その点、私は一応、自己ブランディングしていますから。中年以降は若い時以上に、服装や立ち居振る舞い、全体の雰囲気など、顔以外の要素が重要になってくるということでしょう。要は、“華”が必要ということです。

後日、同じく同窓会に参加していた違う学科の同級生と、別の集まりで会った時にこう言われました。
ウチのクラスのやつが朝霧さんのこと「え、あれ朝霧さん? 全然変わってない」って噂してたよ、と。

華があるということは、目立つということ。悪い気はしないけど、どこで見られているかわからないっていうのは、ちょっと怖いですね。

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