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絵本のコストを更に下げる方法~制作編~

 前回、書いたとおり、カラーページとモノクロページを分けて印刷することで、かなりコストを下げることができることがわかりましたが、そもそも絵本のコストが高いのは、カラーページが多いから。ということは“インク量自体を減らす”ことで、更にコストを削ることもできるのか?
 
 答えはYESでした。
「例えば、ページの全面に色をふんだんにのせると、それだけインク代がかかることになりますよね。でも背景は白抜きページで、そこにカラーイラストが入る、といった形態なら、それだけインク量も減るので、コストは下げられます
 まあ、聞けば納得の話なのですが、そういう意味では、一言で“絵本”と言っても、確かにその中身は千差万別。いわさきちひろさんの作品や、せなけいこさんの「いやだいやだ」シリーズなどが、上記の作品イメージに近いかな、と思います。
 
 どんな作りにするか、色づかいはどうするか。コスト面のことのみでなく、作品のイメージを固める上でも重要なことなので、図書館に行き、色々な絵本を眺めてみました。
 ストーリー的には「昔の朧げな記憶」をベースにしているので、ハッキリとした色合いというよりは、水彩の薄いタッチがいいだろう。作品のタイトルは「あの日の空の色」で、海と空の美しい色合いが一番の見せ場となるから、そこは全面見開きカラー。でも、ベースは片ページに絵、もう片ページに文がきて、エッセイ絵本風の作品になることを考えると、背景に白を多くすることはできそうだし、かえってその方が作品のテイストとしてもうまくまとまりそうである……。
 
 絵をお願いしているツジのカナさんにもそのイメージを伝え、そういったテイストで描けそうか、確認。お互いのイメージを擦り合わせるために、何枚かサンプルを描いてもらい、イメージする色合いをまずは探りました。
 そもそも、私の頭の中にある曖昧なイメージを具現化することって可能なのだろうか…。そんなところからのスタートでしたが、2ヶ月ほどかけて“求める色合いやページの姿”のイメージが固まり、それが結果的にインク量を削減した“エコな作り”にもなるという方向性が固まりました。


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