キャノン 旧FDレンズの分解 Canon FD 50mm F/1.4 SSC
キャノンFDレンズは、マウントの締付リングがシルバーの旧FDと、レンズ全体がブラックのニューFDの2種類が存在します。
今回は、旧FDの中でも、特に手に入れやすい50mm F/1.4 SSCにて、動作の基本と後玉の組込方法をメインに解説していきます。
基礎知識
絞りオートのマークは”A”と”O”の2種あります。”O”が旧式です。
内部もネジの位置が違ったりと差異はありますが分解方法は同じです。
絞り羽根の動作確認
はじめに締め付けリングの位置を確認して下さい。
おそらくリングの赤丸と銀の突起が一列に並んでいると思います。レンズが外れているときは基本この状態になっているはずです。
この時絞り羽根は動きません。
先ほどの状態から、画像上のピンを押し下げて、締付リングのロックを解除し、画像下のレバーを矢印方向に動かなくなるまで回します。
リングを回した後に、連動ピンを動かすと絞り羽根が開閉します。
開閉する範囲は、絞りリングで設定した値までです。1.4の時は何も動きません。ちなみにAの場合は、最小絞り(今回はF16)と同じ動きをします。
連動ピンを端まで押し込むと、ロックされます。
この状態だと、絞り羽根は固定されマニュアルの動作になります。
動作確認が終わった後は、締め付けリングを回す前の初期状態に戻して下さい。
戻して置かないとカメラに装着できません。(よくそのまま販売してクレーム受けてる人います。)
前玉分解
よくある症状として、絞り羽根の前のレンズがクモっています。
清掃で改善することも多いです。
銘板とフィルター枠の隙間に溶剤を少量かけて接着を緩めます。
個体によっては、白文字の表面が溶剤で落ちます。
とはいっても文字が消えるほどではありません。(”◯”は色落ち?検証中です。)
銘板下のフィルター枠を押えているネジ3本を外します。
レンズ周りはかなり強く接着されているので、あらかじめ溶剤で弱めておきます。
前玉一枚目の押えリングとレンズを外します。
ここは接着が固くなかなか苦労します。
大抵のレンズは最初きつくて、緩んだらスルスル外れるものですが、このレンズはずっと固いです。
ユニットで抜けて絞り羽根まで到達します。レンズ周りかなりベタベタしています。
裏側のリングに溶剤を注し更に分解します。
組み戻す際、表裏を間違えないように、外したままの向きで置いていくのがいいです。
後玉分解
締付リングをロックしているピンを押し下げ、ネジ3本が外せる位置へ回します。
ネジを外したら、締付けリング部分を後ろに引いて取り外します。
分解中の注意
締め付けリングを外したあとは、絞りリングが外れないように注意しながら作業して下さい。
外れてしまうと、戻すのが大変です。
レンズを後ろに繰り出し、押し回します。
画像矢印の金属ピンは外れます。取って作業しても良いです。
押しを強めにすることで、うまくいくと、後玉が根本からユニットで外れます。今回は後玉一枚目だけ外れました。
一枚目を外したら、順番に外していきます。
最後はレンズサッカーで外し、絞り羽根まで到達します。
(サッカーで吊るしても外れない場合は、前玉方向から押してやります。)
ユニットで抜けてくれるとここのバラシが必要無くなるので楽です。
上の矢印のリングですが、組戻すときにブロワーで吹き飛ばし向きが分からなくなることがよくあります。
少し面があるのが下(絞り羽根方向)です。これは”A”も”0”も同様です。
根元から外れた場合
うまくいくと根元からユ抜けるます。こちらの方が清掃は楽ちんです。
マウント部の組み戻し
旧FDレンズのマウントの組み上げは少しコツがいります。
しかし、仕組みは同じなので一度覚えてしまえば別の旧FDレンズを分解したときにも迷うことはありません。
ただ、300㎜以上の望遠になってくると、勝手が違うこともあるのでご注意下さい。
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