Olympus OM-SYSTEM 50mm F/1.4の分解
オリンパスのレンズ分解は、硬さとの戦いです。とくにこの50mm F/1.4は7割以上分解できれば上級者もしくは怪力です。
難度★★★ 硬さ★★★★★★★★★★
基礎知識
OLYMPUS OM-SYSTEM 50mm F/1.4と一括にしましたが、時代によって変化しています。
銘板で区別するとM-SYSTEMからOM-SYSTEMになり
G.ZUIKO AUTO-S→MC ZUIKO AUTO-S→ZUIKO AUTO-S
と変化してきます。
画像のレンズは、左がZUIKO MCで、右がG.ZUIKOです。
見た目ほとんど同じですが、互換性は無いので、ニコイチなどは作れません。
後ろ環の押えリングの形状が微妙に違っておりレンズ径も違います。
購入時の注意
後玉のカビは、清掃してもカビ跡が残るので避けた方が良いです。
MC ZUIKOはクモリが多いです。
OM-SYSTEM前身の、M-SYSTEM 50mm F/1.4は、前玉の接着が更に固いです。人力じゃ無理のレベルです。
前玉分解
最も見る機会が多いG.ZUIKOの50mm F/1.4を分解してきます。
分解の仕方は、他のバージョン共にほぼ同じです。
ちなみに、画像ではフィルター枠が銀色ですが、同じG.ZUIKOでも次世代になると黒になります。
銘板を回して外します。
いつも分解するときに、「強く押しながら回して下さい」といっていますが、今回ばかりは話が別です。
押しが強いとリングが斜めに上がってきて、はずし途中で固まって動かなくなることがあります。
押しは弱めで、リングと接したゴムオープナーに均等に力がかかるようにして銘板を回します。
下のフィルター枠を外します。
フィルター枠のリングを取ると、下に丸い玉が入っています。
位置を確認して、失くさないよう予め回収します。
一枚目レンズの押えリングをゴムーオープナーで外したいところですが、レンズがせり出しているためうまく外れないことが多いです。
回らなければ内側のカニ目をカニ目レンチで回します。
硬くて緩んでもすぐには外れません。回す前に予め溶剤を注しておいて下さい。
なお、後期タイプになるとカニ目がなくなります。
その場合は、大きさのあうゴムオープナーのヘリを当て回して下さい。
更に最難関の前玉のレンズユニット一式を外します。
とんでもなく硬いです。
最大限の力を使って外周部分のカニ目を回します。
カニ目レンチもできれば、井桁のタイプではなく、V字タイプの強く回しても歯の位置がブレないタイプの物が良いです。
私は、これを回そうとして肩を壊してしまった方たちを何十人も見てきました。
外れなければ外周部をトンカチで何度も叩いてから、カニ目で再チャレンジしてください。
硬くて開かない場合の対処法は後ほど解説します。
更に、渦のついた押え環をカニ目で回して外します。
なお、MC以降だと、この渦付きの押え環は載せてあるだけで、カニ目はなくなっています。
絞りリングも外すことができます。
ヘリコイドが露出するので、動きに硬さなどあればグリスアップします。
戻す時は、絞りリングにある突起をレンズ本体の二股の部分に挟むように戻します。
前玉分解時の注意
レンズ内側のパーツは、前玉を抜くと少し緩みます。気にせず扱っていると絞り羽根と連動したレバーが外れます。仕組みが分かれば戻すこと自体は訳ないですが無駄な作業です。
浮き上がらないように注意しながら、場合によっては指で押さえるなどして整備を行って下さい。
後玉分解
後玉一枚目のレンズを外す時は、カバーを外す必要はありません。
直接ゴムオープナーを押し当てて回します。
更に分解したい場合はカバーを外して下さい。
この後玉一枚目の裏が特にカビやすい箇所なので、これだけで清掃を終えるパターンが多いです。
組み上げ
小さなスプリングの入った穴へ、玉を戻すのを忘れないようにして下さい。
金属製のピンセットだとくっついてしまってやりづらいです。
磁性のない、カーボン製のピンセットがオススメです。
玉の上のリングは、レンズ周りの欠け部分に突起部がハマるように戻します。この時、先に置いた玉が動いてしまわないように注意して下さい。
リングにある丸い出っ張りをフィルター枠の溝で挟むようにして押えます。
フィルター枠押えつつ銘板を載せ回します。
押しは弱めで回して下さい。
前玉が外れない場合の対処
上の記事では前玉のレンズユニットがあっさり外れましたが、歯が立たないこともあります。
外れないと内部清掃ができないので、対処法を解説します。
また先ほどは後玉を一枚しか外しませんでしたが、それ以降の分解方法も記載してあります。
分解にあたり、何種類か薬剤を使いますが、全て商品名を公開してあります。
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