見出し画像

聞き返すのが苦手な人

聞かれたり話しかけられたりした内容がよく聞こえなかった時、聞き返す。そうすると相手が内容を話し直すその声に苛立ちというか、独特の荒々しさが混じっていることがある。おそらくそれは相手の無意識なのだろうけども、私はそんな声を聴くと何か自分がいけないことをしたような気分がしてしまう。

そんな経緯があって、私は人に何かを聞き返すことがものすごく苦手である。コミュニケーションを取る上でこの弱点は結構致命傷なのだが、私と同じように聞き返すことが苦手という人は意外とたくさんいるようにも思う。

相手の言った言葉がよく聞こえなかった時、聞き返すのが苦手な私はいつも適当な相槌を打ったり、何も言わずに微笑んでその場を切り抜けることにしているのだが、やはりどうしても誤魔化しきれないことはある。というか殆ど誤魔化しきれていないと思う。「納豆とオクラどっちが好き?」といったような質問に対して静かに何も言わずに微笑んで返すばかりだと、「こいつ人の話聞いてねえな。ただの愛想屋だな」となってしまい、あんまり話しかけてももらえなくなる。

私は、他者との衝突を極端に恐れている。そのために自分の主張さえ捻じ曲げてしまうほどだ。そこまで深く考えてみたわけではないが、聞き返すのが苦手なのは、せっかく感じよくコミュニケーションをとれていた相手との間に不協和音が入るのが怖いからだろうと思う。全然大丈夫じゃないのに大丈夫と言ってしまうこともたびたびだ。

自分の快/不快をいつも蔑ろにしてしまう人は、それと同時にその場の空気や外部の価値基準をいたずらに内面化してしまっていることに気づかない。最初はそこにストレスを感じるが、ずっと内面化をし続けていると次第に自分の快/不快が外部と一致してしまい、疑うこともできなくなる。強い言葉で否定する必要もないが、認めつつも従わずというのが自分の外にあるものとの理想的な付き合い方だろう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?