マブラヴやった

やりました。
もともとは終わってすぐ書く予定だったけど、なんかうまく言語化できなかったから延期してました。

最初にバンっと

評価 S

みたいに短絡的に点数付けができりゃあいいんですが、そう言うのはあまり好みじゃないのでやめておきます。その上で言うと、名作ではあると思います。良作と名作の間にあるなんとなくの格の差(あるよね？)は飛び越えてます。

さらにそれを前提として、一番面白い！って作品ではありませんでした。諸々の要因はこのあと書きます。ほほネタバレなしで行きます。

まずそもそも、世間で評価されているのはマブラヴ　「オルタネイティブ」です。

ここがややこしいんですが、そもそも「マブラヴ」という作品が2004年にリリースされました。その中には二つのエピソードが存在していました。ExtraとUnlimitedです。

Extraはド直球の学園恋愛もの。当時でもベタすぎるんじゃないかってレベルのベタベタなお話です。正直言ったら、面白くないです。伏線ってわかっててもキツいレベル。

次にUnlimited。上記のExtraでハーレムを楽しんでいた主人公が地球外生命体Betaが猛威を振るう世界に突然転移して始まります。

元々、Unlimitedとオルタネイティブは続き物であり、これらは一緒に発売される構想でしたが、資金の面で頓挫。結局は2年後に単体で「マブラヴ オルタネイティブ」が販売されることになります

そんなこんなで、異世界転移編のオルタネイティブは前振りの学園ラブコメをやらないと楽しめない…なんてことはそこまでありません。

正味、Extraを1ルートもやらずに最初の方にあるキャラクターを紹介するパートみたいなのを見るだけでも十分に理解ができます。

ExtraとUnlimitedは公式でプレイ動画上がってるしね。

これをサッと数分見るだけでも大丈夫だと僕は感じました。あ、Unlimitedは全部やった方がいいです。普通に面白いんで。

で、肝心のオルタネイティブの感想に入ります。

最初の感想は、「一気に面白くなるじゃん」でした。これはExtraをやってないと分からないんですが、そこに至るまでの文章ってなんか、しつこいんですよ。描写がくどいって言うか。そのくせ中身がなくて。

それが一変します。シリアスな背景も相まって登場人物の会話は理知的かつスピーディーに進行されるようになります。これは上手いな〜って思いました。世界が違うっていうのを細かいところで認識させられる感じがして。

あと主人公の持っている情報が限られていて、何が先に起こるのか全く予想できずどんどん読みたくなりました。ベッタベタだった前振りとの上昇幅がすごかったです。

えーとあとはね、ネタバレになるからあんま言えないけど終盤が熱いです。ラストだけではなく後半に行けば行くほど熱い展開が多くなります。

ネタバレなしで言えるのはこれくらいかもしれません。興味があったら買ってみてください。Steamでセールの時安くなってます。あと見ようと思えばYoutubeにプレイ動画上がってたんで、それでもいいと思います。

最後に微妙な点、なんで一番にならなかったかみたいなところを話します。ネタバレ若干含むと思われます。

まず、何がダメだったのか。

そもそも前振りが長すぎてキツい。真面目に5ルートやると30時間かかる。流石に無理だからメイン2ルートを爆速で終わらせました。

あとは演習期間が多くて実戦の回数がめちゃめちゃ少ない。もっとバトル見てーなー…って思いました。バトルの質がめっちゃ高いんで量よりも質を優先した結果でしょうが。

あんまり重要じゃないから言うけど、オルタネイティブってUnlimitedで人類が敗北した世界からタイムスリップしてきた主人公がその記憶を生かしてなんとかするみたい内容なんですよ。

なのに主人公の記憶の役に立ち方が地味で、「これから起こるトラブルを起こさなくする」装置にしかなってない。「敗北確定だった戦闘を奇跡的に勝利」みたいな事は一切起こりません。

逆にそれがリアルでいい！って人も割と多いと思うんでこれは好みの問題だとは思いますが。

次は時代考証のガバさ？

真珠湾攻撃でめちゃめちゃ壊滅的な打撃をアメリカに日本が与えたってのはいいと思うし、無条件降伏をしなかったっていう仮定の歴史は面白いと思うんです。ただ日本に核が落とされなかったっていうのはあり得ないだろって感じました。

そのあと、アメリカはBetaに対して戦術核の焦土作戦で一応の勝利を拾ってるみたいですし。核兵器が無いってわけでは無いんですが。

最後に、思想ですね。平和な日本から来た主人公が軍国主義を引きずった世界に来て、兵士の価値観に影響を受けていきます。「お国のためにみたいな価値観って右翼って言われてたけどこの世界だと当たり前なんだな」みたいなことを主人公が言って、結構美化されています。

これはこんな思想に染まった主人公が元の世界に戻っても上手くやれないみたいな展開を作ろうとしてやってると取れなくもないけど、それにしても過剰な気がする。

僕はまぁ現実と切り離して考えられるっちゃあ考えられるんで平気だけど、物語の説得力が凄いんでちょっとアホなやつはコロッとそっちに行っちゃうんじゃ無いかみたいな恐怖を感じました。

というわけで、こんらへんでちょっと評価が落ちてるんだと思います。自分でもなんとなくの感覚を強引に言語化してるんであってるかわかりません。

逆にこんらへんが好意的に見れる人にとっては唯一無二の傑作になるんだと思います。

普通に面白いんで、やってみてほしくはあります。