金持ちジュリエット #ショートショートnote杯
ロレンス修道士がくれた仮死の薬の効果が切れ、目を覚ましたジュリエットは、キャピュレット家の様子をうかがうことにした。
部屋の扉越しにも騒々しい言い争いが聞こえてくる。
「ジュリエットの莫大な遺産は、当然、私たち父母のものにほかならん」
「僕と結婚することになっていたのだから、僕にもください。お願いしますよ、お義父さん」
「パリス君には災難だが、僕はジュリエットと秘密の結婚式を挙げたのだ。僕こそ、ジュリエットの遺産をもらうべきだ」
ジュリエットは、みんなが自分のお金のことしか眼中にないことを知り、絶望した。
だが、ロレンス修道士であれば、この状況を導いてくれるだろう。ジュリエットは、最後の頼りとしてロレンス修道士のもとを訪ねた。
「ロレンス修道士、私どうしたら良いか分からなくて」
「おぉ、ジュリエット! そんなことより、仮死から目覚めたのだから、すぐに成功報酬を支払いなさい」