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mp3/aac/ATRACの聴き分け(昔できた特技)

音楽を聴くとき、
音楽ファイルの圧縮方式とかコーデックとか拡張子にこだわっていますか?
今言った3つの言葉の使い分けはよくわかりませんが、
世の中の大多数の人は全くこだわっていないと思います。

私は一時、とてもこだわりました。そしてタイトルにあるように
mp3/aac/ATRACの聴き分けができるまでになりました。
(今はできないですが)
しかし、それぞれのコーデックごとの特徴はなんとなく覚えているので、
その特徴についての記事を書こうと思いました。

mp3/aacは一応の知名度はあると思いますが、ATRACは知らない人がほとんどだと思うので、ざっくり説明します。
mp3/aac/ATRACは音声ファイルを圧縮するための方式です。コーデックともいいます。
512MBのsdカードが数千円した時代にたくさん音楽を持ち歩こうという発想で使われました。(ちなみにCDの容量は700MB)
mp3はこれらの規格では最古参のものです。その後継がaacでiTunesの配信で使われていました。ATRACはソニーが開発した規格です。

当然のことですが、どれも非可逆圧縮を行っているため音質は劣化します。
その劣化を避けつついかに効率の良い圧縮へのアプローチをするかにコーデックごとの個性がでていて面白かったです。

一言でまとめると、mp3は高音を削る、aacは音の強弱をあいまいにする、ATRACは音の密度を薄くするというアプローチをとっていました。
(私の使っていた10年ほど前のエンコーダーでの話になります)
以下、詳しい説明をします。

一般に、人間の可聴域は20Hz~20kHzといわれていますが、mp3では本当に
20kHzまで聞こえているかはあやしいから20kHzに近い高音域を中心にバッサリ切ろう、ということをしていたと踏んでいます。
いきものがかりのSAKURAという曲のイントロでは、ボーカルの高音がmp3の低ビットレートの場合若干かすれます。

次はaacです。これはmp3ほどは高音域を削りませんが、音の強弱を表す情報を中心にメスをいれた、というイメージです。CDでは音の強弱を2の16乗段階で表しますが、この段階数を減らしているといえます。
生のドラムの音のはずなのに、鳴っている間ずっと音の強さが一定になったりします。(ミキシングでそういう加工をするときもありますが)

最後はATRACです。これは高音も低音もそこそこ守られていますが、なんというか、音のリッチな感じがビットレートの大小に応じて失われます。
大げさなたとえをすると、6万円のソフトウェアシンセで作られたシンセの
パートが音楽制作ソフト(DAW)の付属シンセに差し替えられた...といった感じの変化が起こります。別に原音と別のものになったとまでは思いませんが。

ここでなぜ私が聴き分けができなくなったかを考察して、
この記事を終えます。

1)加齢
説明不要。年を取ると高音域を中心に耳が悪くなるそうです。
私の聴覚のピークは10代にあったのですね。

2)エンコーダー、および圧縮のアルゴリズムの進歩
人間の聴覚特性に合わせた圧縮も当然研究され、進歩したと思います。

3)プレイヤーの性能の向上
10年前の音楽プレイヤーより、今のスマホの方が高音質であるように感じます。あと、音源を圧縮した際に失われた情報を疑似的に復元する技術も
進歩したかもしれません。

4)私の音楽に対する考え方の変化
昔は
「どうせ音楽を聞くからには最高の音質で聞かねばならない!」
と考えていましたが、今は
「音楽を楽しめればそれで充分」
という考え方に変わりました。それに伴って音源を聴き分けることが
どうでもよくなりました。


以上のコーデックと技術の進歩に対する見解はすべて私の所感です。
科学的な裏付けはありません。
ここまで長い記事を読んで下さり、ありがとうございました。

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