格差、その背景は。
連休の初日。
朝起きたら、玄関や車の前は、雪で覆われており、週末の楽しみであるヨガには行けなかった。朝から除雪に追われていました。
汗をかき、いい運動にはなりましたけどね。
昨日、久しぶりに、テレビで映画を観ました。
☛「パラサイト 半地下の家族」
なかなか面白かったですね。
映画の論評は専門に任せて、私の率直な感想を言うと・・・。
映画の趣旨はどうか知らないけど、「格差社会」の悲喜こもごも。
みんな幸せになりたくて必死なんだけれども、うまく歯車が回らない。
貧しくても、お金があっても、何か満たされないものを抱えていて、登場人物皆、どこか悲しい。
韓国には、「半地下のアパート」が低家賃であるらしい。
そこには、社会的な背景もあるようで、事の始まりは、南北朝鮮戦争時代にまで遡るとか。
北朝鮮工作員が、韓国でテロ事件を起こし、事態の悪化を恐れた韓国政府が1970年に建築基準法を改定し、国家非常事態に備えた防空壕として、地下室の設置を義務付けたそうです。
その後は、都市部の住宅不足の深刻化もあり、政府は半地下の住宅使用を合法化したとのこと。
今の韓国は、手ごろな家賃の住宅不足もあり、若者や低所得者にとって深刻な問題となっているようです。
半地下の家賃は、同じ通常のアパートとの広さと比べると、断然安く、5万くらいなのだとか。
ただ、半地下で暮らすことへのマイナスなイメージはあるようです。
日本と韓国の事情は違うけれど、「格差」の広がりについて言えば、共通するものを感じます。
社会生活を送る上での対人ストレスやうつ。そして、退職、失業。
就職活動の大変さに、またストレス。
人間関係をうまく築けない、劣等感を持ち、自己肯定感が低い人。
いろいろな条件が重なって、次の一歩を踏み出すことが、だんだん億劫になったり、意欲を失っていったり。
いま日本で問題になっている8050問題にも、似たような芽があります。
80代の親元に同居する、働いていない50代の子供。
多くの50代の子供(というにはちょっと変だけど)は、以前は仕事をしていたけれど、職場のストレスや病気により、それ以降働けなくなって、親元で一緒の住むようになったというケース。結構多いです。
収入は、親の年金。
俗にいう、引きこもりというのでしょうね。
1.親の介護と子供の病
仕事上で、よく見かける例を挙げてみます。
首都圏で正職員として仕事をしていたけれど、何かのきっかけで精神的に病んでしまい、実家に戻った息子(50代)。
両親は70代後半で、そろそろ介護が必要になってきた状態。
ご近所から、こんな相談が。
「お母さんが家から出て、帰れなくなっていることが、最近たびたびある。ご主人は仕事に行って、昼間いないけど、どうも、息子さんはうちにいるらしい。」
「お母さん、なんかあまりきれいな格好していないし、髪もぼさぼさで。心配なので、見てきてほしい。」と。
うちが介入し、ご主人と接触。奥さんは認知症と思われるため、専門医の診察をお勧めするも、ご主人にとっては、自分の奥さんよりも、うつで実家に戻った息子のほうが気がかり。息子さんは時々、大声をあげて暴れることがある。息子に対し、はれ物に触るような扱い。毎月、夫婦の年金とご主人のアルバイト代から息子に10万渡している。そのため、生活が苦しくなっており、奥さんの受診どころではない。
息子さんの医療機関への通院ときちんとした診断を受けてもらい、しかるべき専門職(この場合、障害支援事業所や就労支援など)につなげ、奥さんのほうは介護認定を受け、適切な介護サービスを利用していただくよう提案させていただいた。このままでは、精神的、経済的からいずれは身体的虐待に移行する恐れがあります。
しかし、ご主人は拒否。「家族の問題。そっとしておいてほしい。」
「それより、お金を援助してくれる公的機関はないのか。」と。
客観的にみる家族の課題と、当事者たちの問題は、必ずしも合致しません。
このケースは、まだ支援の途中ですが、このようなケースを数多く見ていくと、日本社会の縮図を見ているような気がします。
「格差」問題は、すぐには表面化してきませんが、まったく別のところから垣間見えます。
家族のほころびが一つ見つかると、そこからもつれて絡み合った糸をほぐすのには、相当の時間がかかります。
「格差社会」というのは、実は社会だけの問題ではなく、家族という単位も大きく影響しているのではないでしょうか。
人とのつながりの始まりは、「家族」ですから。
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