スタンダードのローテーションの変化について考えたはずだった

・急に来るじゃん

ゴールデンウィークの明けた月曜日の朝、インターネットを開くとビッグニュースが流れてきた。
こんな重大発表をサラッと流すな、というのがまず第一印象だ。
僕はスタンダードをアリーナでしかプレイしていないので「紙の寓話が値下がるのが1年遠のいたの嫌だな〜」というのが最大の本音であるが、今回可能な限り私情を抜きにしてこれがどういう変化をもたらすか考えてみたいと思う。

今回の発表によるメリット

 記事曰く、これはスタンダードをテーブルトップに戻すための計画らしい。確かにちょっと前に買ったカードがまだ使えるようになるというのは復帰がしやすくなるように思える。
記事にも書いてある通り、『イニストラード:真夜中の狩り』および『イニストラード:真紅の契り』、『神河:輝ける世界』、『ニューカペナの街角』は今年秋の『エルドレインの森』発売までしか使えなかったはずだったが、来年の同時期まで使えるようになる。
この時期にスタンダードを遊んでいた人達は(環境についていけているかはともかく)デッキの賞味期限が1年増えたことになる。それは良いことだろう。
また、売れ残っているイニストラードや神河などのパックを剥く理由にもなる。ショップとしては在庫が捌けるという意味では助かる……のかもしれない。

ここまでがメリットだ。

今回の発表によるデメリット

さて、先程まで頑張ってメリットを挙げてみたが、全て詭弁である。
今の環境は2ターン目税血の収穫者3ターン目寓話4ターン目シェオル5ターン目絶望招来もしくはそれに対抗しうるデッキしか存在せず、デッキパワーによる足切りラインが非常に高い。昔のカードに少し買い足すだけでは楽しめないだろう。

また、ショップもスタンダードのパックを求める客の声に応えるためイニストラードを再度仕入れる必要があるだろう。新弾やモダンホライゾンのように売れそうな製品ならばともかく、皆が剥きまくったパックは在庫となるリスクが高い。そしてこれから1年半はスタンダードのカードプールは増え続けることになる。弱いパックは在庫が山ほど出てくるだろう。
というかウィザーズはスタンダード範囲のパックは刷り続けるつもりなのだろうか。イニストラードのカードは欲しいがパックが存在しないなどという状態にならないためには刷り続ける必要があるのだが負担ではないのだろうか……。

提案

さて、問題点を挙げたところでここからが僕の考える現在のスタンダードを改善するための提案だ。
僕は経済や金融などを学んだわけではない素人なので間違っているかもしれないが、とりあえず僕が考える案は次の2つだ。

  1. 禁止改訂を定期的に行う

  2. アルケミーをなくす

提案1.禁止改訂を定期的に行う

環境を変える必要があるだろう。今までのカードプールをどんどん増やしていっても、デッキの軸になるようなよっぽどなパワーカードが出ない限りはデッキの結局新しいカードを手に入れたラクドスカラーが躍進する可能性の方が高い。なんならそのカードを入れるためだけに黒が色を足すだけだろう。
すでに5色ランプが存在するように、現在は(ブルーアブザンやダークジェスカイなどといった謎のデッキ名を作り出した)あのタルキール時代並にマナベースが自由なのである。レジェンドや部族のための特殊土地がある分あのときより自由かもしれない。
オンラインで環境解明が早くなったと言われて久しいが、最も効率よくパワーカードを入れた無理のないマナベースのデッキが開発されるだろう。
カードプールが増えることで昔のカードとの相互作用は期待しない方がよい。よっぽどでなければラクドスカラーに潰されるしサヒーリフェリダーのような壊れコンボは禁止されるべきであるからだ。

よってやはり月に1回など定期的に禁止改訂を行うことを決めておくべきだろう。以前のように。

提案2.アルケミーをなくす


突然だがMTGアリーナをプレイしている皆さんはアルケミーでプレイしているだろうか?
僕は生粋のアルケミーアンチである。
レアがナーフされてもこれは「ゲームバランスのための調整でありナーフではない」などと言われてワイルドカード補填をしないであるとか、「運と実力のバランスが自分の望むゲーム体験とマッチしていると感じたからMTGをプレイしているのであって別のゲームになるならシャドバやハースストーンをやっている」、等の理由である。

インターネットで嫌いなものを言わない方がいいと言うことは知っているが、筆者にはそのようなアルケミーへの偏見があるという前提で読者の皆様に読んで欲しいという考えからのものである。
そしてフラットな目線で次の考えを聞いてもらいたい。

アルケミーというのはテーブルトップのスタンダードから人を遠ざける要因のひとつなのではないか、と思うのだ。

僕の知る限りで権利や賞金を目指してやっているようないわゆる「ガチ」プレイヤーを除いてアルケミーをプレイしている人間を見たことがないが、もし仮にアルケミーが大流行していると仮定しよう。

それはMTGアリーナに課金している人が多いということであり、テーブルトップから離れさせている要因のひとつだ。
そしてそのプレイヤーはスタンダードのレアと比較してよりエキサイティングな体験をくれるアルケミー専用のレアにワイルドカードを切り、スタンダードなどというよく調整されたカードのみで構成されたフォーマットを遊ぶことはないだろう。
もちろんこの仮定が間違っていてアルケミーが過疎っているのであればやはりアルケミーは必要ないと言える。

アルケミーの存在意義とはなんなのだろうか……。
フォーマットが増える分、もちろんMTGアリーナとしての売上はあるだろうが……。

僕にはさっぱり思いつかない。もし説明できるという方がいたら真剣に聞きたい。
よって僕はアルケミー専用カードを作る工数を他に(特にスタンダードをテーブルトップに戻すための努力に)回すべきだと考える。


ところで


記事を読んでいて引っかかった部分があった。
以下の一文だ。

《この変更は、近年における統率者戦やパイオニア、モダン、その他フォーマットの驚くべき成長に水を差すことを意図したものではありません。》

(《》内引用)

僕は思った。

なんで統率者戦を最初に書いたんだ?普通に考えればパイオニア、モダン、その他のフォーマットって書くところじゃないか?
念の為に原文の記事も見てみたが、
https://magic.wizards.com/en/news/announcements/revitalizing-standard
何度見てもCommander, Pioneer, Modern, and other formatsと書いてある。

そして次に思った。

ははーん、もしかすると記事書いた人間、スタンダードやってないな、と。

MTGの調整チームがガチガチにスタンダードをやりこんでいる訳ではないというのはサヒーリフェリダーの時の様々な記事で知られているし、最近のスタンダードには統率者用と思われるカードが多く刷られている。
統率者を重視してスタンダードを軽んじているのではないかと思ったのだ。

個人的には寓話のせいでアドバンテージを取られて終わってしまったマッチやシェオルドレッドを除去出来なかっただけで負けたマッチ(もちろん押し付けて勝った回数も多いが、人間はネガティブなことほど強くイメージに残るものだ)は数多く経験しているため、この環境があと1年半続くと思うと飽き飽きしてしまう。

そのような体験をしておらず、統率者戦というパーティーゲームしかしていないいわゆるカジュアルプレイヤーが書いたのではないか?と感じたのだ。
そこでこの記事を書いたAaron Forsythe
とBilly Jensenという人物についてMTGwikiで調べてみることにした。BillyはWilliam Jensenという名前の方が馴染みがあるだろうか。(ミドルネーム?のようだ。よく分からない。)

http://mtgwiki.com/wiki/Aaron_Forsythe

http://mtgwiki.com/wiki/William_Jensen

2人とも素晴らしい実績を残しているプレイヤーだった。というかウィリアムジェンセンに至ってはプロツアー等の動画でプレイを見たことすらあった。どうやら勘違いだったようだ。
調べるついでにAaron ForsytheのTwitterも出てきたのでちょっと見てみた。


https://twitter.com/mtgaaron/status/1655318059098292228?s=46&t=jm0q21qqS7RtGRBmRxUk-g

ツイートのGoogle翻訳がこちら。

テーブルトップ スタンダードをより魅力的な場所にするためにいくつかのことを行う予定ですが、ローテーションへの変更は最も基本的なものです。カードをより長く使用できるようになり、将来のローテーションで削除されるカードの割合が少なくなります。乞うご期待!


それに対してこのようなリプライが来ている。(一部Google翻訳から改変)

禁止制限リストをより積極的に管理することで、このような変更に伴う陳腐化を回避できると思いますか?それとも、寓話やシェオルドレッドのようなカードの支配を避けるための異なるデザイン哲学ですか?それとも、これは解決する必要がある問題としてはほとんど見られていませんか?

先程の税血寓話シェオルドレッド環境を憂いて当然の疑問である。これに対する回答は

私たちは、これらのトピックに関するメッセージに取り組んでいます。私はそのコミュニケーションを先取りしたくありません。

……。
…………。
………………は?
これから禁止改訂でなんとかするよって解釈で合ってる……?


それならそれを記事に書け!!!!!!!!!!バカ野……、かわいい〜、あ〜かわいいわ〜この記事〜。

確かに「これからラクドスの鉄板ムーブには禁止改訂で何らかの手を入れるからそこは気にしなくてもいいよ」って書いてあったら寓話の価値が暴落してショップ激おこだろうけどさ……。

なんでライターのTwitterまで見に行かなあかんねん!!
禁止制限出すから2税血3寓話からの流れは無くなるって言え!!!

いや、そう書くと「これから禁止バンバン出すってこと?」「MTGの資産価値は終わりです!」「またオーコやオムナスの頃から変わってないのか」「ウィザーズ君、新社長になってから変わっちまったな……。」「石鍛冶の神秘家を禁止したときはあんなに反省してたのにうんぬんかんぬん」
100億回見た議論である。

下手なこと書くと色々と言われるからむしろこれが正解なのか?インターネット上手マンなのか?

記事に「テーブルトップでスタンダードを再度流行らせるための第一歩」と書いてあったため、「ウィザーズは現在のスタンダード環境を健全なものにするためにローテーションを延ばすという改革を実施した」と思ってここまで文字を並べて来たのだが、大前提が崩れてしまった。
このままでは情報量のない記事をお届けすることになってしまう。あとは最後にAmazonの欲しいものリストでも貼れば立派なアフィまとめサイトの完成だ。
せめて現在の僕の考えをまとめておこうと思う。

結論

・どうやら最も危惧した事態(現在強いデッキがどんどん強くなるだけで見るカードがほとんど変わらない環境がそのままやってくること)にはならないらしい

・これからスタンダードを変えるための二歩目、三歩目の発表があるだろう。環境を憂うのはまだ早い。

・だがショップの在庫や印刷の都合のことは考えているのだろうか

・でもせめて統率者からフォーマットを挙げ始めるのはやめて欲しかったなあ

・公式記事だけじゃなくてライターのTwitterまで追わなきゃいけないのは勘弁してほしい

・それはそれとしてアルケミーは廃止しよう

これで一応記事としての体裁は保てただろうか?

保てたことにしよう。それでは。
おしまい

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