XI[sai] JUMBO ノルマアタックRTA 解説 第5回(捨てノルマ編)
本記事は、 XI[sai] JUMBO ノルマアタック RTA 解説の第5回です。当初の予定よりも分量が増えたため、「未来予知編」を2記事に分割してお送りいたします。各回の目次はこちらより参照できます。
ノルマアタックの出題順のルールとして、各レベル最初の2問(「~個消そう」「~点とろう」)と最後の1問(全消し)に関しては固定、3問目から9問目は順序だけがランダムに出題されます。その結果、過去に出題されたノルマを記憶していれば、次のノルマをある程度「予知」できる場面が存在します。前回までの4記事では主に「ノルマごとの最適化」を考えましたが、本記事と次の記事では「複数ノルマの関連」に目を向け、効率の良い達成法について考えていきたいと思います。
Trial Mode Norma Attack のカテゴリには、「全ノルマを達成しなければならない」といったルールはないため、実は意図的に「ノルマを捨てる」ほうが結果として合計タイムが短くなる場合が存在します。本記事ではこういったノルマの「捨て」に関わる話題を扱います。
ノルマを「捨てる」とは
各レベルにおいて、3問目から9問目のノルマはランダムな順番で出題されますが、最終的に出題されるノルマの集合は固定です。そこで、例えば3問目から7問目に出題されたノルマを記憶していれば、8問目の出題タイミングでは残った9問目のノルマも知ることができます。
このように、次のノルマが既に判明している状態では、通常通り現在のノルマを達成する以外に、現在のノルマを無視して次のノルマの準備をするという選択を考えることができます。これをノルマの「捨て」と呼んでいます。当然、多くの場合は通常通り現在のノルマの達成を選ぶほうが早いわけですが、特殊な条件下では「捨て」を行うほうが短縮になるケースが存在します。
なお、「次ノルマの準備」といっても実際はさまざまな行動が考えられます。例えば、次ノルマが「6を25個同時に」のような同時消しノルマならば、瞬時に達成できるよう積み込みを行うことが準備となりますし、チェインノルマやCSノルマであれば事前にチェイン数を増やしておくこと、つなごうノルマであれば所定の目のダイスを十分なだけ用意しておき、適切なタイミングでチェインを開始することが事前の準備になり得ます。
短縮になる条件
それでは、どのような場合に捨てが有効であるか見ていきます。例として、ノルマAとノルマBの2つが続けて出題されることが確定しているとします。また、それぞれのノルマの制限時間と、とあるプレイヤーの平均達成時間が下の表で表されるとします。
この条件下で、ノルマAを捨てない場合と捨てた場合で合計時間を比較すると以下のようになります(話を簡単にするため、ノルマを達成したら瞬時に次のノルマが出題されるとします)。
上記から分かるように、この例では結果的にノルマAを捨てるほうが所要時間が短くなるといえます。
一般に、注目しているノルマ(上記の場合ノルマA)について、
そのノルマの達成による短縮(=真面目に達成した場合の平均残り時間)
次のノルマの準備による短縮(=準備に費やせる時間)
の大きさを比較することで捨てるべきかどうか判断できます。上例ではノルマAの平均残り時間は 60 - 50 = 10 秒、ノルマBの準備に費やせる時間は 30 秒のため、ノルマAを捨てるほうが結果的に短縮が大きいと予想できます。
捨てが有効な出題パターン
以下にノルマ捨てが有効利用できるケースの具体的な出題パターンを示します。このようなケースは、結果的に全ノルマを達成するよりタイムの短縮になるため、 RTA 的には望ましい(運が良い)出題順といえます。そのため、最終レベル付近ではこれから挙げるような出題順が引けるかどうかもタイムに大きく関わってくることになります。
レベル9の捨てパターン
レベル9にはノルマ捨ての有効なパターンが1つだけあり、それは最後のランダムノルマ2問(88~89問目)が順に「5で9個予約」と「1を40個同時に」の場合です。「1を40個同時に」は少なくとも達成に40~50秒かかるため、早く達成しても30秒程度しか残らない「5で9個予約」を捨てるほうが短縮となります。そのため「1を40個同時に」が未出題の状態で88問目に「5で9個予約」を引いた場合は、捨てて1の目のダイスを準備するのが最適です。
このケースでは「1を40個同時に」の直後が全消しノルマとなるため、ゆうれいダイス追加による詰みに注意が必要となります。詰みの確率を下げるためにも「5で9個予約」の捨ては有効です。「5で9個予約」の制限時間内にダイスを蓄え、「1を40個同時に」の達成時に1の目以外のダイスが十分残るようにしたいところです。
レベル10の捨てパターン
レベル10では、「3で30チェイン」と全消しノルマが制限時間の面でかなり厳しいノルマのため、これが絡む捨てノルマのケースが多く存在します。
《全消しノルマを捨てる場合》
レベル10の全消しノルマは制限時間が27.5秒と短く、達成しても大きな短縮とはなりません。その後の「クリアまで99個」は同時予約バグによって達成することも可能なため、全消しノルマを捨て、その場に残っているダイスで6の目の同時予約の積み込みを行うという選択が考えられます。
全消しノルマの制限時間内に積み込み全体を完成させるのは困難なため(ダイスも足りない場合が多い)、基本は全消しノルマ中に途中まで積み込んでおき、「クリアまで99個」が始まったら追加で準備をする形になります。ハッピーワンの消去数を考慮すると、13個の同時予約(91個相当)ができれば瞬時に「クリアまで99個」を達成できます。積み込み中に降るダイスは穏やかなことが多いですが、1段目が埋まりそうな場合は多少個数が足りなくても予約を発動してしまったほうが良いでしょう。
全消しノルマを捨てるかどうかの判断ですが、開始時にダイス数が多いほどノルマ捨てが有利になると考えられます。99問目が「2で10個予約」「6で1000点CS」など、あまりリンク数を必要としないものだった場合、ダイスも20個以上残っていることが多く、積み込みが得になる可能性が高いです。「6で25チェイン」などの場合も、あまりリンクを広げなければ積み込みが可能です(あえてダイスを残すように99問目を達成する方針もあります)。
逆に、99問目が「6を25個同時に」などの場合は積み込みもしにくいため、通常通り全消しを達成しても問題ありません。ただ、ダイスが10個程度残っていれば、無理やり積み込みに持っていくことは可能です。この場合はそれほどタイムに差が出ないように思うので、慣れていてゲームオーバーになりにくい方針を選択するのが良いでしょう。
《「3で30チェイン」が99問目の場合》
「3で30チェイン」を99問目に引いた場合、「3で30チェイン」と全消しノルマの両者を捨て、この時間で「クリアまで99個」のために同時予約の積み込みをするのが最速になると考えられます。積み込みの時間には余裕があるため、予約ダイスを14個(105個相当)積み込むことで、ハッピーワンの消去数を含めず「クリアまで99個」を達成することも可能です。この場合、全消しノルマの残り時間が2秒未満になったタイミングでハッピーワンを行うことで、ちょうどノルマ転換時に同時予約バグを発動させられます。
《「3で30チェイン」が98問目の場合》
「3で30チェイン」を98問目に引いた場合、99問目のノルマについては判明しているはずです。「3で30チェイン」は最大でも10~15秒程度しか残らないため、これ以上時間がかかるノルマが99問目であれば「3で30チェイン」を捨てるのが最適になります。
具体的には、99問目が「6を25個同時に」「6で25チェイン」「2で700点CS」「4を25個つなごう」の場合は確実に捨てるほうが短縮になります(「4を25個つなごう」は始動タイミングが多少難しいですが)。「2で10個予約」の場合も理論上は捨てが有利ですが、積み込みをする場合ハッピーワン予約の形しか採用できないため難しめです(同時予約バグの場合とは異なり、完成形がひとつながりになっている必要はありません)。
「6で1000点CS」の場合のみ、ノルマ捨てが有効かどうか微妙なところですが、捨てても捨てなくても時間的に大差ないため、「3で30チェイン」が98問目の場合は確定で捨てると決めてしまっても構いません(「2で10個予約」の方針次第ではあります)。
発展的な動きにはなりますが、98問目を捨てて99問目の準備をしてもなお時間が余りそうな場合は、全消しノルマを捨てるという前提で「クリアまで99個」の積み込みを先に進め、その後良いタイミングで99問目の準備に切り替える手も一応あります。ただし、この場合ハッピーワンをすると積み込みが無駄になってしまうため、ハッピーワンをせずに99問目を達成する必要が出てきます。
《「3で30チェイン」が97問目以前の場合》
97問目以前に「3で30チェイン」を引いた場合は直後のノルマが確定しないため、基本は通常通りノルマを達成することになります。まれではありますが、残りが「6で25チェイン」「6で1000点CS」の2つで、6の目をチェインしておけば両者に対応可能な場合など、捨てが有効なケースも存在します。
《「2で10個予約」「6で25チェイン」が99問目の場合》
「2で10個予約」「6で25チェイン」も制限時間としては厳しめのため、同様に捨てたほうが短縮になるケースが存在します。これらのノルマを99問目に引いた場合は、次のような選択の余地があります。
99問目と全消しノルマを両方とも捨てて、「クリアまで99個」の積み込みをする(《「3で30チェイン」が99問目の場合》と同様の方針)
99問目は通常通り達成、全消しノルマのみ捨てて「クリアまで99個」の積み込みをする(《全消しノルマを捨てる場合》の方針)
前者の場合、2ノルマの制限時間(約90秒)を使って安定した積み込みが行えます。後者は全消しノルマ中に途中まで積み込み、「クリアまで99個」が始まってから追加の準備を行う方針です。この「追加準備」の時間よりも多く99問目で時間を残せるなら、後者のほうがタイム的に有利になります。
《「2で10個予約」「6で25チェイン」が98問目の場合》
99問目が「6を25個同時に」の場合のみ捨てたほうが短縮になります。その他の場合は98問目の達成時間次第ですが、98問目で20~30秒残せる場合は捨てを行わないほうが結果的に早くなるはずです。
不確実な捨てについて
以上、述べたのは残りノルマが確定している場合の「確実な捨て」についてでした。あまりノルマアタック RTA では話題とはなっていませんが、それ以外の「不確実な捨て」についても軽く触れておきます。
完全な賭けになる例
例えば97問目が「3で30チェイン」で、残り2ノルマが「6を25個同時に」「4を25個つなごう」である場合を考えます。この場合、97問目の出題時点でどちらのノルマが98問目になるかは不明のため、確定的な立場からは「3で30チェイン」を捨てられません。しかしながら、「6を25個同時に」が来ることを「予想」し、「3を30チェイン」を捨てて「6を25個同時に」の準備をするという選択も考えられます。この場合、実際に98問目で「6を25個同時に」が引ければ短縮になりますが、逆に「4を25個つなごう」だった場合は普通にノルマを達成するよりも損になるという一種の賭けになります。このような賭けを終盤で行うのはリスキーですが、1走が早ければ良いという記録狙いの立場からは戦略の一つとする考え方もあるでしょう。
リカバリーが可能な例
上記の例では「4を25個つなごう」を引いた場合明らかに損ですが、より微妙なケースも存在します。同じように97問目が「3で30チェイン」で、今度は残り2ノルマが「6を25個同時に」と「2で10個予約」の場合を考えます。同様に「3で30チェイン」を捨てて「6を25個同時に」の準備をする選択をしたとします。この場合98問目で「2で10個予約」を引くのは外れですが、理論上はこのまま6の目の積み込みを崩さずに「2で10個予約」を達成する道が残っており、これが可能ならその後に引くであろう「6を25個同時に」は一瞬で達成できます。
このケースでは、「2で10個予約」を先に引いたとしても、捨てない場合と比べれば短縮になっており、理論上は得になります。ただし、私はこの出題順を引いて試したことがなく、技術的に可能かどうかは不明です。
レベル10の理論値について
余談ですが、このような不確実な捨てを許した場合、レベル10の理想的な出題順は以下の順番になると考えられます。この順序でノルマを引き、ノルマ貫通とあわせて確実に達成できた場合、2分台の区間記録を見ることも可能であると予想しています(ただし、以下の順序になる確率は乱数に偏りがないと仮定して 1/2520 です)。
「6で1000点CS」・「6で25チェイン」(前ノルマのチェイン持ち越し)
「4を25個つなごう」
「3で30チェイン」(捨てて「6を25個同時に」の準備)
「6を25個同時に」
「2で10個予約」
「2で700点CS」
全消しノルマ(捨てて「クリアまで99個」の準備)
まとめ
本記事では、捨てノルマを行う基準や、捨てノルマが有効利用できる具体的なパターンについて述べました。今回解説した内容を以下にまとめます。
以上で、第5回の捨てノルマ編は終了です。次回は、ノルマの捨て以外で前後のノルマが影響してくるケースについて見ていきたいと思います。ここまで読んでくださり、ありがとうございました。