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XI[sai] JUMBO ノルマアタックRTA 解説 第4回(積み込み編)
本記事は、 XI[sai] JUMBO ノルマアタック RTA 解説の第4回です。各回の目次はこちらより参照できます。
本記事の表題は「積み込み編」としましたが、その中でもノルマアタック RTA において唯一「バグ」とも言うべき挙動を発生させる「同時予約」関連の話題を取り扱います。
同時予約バグとは
前回の記事でも多少触れましたが、いわゆる「同時予約バグ」について改めて説明します。例えば「2を7個同時に」「6を25個同時に」ではハッピーワンによる同時落下のテクニックが必要になりますが、このように複数のダイスを同時に落下させて(同一リンクで)消去した際には、「内部的なダイス消去数が実際の消去数よりも増える」という直感に反する現象が起こっていることが知られています。この現象を同時予約バグと呼んでいます。この現象は同時消しノルマには特に影響しませんが、「~個消そう」ノルマやインターバルの数値には直接影響を与えるため、 RTA では有用なバグの一つとみなされています。
現象の主な発生タイミングが「ハッピーワンによる同時予約」によるものであるため「同時予約バグ」と呼ばれていますが、厳密な発生条件はもう少し複雑です。まず1段目のダイスは1の目以外でも構いません(ただしハッピーワン以外で同時落下になるのは、基本的に上下が異なる目で1段目ダイスの高さが等しい場合のみです)。また、予約ダイスの落下とほぼ同時とみなせるタイミングで「2段目から降りる」「転がす/ジャンプする/持ち上げたダイスを下ろす」などを行った際も同時消去数に寄与するようです。後者は予約ダイスの落下より早めでなければならないなど微妙な挙動があり、詳細条件は未検証な点も多いです。
今回の記事では最も積み込みとして有用な「ハッピーワンによる同時予約」のみを扱うため、それ以外の条件はとりあえず無視しても問題ありません。
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増加数について
ダイス $${n}$$ 個を同時に落下させた際の内部的な消去数は
$$
1 + 2 + 3 + \dots + n = \frac{n(n + 1)}{2}
$$
個になることが知られています。例えば4個のダイスを予約した場合は10個扱い、10個の予約では55個消去した扱いになります。なお、もともと1段目に置かれていたダイスが一緒に消えた場合に関しては、通常通りの消去数で判定されます。
利用可能なタイミング
短縮が狙えるのは消去数に関わるノルマなので、「~個消そう」ノルマとインターバルが該当します。後半戦の「~個消そう」ノルマは要求数が多く、それに比してダイス発生速度は遅いため同時予約バグでの短縮が行いやすいです。インターバルでも理論上利用できますが、ダイス発生が速く通常通りの消し方でもそれほど時間がかからないため、相当積み込みが速くないと短縮にならず、実践での利用は難しいように思います。私の場合はレベル4~6とレベル8~10の「~個消そう」ノルマで同時予約バグを使用しています。
各レベルの必要数
各レベルの「~個消そう」ノルマを達成するために必要な積み込み数は以下の通りです(レベル3から示しています)。ノルマの指定数に数個足りないレベルもありますが、発火後にチェインで追加すれば良い程度の個数となっており、たいていの場合は予約を1個増やすよりもチェインで消すほうが早く達成できるかと思います。
レベル3 予約7個 (28個相当) + 残り2個
レベル4 予約8個 (36個相当) + 残り4個
レベル5 予約9個 (45個相当)
レベル6 予約10個 (55個相当) + 残り5個
レベル8 予約10個 (55個相当) + 残り5個
レベル9 予約12個 (78個相当) + 残り2個
レベル10 予約11個 (66個相当) + 残り4個
積み込み形
積み込みをする際の形についてですが、効率を重視するとアドリブで組むことになると思います。例えば、6の目を積み込む際の組み方としては
5個以下の1の目を並べる
用意した(全部の)1の目の上に6の目を乗せる
隣に6の目を1つ置き、また1の目を並べるところから繰り返す
のような流れになります。スペースがなくなると積みにくくなるので、できるだけ盤面隅から進めたほうが良いと思います(ハッピーワンの発火スペースが必要なことにも注意しましょう)。1段目を先に完成させる方法もありますが、形の自由度の点で1段目を作りつつ2段目に乗せていく方法のほうが若干早いかと思っています。
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積み込み中は2段目で消してしまうとロスになってしまうので、あえて積み込める最大数まで1の目を並べないという手もあります。例えばレベル5で合計9個のダイス(6の目)を予約する場合、先に5個予約を準備するよりも「4個予約→土台を置く→5個予約」の順で積み込むほうが2段目での誤バニッシュの可能性が低く、また移動の幅も大きくなる可能性があります。
持ち上げて2段目に置くダイスに関しては、できるだけ1の目から1マス空けた位置(2手で移動できる位置)に用意することを意識するのが良いと思います。多少遠くから運ぶことは問題ないですが、1の目の隣に置いてしまうと乗せる際にかえって面倒になりがちです。可能な限り1段目の1の目との対応関係を考えて用意したいところです。
レベル9「2を80個消そう」
後半レベルでは積み込みが有利であり、これはレベル9も例外ではないのですが、2の目を積み込むとなると途端に難易度が上がります。そのため安定した積み込みが難しければ、このレベルは単純にチェインで消したほうが良いかもしれません。積み込みを採用する場合、あまり形に自由度はないため、最終形を決めてしまいそれを目指す方針にしたほうが良いと思います。私が採用しているのは下図のような形です。
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レベル9に関しては、1段目を全て用意してから2段目に乗せ始めるほうが安定すると思います。この場合も1の目から1マス空いた位置に用意して乗せるのが最速ですが、多少遠くから運んだとしても完成すれば問題ありません。盤面のダイス数としては多めのほうが積み込みをしやすいと思います(ただしスムーズに乗せないと1段目が埋まるのでその点は注意です)。開始時に2段になっているダイスは邪魔になりがちなので降ろしてから積み込みを始めるほうが安定します。
ノルマ貫通現象
前章では同時落下により消去個数が増加する現象について見てきました。この計算は(おそらく)1フレームの間に行われていると考えられますが、実は特定の条件下では消去判定を2フレームにまたがらせることが可能です。これにより、同時予約バグの消去数を「前レベルのインターバル」と「次レベルの『~個消そう』ノルマ」の両方に充当させることができるようになります。成功すると、同時予約で発生した消去数が本来影響を及ぼさないはずの次ノルマにも貫通するように見えるため、「ノルマ貫通現象」と呼ばれています。
この現象に関しては、桜葵月*owqiさんによりこちらで詳しく解説されていますので、詳細についてはこちらを参考にしてください。本記事では RTA に必要な部分のみ説明します。
発生条件
現象の発生条件については完全には明らかになっていませんが、少なくともハッピーワンをする際に「1の目での垂直ジャンプ」を行うことで再現できることが知られているため、現行 RTA ではこの方法を利用します。
消去数の計算
この節は若干細かい話となります。積み込み形を考えたい方などは参考にしてください。
上で消去判定を2フレームにまたがらせることが可能と述べましたが、その消去に寄与するダイスの割り振りは垂直ジャンプを行った位置を起点に決定されます。具体的には、下図のように垂直ジャンプ位置より左下のダイスの計算が1フレーム目、右上のダイスの計算が2フレーム目と分割されます。それぞれの領域をここでは 領域 A と領域 B と呼ぶことにします。
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このとき領域 A の予約ダイスが $${a}$$ 個、領域 B の予約ダイスが $${b}$$ 個ならば、各フレームの消去数としてカウントされるのは
1フレーム目: $${(b + 1) + (b + 2) + \dots + (b + a)}$$ 個
2フレーム目: $${1 + 2 + \dots + b}$$ 個
となります。例えば領域 A の予約ダイスが5個、領域 B が3個の場合、
1フレーム目: $${4 + 5 + 6 + 7 + 8 = 30}$$ 個
2フレーム目: $${1 + 2 + 3 = 6}$$個
がそれぞれ消去された判定となります。実際にはこれに加えて、単純に1段目で消えたダイス数も1フレーム目の消去数に含まれ、また1フレーム目の計算の前にハッピーワンによる1の目の消去も発生するため、積み込みを考える際はこれらも考慮に入れる必要があります。
ノルマの達成判定について
ノルマやインターバルの達成判定はフレームごとに行われると考えられます。そのためインターバルで上記のような同時予約を行った場合、分割された1フレーム目の消去数がインターバルの残り要求数以上であれば、その時点でインターバルは消化されたものとみなされます。このとき、2フレーム目の消去数は次レベルの「~個消そう」ノルマに充てられることになります。これが「ノルマ貫通現象」成立時の状況です。フレームごとの判定なので、1フレーム目の消去数が要求数を超過している場合でもその差分が次ノルマに持ち越されることはありません。
逆に、1フレーム目の消去数がインターバルの残り要求数に1個でも満たない場合は、2フレーム目の消去数もインターバルの消化に充てられてしまうため「ノルマ貫通現象」は成立しません。
利用可能なタイミング
この現象を利用する場合、インターバルの間に積み込みを行う必要がありますが、現実的に利用可能なのは上から降るダイスがないレベル5、レベル7、レベル9直後のインターバルのみかと思います。消去をひとまず脇に置いて積み込みをするため、上から降るダイスに多少邪魔されただけでも1段目が埋まってしまう危険性があるためです。このうち実際に私が使用しているのはレベル7とレベル9です。レベル5については通常通り消した場合と比較して短縮になるかが不明のため今のところは採用していません。
ノルマアタック RTA では最も大規模なバグ技ですが、「~個消そう」ノルマのみを積み込んだ場合と比較して実際の短縮幅はそれほど大きくはなく、最も効果が期待されるレベル9でもおそらく10秒前後と思われます。
積み込み形
私の現在使用しているレベル7とレベル9の積み込みの形を以下に示します。最初にノルマ貫通現象の話を耳にした際に組んだ形からあまり変更を加えていないため、特にレベル7のほうは改善の余地が大きいかもしれません。実践で利用する際には、領域 A、領域 B の予約個数が変わらない範囲で積み込み形や発火点の位置を調整することが可能です。
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上の積み込みを実行した際の消去数は以下の通りとなります。
[レベル7]
・積み込み個数
・領域A予約 5個 / 領域B予約 10個
・1段目消去 3個 / ハッピーワン 15個
・それぞれの充当個数
・インターバル 83 個 (11 + 12 + … + 15 + 3 + 15)
・「~個消そう」55 個 (1 + 2 + … + 10)
[レベル9]
・積み込み個数
・領域A予約 5個 / 領域B予約 11個
・1段目消去 3個 / ハッピーワン 16個
・それぞれの充当個数
・インターバル 89 個 (12 + 13 + … + 16 + 3 + 16)
・「~個消そう」66 個 (1 + 2 + … + 11)
注意点として、レベル7とレベル9のインターバル要求数はそれぞれ 90 個と 99 個のため、上の積み込み形では厳密には消去数が足りません。積み込み中のバニッシュや、ハッピーワン時に盤面の1の目が同時に消えることにより、特に考えずともインターバルの消去数が満たされることが多いためこの形を採用していますが、例えばバニッシュせずに「LVアップまで99個」の表示のまま積み込みが完了してしまった場合などは、消去数が足りずノルマ貫通失敗となる可能性があります。それを避けるため、途中で多少バニッシュを行うか、ハッピーワン時に多く消すかする必要があります。なお、「~個消そう」における消去数の不足は単純にチェインで補うことができます。
積み込みの方針
積み込みの流れは通常の同時予約バグの場合と同じですが、ダイスは絶えず高速に発生するため埋まってしまわないように細心の注意が必要です。操作ミスなどで2段目から降りられなくなることもあり、その際盤面が埋まっているとすぐにゲームオーバーとなってしまうため、適宜バニッシュを行いながら積み込むほうが安定します。ハッピーワンを起こさないよう、これから自分がそろえようと思う位置から遠くにバニッシュすると良いと思います。
地面から生えてくる途中のブロックについての仕様で、発生中のマスに向かって転がすと自身と位置が入れ替わるが、ジャンプで移動すると潰せる(発生を止められる)ということも頭の片隅に置いておくと良いでしょう。
盤面が完全に埋まってしまった場合でも、ブザーが鳴ってからわずかに猶予があり、即座に持ち上げをするか一瞬2段目に登るかをして空きマスを作れば助かります。ただし、垂直ジャンプでは空きマスができたという判定にならないので注意です。その垂直ジャンプでバニッシュが発動する場合でも状況は変わらず、ジャンプ中にゲームオーバーになる可能性があるため、面倒でも持ち上げでのバニッシュを行いましょう。
まとめ
「同時予約バグ」と「ノルマ貫通現象」のまとめになります。
同時予約バグ
[消去数]
・n 個の予約で 1 + 2 + 3 + … + n 個の判定
[使用タイミング]
・後半戦の「~個消そう」ノルマ
[基本方針]
・画面端から準備する
・上下段を同時並行で積み込むのが良い
・2段目に乗せるダイスを用意するとき
・1の目の位置との対応関係が重要
・1マス空いた位置に準備/できるだけ1の目の隣に置くのは避ける
ノルマ貫通現象
[使用タイミング]
・ダイスの降らないインターバル(レベル5, 7, 9)
[基本方針]
・同時予約バグとほぼ同様だが、積み込み形は決め打ちする
・埋まらないようにバニッシュしつつ積み込む
・これから準備する位置から遠い場所で行う
・(紹介した積み込み形を使う場合)
消去数の関係であえてバニッシュする必要がある
・埋まっても即座に持ち上げか一瞬2段目に登ることで助かる
・垂直ジャンプは回避に使えない
これで第4回の積み込み編を終了します。第5回(最終回)は「未来予知編」です。ここまで考察してきたことは多くがノルマ内での動作や意識についてでしたが、次回は「ノルマとノルマの関連性」を扱います。次ノルマが確定している場合、あるいは「確率的には」判明している場合について、どのような行動を取るのが良いかを考えていきたいと思います。