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理想と現実との接点~つながった思い~

 三恵社さんとの第1回打合せは10月初旬。「ページ数や大きさなどで、ざっくりしたところの見積りは出せてしまうのだが、細かいところについても伺った方が、より正確な見積りが出せる」とのことだったので、私の方から「できれば、直接会ってご説明したい」とお願いしました。
 
 まずは、作品の概要について、こちらから説明
 絵本のストーリーは、自分の幼い頃の実体験をベースにしたもので、「親の手によって命を奪われる子どもを失くしたい」という思いを込めた作品であること。現在、子育て支援業務に携わる身として、追い詰められた親御さんの心情というのも痛いほどわかるのだが、そんな時に、命の奇跡や子どもの気持ちに目を向けてくれるきっかけになれば、と思って執筆した作品であること。今はストーリーしかないが、これから絵をつけて、次の児童虐待防止月間までに発行し、全国に配布したいと考えていること、等。
 
 次に、費用について。オンデマンド出版というのは、1冊からでも制作可能とのことだが、初期費用としてはどのくらいかかるものなのか。また、オンデマンドの場合、従来の印刷よりも1冊あたりのコストは高くなるようだが、できれば定価は2,000円以下に抑えたいと自分としては思っている。それは可能か、等々。
 
 そして、“エコ出版”への私の思い。オフセット印刷は1冊あたりの単価は安上りになるが、結局、多くの無駄紙が出ることになる。自分としてはなるべくそうした無駄を省いた形で刷りたいし、無駄を省きつつ、絶版せずに細く長く売り続けられるオンデマンド印刷に興味を持っている。だが、実際のコストや仕上がりはどうなのか……。
 
 すると、三恵社の担当の方から、まず、意表を突く言葉が返りました
 
 「私はもともと、大手週刊誌の会社に勤めていたんですけど、まさにそういう無駄に疑問を感じて、この会社に転職してきたんですよ」
 
 本当に、現在の出版というのは全然エコじゃない。自分もそこに、長いこと疑念を抱いていた。ただ、本を出す時、世間では「オンデマンド出版」というと、一段低く見る傾向がある。そして、確かに1冊あたりの単価は若干高くなってしまうという弱点も確かにある…。
  まず、そうしたデメリットについて伝えてくれた上で、実際に出版された絵本の作品を何冊か見せていただきました。印刷品質に関しては、まったく問題ない仕上がりで、内容についても、よく考えられた作品が多く、好感を持ちました。
 
 ちょうどその頃、みらいパブリッシング社からクラウドファンディングの話をされたことで、クラウドファンディングについてもちょっと調べたりもしていたので、「母体が印刷会社さん、ということなら、もし、クラファンのリターン品や販促・宣伝用の絵葉書など作る場合、そのあたりも一緒にお任せすることはできるか」と投げかけてみたところ、「もちろん、うちでもできますけど、正直なところ、多分、そういったものはうちでやるより他で作った方が安くできるんじゃないかと思いますよ」と。
 
 なんて言うか、すごく誠実……。そして、本づくりの見積りに関しても、
 「ページ組みをこちらでやる場合、その費用が1ページあたりいくら、といった形でかかってきますけど、編集は自分でやってPDF入稿する、ということであれば、その分の費用はかからないので、かなり費用は抑えられると思います。表紙デザインだけこちらで、というのも可能ですし、コストに応じてどこまでやるか決める、でもいいです」と。
 
 無理に費用を積み上げようともしないし、きちんとデメリットも併せて提示してくれる。しかも、週刊誌の世界で紙の大量消費に疑問を抱き、この会社に転職してきたなど、「エコな出版」についての思いも一致している。「私は、そもそも、今の日本の本って安すぎるって思ってるんですよ」等、本への熱い思いも聞かせていただき、この人となら、同じ方向を向いて、良い本を作っていけるだろう、と思いました
 
 まだまだ、細かいところが詰められていない状態ではありましたが、大まかなページ割りを見せ、「A5版、36~40ページ」でざっくりいくらくらいになるか、との問いには、「本の価格設定にもよりますけど、こっちで全部やったとして40~50万位ですかね」とのこと。
 
 40~50万!みらいパブリッシング社の提示価格の半額以下ですよ!!
 
 あとは、詳細を詰めていくのみ、ということで、ストーリーと絵の組み合わせを考えながら、絵本の体裁に収まる形になるよう、ページ割りを固めていく、ということで初回打合せを終えたのですが、ページ割りをするにあたって、ということで、三恵社さんからは、もう1つ、「エコな出版」に向けてのヒントをいただきました。目から鱗の発想だったその話については、また次回……。


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