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普段遣いのプラグイン

 最近は専ら「普通」なプラグインばかり使うようになりました。多分、プラグインや音源をいっぱい入れたCubaseと、初期状態手つかずのLogicをそれぞれ使うようになったのが影響しているのだと思います。
 なので初心者の方と上級者の方、どちらから見ても面白くない品揃えかもしれませんが、よろしければ。


マスタートラックで使用

 私はマスタートラックに以下の4つがインサートされたテンプレートを用意しています。

TBProAudio ISOL8(フリー)

 MidとSideとを切り替えられるなら他のものでも充分です。用途については後述。(イメージャー系参照)

DOTEC-AUDIO DeeSpeaker(フリー)

 スピーカーでミックスができる方は不要です。
 切り替えやすいようにモニターをONにした状態でバイパスにしています。フェーダーを操作する時はだいたいこれを通して行います。

FabFilter Pro-L2

 リミッターです。音圧を上げる段階がくるまでは、「STYLE」を「Safe」にして放置します。音の変化は非常に自然で、味気ないという人もいると思いますが、最終段階で使うには良い仕事人だと思っています。ラウドネス値も表示できますし。

iZotope Insight 2

 メータープラグインです。「Loudness」と「Levels」ぐらいしか見ていませんが、これ一つで色々確認できるのは便利だと思います。(ただしスペアナは他のiZotope製品と同様に信用度が低いです)

EQ/ダイナミクス系

ノブばっかりで目が滑る。

 まずEQとコンプレッサーどちらが先かという話ですが、私は「EQ(カット)→コンプ→EQ(ブースト)」派です。先に余計な帯域を無くしたほうが、より深くコンプで潰せますからね。
 一方で、深夜の2時間DTM参加時などの時間がない時は、先にコンプを挿してからEQでカット&ブースト、もしくはカットはしないことが多いです。そもそも短時間で作曲から行う場合はトラック数が少なく、全トラック低域を削っていると音がスカスカになるからです。
 それかもしくは、まどろっこしいので全部コンソール系一つでぶっ飛ばす!!

FabFilter Pro-Q3

 結婚しよう相棒。
 選択しているバンドをソロで聴けるのがなにより有り難いですね。高域にローカットを一つ置き、カット部分をソロで聴きながら帯域を下げていくと、削るべきラインが一発でわかるので助かっています。もちろん、アコギやピアノなど、低域のゴワつきもある程度大事な音の時は、カーブを緩くするなどして気を遣う必要がありますが。
 波形の中で飛び出た部分を直接掴んで操作することも可能ですが、そっちのほうはあまり使わなくなりました。
 なお、EQのプラグインでいうと私は他にPultecEQやMäag EQ4も所持していますが、これまでミックス段階を乗り越えたプロジェクトファイルで、これらが使われた例はありません。SplitEQというアタックとサスティンそれぞれを操作できるEQもありますが、これも同様です。バカ重いのこれ。

Neve 1073系

https://www.plugin-alliance.com/en/products/lindell_80_series.html

 私が持っているのは、コンソールベースのPlugin Alliance Lindell Audio 80 Seriesですのでコンプとゲートがついていますが、EQだけでも充分使えます。カットとブースト、どっちもそつなくこなせる優等生です。流石はNeveといったところで、今はコンソール系はこれしか使っていません。たまにBrainworxのFocusriteやSSLシリーズを使おうとすることもありますが、こんなに出番があるのはこの子だけです。

1176系

https://www.plugin-alliance.com/en/products/purple_audio_mc_77.html

 みんな大好き1176。私も大好きです。
 FETコンプらしく「飛び出る音を即座に潰す」のに特化しているため、コンプを使うと思った際は、いつも第一候補に上がります。ドラム系には必ず挿しますね。
 私が使っているのは、UAD1176 Classic Limiterか、もしくはPlugin AlliancePurple Audio MC77。後者はINとOUTのノブがリンクするので、もともとサクッと使えるところから更にひと手間省けます。まあ、割とすぐズレるんですけど。
 ところで、76のリリースなんて基本最速でいいと思っているんですが、どうしてどこの76系プラグインもリリース最速がデフォルトではないんでしょう。地味な一手間です。

Universal Audio Teletronix LA-2A Classic Leveler Collection

「今更わざわざ76を挙げたんならこれもあるよな」という声が聞こえてきそうですが、はい、あります。こちらも大好きな人は多いのではないでしょうか、LA-2Aです。76の前に、ディケイやリリースが不安定だと思ったときに挿します。
 先ほどと違いUADの製品に絞ったのは、こちらは収録されている三種類(LA-2、LA-2A Gray、LA-2A Silver)を使い分けることがあるからです。基本的にはGrayを挿しますが、Grayでもまだ反応が早い・鋭いと感じた際はLA-2を、エレクトリックな音には、Grayより鋭いSilverを使います。

Softube Tube-Tech CL 1B Mk-II

 OPTコンプといえばこちらも捨てがたい。LA-2Aよりは色がつきにくいので、私はどちらかといえばこっちのほうが好きです。
 ただ、アタックとリリースを操作する手間があったり、デフォルトのレシオがかなりきつめに設定されていたり、ちょっとまだ使いこなすのに手こずっています。なんか潰れすぎたまま何を弄っても帰ってこない(後述)ときがあるんですよね。

Fairchild 670

 最近急速に存在感を強めてきました、Fairchild 670です。660は今のところ使っていません。LA-2AやCL 1Bで「やりすぎ」を感じるときに使います。
 私は初心者にコンプレッサーが嫌われる理由の一つに、「操作をした結果得られる音が『潰れすぎ』か『何も変わらない』かの二択になる」があると思っています。自分が初心者だった頃のコンプ嫌いの理由でもありましたし、今なお一部のコンプを使いにくいと感じる理由の筆頭だったりします。
 ですが、このコンプではそういった感覚はありませんでした。スレッショルドを下げてTIME CONSTANTを回すだけで、音が程よく潰れてくれるのです。「耳が『ウッ』となるような潰れ方はしてないし、なんとなしに聞けばコンプを挿す前とほぼ変わらないように聴こえるけど、バイパスと切り替えて聴くとちゃんと潰れているのはわかる」といったレベル。今後しばらくはお世話になることでしょう。

Plugin Alliance ACME Audio Opticom XLA-3

https://www.plugin-alliance.com/en/products/acme_opticom_xla-3.html

 LA-2A、CL 1BときてこれまたOPTコンプです。670と対象的に、これら2つではまだ味が足りないと思った時に使います。でも最後にこの緑のコンプを使ったのはいつだったかな……?

FabFilter Pro-C2

 これも、Pro-Q3のように圧縮されるの音のみを聴けるモードがあるので、これをつけたり消したりしながらアタック/リリースを調節すると、うまいこと自然にいっぱい潰せるラインを見つけることができます。670よりも触れる部分が多いので手間はかかりますが、正確さ正直さではこちらがより上です。(正確なのが正しいのかについてはまた別として)

TDR Kotelnikov(フリー)

 時々、毛色の違うパートでバストラックを組んだ時などに使います。これといって音に特徴はないのですが、そこがバスコンプとして優秀な点です。あくまでも、纏めるだけ。
 地味ーに、リリースの速度をピーク準拠とRMS準拠の2つ設定できるのが強みだと思います。

FabFilter Pro-MB

 Pro-L2、Pro-Q3、Pro-C2があるなら、これもあります。マルチバンドコンプレッサーのPro-MBです。これに関しては他の3つについてきた(バンドルで買った)だけというのが使用の理由ですが、やはりFabFilter製品らしく、見やすく使いやすい(もちろん聴きやすい)のが特徴ですね。

Plugin Alliance Shadow Hills Mastering Compressor 及び Class A

https://www.plugin-alliance.com/en/products/shadow_hills_mastering_compressor.html

https://www.plugin-alliance.com/en/products/shadow_hills_class_a_mastering_comp.html

 これも今は「みんな大好き」に入るのでしょうか。名前はちらほら聞くようになりました、マスタリング向けの二段コンプです。前段がOPTコンプ、後段がディスクリートコンプで、FETコンプやVCAコンプのように素早く作用します。
 もう今さら特別に言うことはありません。マスターバスに挿したEQで10Hz以下と30kHz以上をバッサリカットした後、下流にこいつを挿してそれとなく音を整えます。どれぐらいそれとなくかといいますと、ゲインリダクションが1dBに収まるぐらいです。特に後段のほうは1dBも行けば潰れすぎまであります。マスターバスの段階なので。そもそもその段階で3dB6dBもコンプ一つで堂々と潰せるようならその前から狂ってんだってんだ。

 なお、ディエッサーはDAW付属のものを使用しています。

イメージャー系

 イメージャー系は、私のミックス作業ではよく登場します。ここに関しては「普通」な感じの使い方か自信がないので、少しご説明します。
 段階としては、フェーダーバランスを整えた直後、パンを振る前になります。また、一部を除く各ステレオトラックは、リバーブ等が切られている状態にあるものとします。

 まずドラムセットの空間系トラック(OH、Amb、Reverb等)を除くステレオトラックのほとんどにWaves Audio S1 Stereo Imagerを挿し、Widthをゼロにしておきます。音の幅を操作できる軽めのプラグインなら、ここは何でも良いでしょう。

 次に、マスタートラック(Stereo Out)のISOL8でSideのみソロ状態にし、先程閉じたS1のWidthを徐々に開いていって、ドラムの空間系トラックとのバランスを取ります。
 もしS1ではうまく音が広がらない場合、もしくはドラム系やベース以外のモノトラックを広げたい場合は、S1の代わりにPolyverse Widerを使って広げます。
 パンもこの時一緒に振ってしまいます。今のSideソロの他に、MidソロやDeeSpeakerをオンにした状態と切り替えながら、モノでも埋もれず、Midの邪魔にならず、スピーカーに切り替えても適切なバランスになる位置を探ります。

 そして最後に、今度はSideソロからMidソロに切り替え、パンを振らなかったトラックのうち、より重要なトラックを邪魔している音のCenterを、Waves Centerで少しずつ下げていきます。もしこれがSideに影響する場合は、PunchをSides側に振るか、Sidesを上げて対処します。
 パンを振ったトラックがMidの邪魔をする場合は、S1のWidthを調節するか、LRのうちのMid側でMidと被る帯域をEQで削って誤魔化します。

 ミックス段階でのイメージャーの主要な出番は以上の通りです。
 また、マスターバスの一番最後にiZotope Ozone内のImagerを挿して、帯域ごとの微調整を行うことがあります。一番多いのは、低域を-100~-60%ぐらいにしてスリムにすることでしょうか。

空間系

Waves H-Delay Hybrid Delay

 正直ディレイを好きになれないのでこれしか使っていません。子どもの趣味に理解のないオカンの気持ちがよくわかります。どれ使っても同じでしょって。

iZotope Neoverb

「聴く、リバーブ」というキャッチコピーについてはなんだか使っていてわからないでもない気がする(実際聴き心地は良い)のですが、リバーブもまたディレイと同じで、子どもの趣味に理解のないオカンのように(略)
 とはいえ、色々な人の作品を聴くことがある立場上、リバーブでちゃんと響かせるのは大事だと思います。乾いた音で完成にしてる人が多いんです。

歪み系

IK Multimedia Amplitube 5

 アンプシミュです。ここに載せるには毛色が違うのではとも思いますが、一応エフェクト系のプラグインなので。

Plugin Alliance Brainworx bx_saturator V2

https://www.plugin-alliance.com/en/products/bx_saturator_v2.html

 MidとSideが2バンドずつのサチュレーターです。このあたりのエフェクトには疎く、普段あまり情報も入ってこないこともあって重宝しています。

その他

 代表的なところではコーラス/フランジャー/フェイザー/リングモジュレーター/ピッチシフター/ワウ等々ありますが、コーラスとワウ以外は今のところ効果音を作るときぐらいしか出番がないので、DAW付属のものしか使っていません。

DOTEC-AUDIO DeeGain(フリー)

 Cubaseにはゲインプラグインがないので、これで代用しています。

Plugin Alliance Brainworx bx_subsynth

https://www.plugin-alliance.com/en/products/bx_subsynth.html

 ローエンドを追加するエンハンサーです。これ系はWavesのSubmarineも持っていますが、使いやすいのはこっちだと思います。

おまけ:欲しいものリスト

 最後に、今私が欲しいプラグインを並べておきます。

LetiMix Gain Match

 もうとにかく面倒くさがりなので、これが欲しいです。いちいち神経を尖らせて音量を揃えるんじゃなく、これ一つでぽんと音量が揃うようにしたいんですよね。面倒くさがりなので。

Plugin Allianse Brainworx bx_console AMEK 9099

https://www.plugin-alliance.com/en/products/bx_console_amek_9099.html

 挙げはしましたが多分要らない。(1073系以外のコンソールの使用状況を鑑みるに)

Manley Stereo Variable Mu

「またコンプか!」
 
そうです。またコンプです。それだけ求める音に至るのに苦労しているということなのでしょう。
 真空管コンプという点でFairchild 670と系統は近いはずなので、あれで感動しているならこれも気にいるのではと思っています。でもなー、今はもうそんなにお金ないんだよなー。「だったらこないだその金を毟り取っていったIK Dyna-Muで試せ」って話なんですが。(先日めちゃくちゃな値下げ額で売られてたIKのドデカバンドルを買ったときに収録されていたようです。ちょくちょく触ってはいます)

 お金といえば、この記事は全文無料で見られるようにしていますが、有料記事に設定してあります。これでGain Matchぐらいは買えるといいなーなんつって。それかStudio Oneを買う時の足しにするかですね。少しでも力になりたいという方がいましたら、是非。

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