Canon Canonet Giii QL17の分解
キャノンキャノネットGiii QL17は、コンパクトフィルムカメラの中でも特に人気が高い機種です。
レンジファインダーカメラと言う部類で、ファインダーの二重像を合わせることによってフォーカスを調整します。
QL17ではなく、QL19もあります。レンズが40mm F/1.7ではなく、F/1.9とわずかに暗いので少し人気は落ちます。(希少性でいえばQL19の方が上かも)
分解方法は、一世代前のニューキャノネットとほぼ変わってません。
トップカバーの分解
ゴムオープナーで巻き上げレバー上の押えリングを外します。
レリーズボタンを上に引き、他のパーツも外します。
レバー上の板バネのリングは表裏があるので注意して下さい。
軸の二股部分を固定して、巻き戻しクランクとその下のワッシャーを外します。
カバー周りの側面のネジ2本と後面のネジ1本を外します。
トップカバーを上に引き抜きます。
巻き上げ軸の上にワッシャーがのっているので回収しておいて下さい。
頭を抜いたらまずは露出計が動いているかを確認します。
ファインダー清掃
プラスチックカバーを外します。
マイナスドライバーを接着面に差し込んでめくります。
ファインダー内には斜めにハーフミラーが入っています。
ミラーの塗装面は、基本水拭き禁止です。
塗装が取れてしまうと二重像が見えなくなります。
ハーフミラーは、端の部分を乾拭きしてみて問題なければ、全体を優しく清掃して下さい。
前後のレンズは水拭きOKです、ハーフミラーに水分がつかないように注意しつつ清掃して下さい。
経年劣化でクモリが激しい場合は清掃してもあまり改善しません。
その場合は下記しますが、移植手術をおススメします。ドナーは、Giiiでなくても良いのでわりかし適用範囲広いです。
続いて、トップカバーのガラス面を清掃します。
前方のファインダー周りに黒く塗装がしてあり、アルコールなどで拭くとはげます。塗装部分にはあまり触れないように、クリーナーで清掃して下さい。
中央のすりガラスはクリーナーで清掃してかまいません。
清掃後はファインダー上部のプラスチックカバーを接着し、トップカバーを戻していって下さい。
タイマー動作の改善
レンズ脇のタイマーは動作が鈍っていることが多いです。
タイマーの付け根部分を揮発性の溶剤で洗浄すると回復します。
この作業をするとシャッター羽根まで濡れてしまうことがあるので、レンズ清掃前にやるのがおススメです。
レンズ清掃
銘板周りのリングをカニ目レンチで外します。
先が曲がったカニ目で合わせて、あまり押しすぎずに回します。
上から押さえ過ぎるとリングが曲がって取りづらくなるとともに、銘板にすべって傷がつきます。
これを外すの苦手な人がひじょ~に多い。
頑張りすぎると銘板がグチャグチャになるので、少しでも危険を感じたら退いた方が良いです。
銘板を上に引き抜いて外します。
金属板のリングを外し、前レンズをカニ目レンチで外します。
この時レンズを根本から取らないと分解に手間取ります。
ハズれないときに、溶剤などを手前のリングに注すと前だけ取れてしまいます。
絞り羽根前後のレンズ面が特にカビやすいです。
絞り全開でバルブでシャッターを切り内側のレンズを清掃して下さい。
外した前玉の裏側部分です。
周りの塗装が剥げるので、なるべく塗装を触らないよう清掃して下さい。
レンズを清掃したのち戻します。
金属板のリングは、穴をボディ側のピンにはまるように戻します。
銘板の裏側に丸い溝があるのでピンにはめます。
銀のリングは無理にはめようとすると曲がりやすいです。ゴムオープナーで回すといい感じです。
くもったファインダーの交換
ファインダー内の、ハーフミラーがとんでもなくもっていて、清掃したくらいではどうにもならないことがあります。
キレイなミラーに取り替えられれば良いのですが、ミラーはかなりガッチリ固定されています。
接着部分をガリガリ削って、取りだせないこともありませんが慎重にやらないと割ったりします。
実は、ミラーだけ取るより、ファインダーごと交換してしまう方が簡単です。
移植はまったく同じ機種でなくても、Giii QL19はもちろん、ニューキャノネットでも互換性があります。
ここから先は
¥ 1,900
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?