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絵本のコストを更に下げる方法~販売編~

 私がもう一つこだわりたかったのは、絵本の価格です。いくら良い本でも、価格が高くては、購入に躊躇してしまうでしょう。そういう意味でも、なるべく販売価格は安い値段に設定したかった
 
 なので、私の中ではどんなに高くても2,000円以下にしたい、という思いがありました。
 しかしながら、ページ構成を考えると、やはりページ数は、絵本にしては40ページとかなり多めの枚数になってしまう。なんとか36ページに納められないかと、文章の剪定も試みましたが、そうするとどうしても中身が薄まって、伝えたいメッセージがぼやけてしまう。紙を薄目にすればどうか、とか色々考えましたが、質を落として価格を優先するのもどうか、というジレンマに陥りました。
 
 三恵社の担当さんは「そもそも日本は本の価格が安すぎる」と、本に対して熱い思いがある方でしたし、紙代の価格自体が上がっているという背景もあったため、「販売価格は2,000円を切る値段に」という私の申し出には「うーん…」と唸っていました。
 本の印税は初版から5%というお話しだったので、つまり、2,000円で販売するとしたら、1冊あたり100円が私の取り分。でも別に、私としては、この本で儲けようという気はさらさらなかったので、「この本は、親の手によって命を奪われる子をひとりでも減らせれば、という思いを込めた作品で、なるべく多くの方に手にとって欲しいから、価格も抑えたいわけです。そういう意味では、私としては、別に印税ほしいとか、この本で儲けたいというわけではありません。もし、印税、いらないとなったら、“社会貢献”の一貫ということで、本の価格も下げていただくことはできますか?」と投げかけてみたところ、「……そうですね。印税なくてもいいってことなら、なんとか2,000円切るところまでもっていけるかもしれません」と。
 実際のページ割りを固めて、本当にそれでいけるかを精査した上で、ということで検討していただいた結果、「印税なし、という条件でよければ、税込み1,900円程度でいけそうです」という回答を頂くことができました。


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