数学ギョウザ #ショートショートnote杯
国家的な財政難が教育の分野にも影響を及ぼし、義務教育課程における各科目に民間の広告が募集されることとなった。
このうち数学の広告を勝ち取ったのが「ギョウザ」であり、「ギョウザ」を提供している飲食店や製造元はこぞって喜んだ。
教科書の表紙や挿絵には「ギョウザ」が描かれ、「ギョウザを4皿頼んだら、合計の代金が1000円でした。このギョウザ1皿の値段を求めなさい。」というような文章題も数多く設けられた。
しかし、大人たちは、数学が苦手であり、嫌いな学生が多いことを見落としていた。
「数学=ギョウザ」の数式が定着し、学生からの人気が低下することにより、全体的な「ギョウザ」の消費量も落ち込んでしまった。
「ギョウザ」は1年も経たずに数学の広告から撤退した。その後も広告を希望する者はなく、こんな風に募集され続けた。
「【広告募集中】を4つ頼んだら、合計の代金が1000円でした。この【広告募集中】1つの値段を求めなさい。」