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はじめて夢小説同人誌を頒布する~前編~
はじめまして。水瀬と申します。
夢小説を書き続けておよそ二十年、初めて自作の同人誌頒布に踏み切ったので、その記録を残そうと思いnoteに登録してみました。
私について
・中学生の頃に夢小説(当時の名称はドリーム小説やドリー夢小説)に出会い、自らも執筆を始めた平成の夢オタク
・ジャンル変遷や執筆量にムラがありながらも現在までずっと変わらず夢小説を書いてる&読んでる
・作品発表は個人サイトがメイン
・高校生の時に文芸部で部誌発行経験あり
夢小説とは何ぞや?って方は有志によるまとめなどがありますので参考にしてみてください。
なお、私の認識では「(名前変換可能な)オリジナルキャラがいる二次創作小説」を夢小説と呼んでいます。
同人誌を作ろうと思ったきっかけ
実はこれまでにも何度か同人誌を作りたいな、と思ったことはありました。文字書きとしては、自分の書いた文章を本にするのはきっと皆憧れだと思うんですよ。しかし夢小説書きの私には高すぎるハードルがありました。
それは
・書いたことがあるのは1~2,000字程度の短編がほとんどで長編の執筆は不得意
・夢小説なのに名前変換ができないのはどうなの?
という二つ。
特に前者、長編を書こうとするもモチベーションが続かずに挫折するばかりでした。
しかし今年に入ったある日、過去に短編で上げてあった話を元に妄想を膨らませた結果、奇跡的に長編と呼べるサイズの物語が出来上がりました。
長編と言っても1万字程度のものなのですが、それまでの作品と比べたら雲泥の差です。
せっかく長い話が書けたのだから本にしたい!が、同人誌頒布への最初のきっかけでした。
印刷所を決めよう
原稿はとりあえず手元にあります。となれば後は印刷所探しです。
同人誌に憧れがありすぎて、定期的に同人誌印刷所のサイトを眺めたり装丁総選挙を眺めるのが大好きな私には、ずっと使ってみたいサービスがありました。
プリントオンさんの「わくわくドキドキデザインセット」と、
booknextさんの「表紙イージーオーダー」です。
小説同人誌を作ろうと思ったことがある人ならきっとご存知のはず。
どちらのサービスも、表紙のデザインが印刷代に含まれているセット。
絵が描けない・デザインセンスもない私のような人間にとって、本文入稿だけで表紙が何とかなってしまうという神サービスです。
プリントオンさんのわくドキデザインセットは仕様書に文字を書いて依頼する仕組みで、仕様書に書いた内容からオンリーワンのデザインをしてもらえる上に装丁もお任せになるセット。
booknextさんの表紙イージーオーダーは、たくさんある背景テンプレートとタイトルテンプレートから好きなものを選び、テーマカラーと合わせて伝えることでこれまたオンリーワンのデザインにしてもらえる仕組みです。
様々な条件を鑑みた結果、今回はbooknextさんの「表紙イージーオーダー」に決定しました。
原稿をつくろう
名前変換をどうしよう
印刷所と利用するサービスが固まったところで、原稿の作成に入ります。
現在あるのは名前変換付きの本文のみ。
既定のサイズの原稿に流し込む……前に、一つ問題がありました。
そう、名前変換です。
この時私が使用していた名前変換は3種類ありました。名字・名前・なまえ(ひらがな)です。この名前変換が出てくる箇所をどうするべきか。
ここで考えられる方法はざっくり3パターンありました。
① 固定名で貫き通す。
② ネームレスに書き直す。
③ ○○××等の記号に置き換える。
①については、過去に固定名で書かれた夢小説同人誌を持っていたことがあり、まぁ悪くない方法かなとは考えていました。しかしデフォルト名があると夢主というよりオリキャラ感が出てしまうかなぁという懸念もありました。
②については、いわゆる「審神者」や「監督生」などの普及により、今では大分メジャーになった方法なのかなと思いました。
今回の場合、固定の名前が出てこないように本文や台詞を弄るという方法です。没入感は薄れるものの、知らない人の名前を呼ばれるよりは良いのかも、と思いました。
③については、名字名前さんや○○××さんという記号に置き換えておいて、読み手の脳内で変換してもらおう、という方法。
世の中には名前変換を用いず「名字名前」という名前のまま夢小説を読む人も居るそうなのでありなのかな、と。
しかしシリアスなシーンで「××……!」とか出てきてもちょっと興ざめかもしれない、とぼんやり思いました。
これはもう悩みに悩んで、Xでアンケートを取ってみたりもしました。
○○××さん 17%
苗字名前さん 9%
固定名つけちゃう 46%
何が何でもネームレス 29%
総投票数:35票
最終結果は意外と固定名派が多くてびっくりしました。
その人のいるコミュニティとかにもよるのかなぁとも思いつつ、私はアンケートの結果が出る前に途中まで首位にいた②ネームレスに決定しました。
今思い返すと、これアンケートの結果を最後まで待ってたら固定名にしてたかもしれません。
また、既に掲載している個人サイト内では名前変換可能なため、同人誌内にサイトへの案内をつけることにしました。
原稿用テンプレートのダウンロード
名前変換の措置が決まったところで全て原稿を読み直して加筆修正し、ネームレスの本文が出来上がりました。
本文ができたら次はそう、組版作業です。
表紙イージーオーダーさんで印刷できるサイズは
A5/B5/B6/新書判/文庫判の5種類。
小説同人誌としてはB5以外ならどのサイズでも問題はなさそうです。
今回はページ数が少なく安価で作れるA5サイズ2段組みに決定しました。
今回組版に使うソフトはwordです。
booknextさんには、とってもありがたいことにword用のテンプレートがありました。
A5サイズ、ノンブル下左右の2段組、無線綴じのテンプレートをダウンロード。
ノンブルが自動付与され、初心者には分かりにくいノドを含めた余白等の設定も終わっているという素晴らしいテンプレートです。ありがとうbooknextさん。
フォントをインストール
原稿用テンプレートを入手し、これで下地は整いました。
次はフォントのインストールです。
パソコンに元々入っているMS明朝や游明朝も悪くはないのですが、やはり拘っておきたいところ。
実は同人誌を作ると決めてから、こっそりと頼んでおいたものがありました。
『小説作り方マニュアル』と『小説向け書体見本帖(オンデマンド)』です。
小説作り方マニュアルはword原稿を作る際かゆいところに手が届く感じで、書体見本帖は実際に印刷された文字を見比べることができます。
私が書体見本帖をパラパラと眺めて一番気に入った書体、それは源暎こぶり明朝でした。
癖が少なくて読みやすく、しかも無料。こんなにありがたいことはありません。
早速パソコンにインストールし、wordでフォントを設定します。
横書き原稿を縦書き用に
本文ができたと言いましたね?あれは嘘だ。
いや嘘ではないのですが、完成した本文はwebサイトでの閲覧を前提とした横書き原稿でした。
段落頭の字下げがされていない
台詞の前後に改行がある
etc…
このまま流し込んでも悪いわけではないのですが、やはり縦書きは縦書きのルールに沿った方が良いでしょう。
というわけで、ここで使用させていただいたツールがこちら。
SS名刺メーカーさんの提供する、「横書き→縦書きお節介アシスト」です。
これが控えめに言って神ツール。
段落頭の字下げや台詞前後の改行の削除以外にも、数字を漢数字に直してくれたり、感嘆符・疑問符の直後に空白を入れてくれたりと本当に良いアシストをしてくれます。
私の場合は半角英字を横に倒したままにしたかったので、不要な箇所のチェックを外して本文を元テキスト欄に流し込み、変換ボタンをぽちっとな。
あら不思議、あっという間に縦書きルールに則った本文に生まれ変わりました。
手作業で全て直すことを考えるとシステム的に一気に修正をかけてくれるので大変ラクでありがたいです。本当に感謝しかありません。
中扉と奥付
縦書き用にカスタマイズできたところで、ようやく本文をwordに流し込みます。
ここでようやくページ数も分かりました。
booknextさんはページ数に規定があり、規定外のページ数では入稿できないので、ページ数を調整する必要があります。
ページ数を減らすのは難しそうだったので、中扉をつけたり注意書きページを作ったりしてページ数を増やしました。
中扉があるだけで何となく「本っぽさ」が増した気がするので、これはつけてよかったなと思っています。
それと忘れてはいけないのが奥付です。
私が購入した『書体見本帖』には奥付のフリーテンプレートがついていました。優秀すぎる。
せっかくなのでテンプレートを利用させていただいて奥付を作ります。
内容はこんな感じ。
本のタイトル
発行日 (参加イベントの日付)
発行 (サークル名)
著者 (自分の名前)
連絡先 (メールアドレス)
Twitter(X) (アカウント名)
印刷所 booknext
※原作者様・その他の関係者様とは一切関係ありません。
※ウェブサイトや各種SNS上にアップロードする行為、
オークションやフリマアプリなどへ出品する行為を固く禁じます。
※処分する際は、中身が見えない状態にして頂いた上で可燃ゴミとして廃棄してください。
※Reprodicong all or any part of the contents isprohibited.
ちょっと不安だったので、奥付にも注意書きを再度書いておきました。
注意書きの文章や英文は色々検索して出てきたものを参考にしています。
PDFに変換!
中扉・本文・奥付が完成したので、それぞれPDFに変換します。
この時の私はまだ何もよく分かっていなかったので、
wordのエクスポートから単純にPDF変換しました。
今ならこの方法は使わないのでちょっと割愛します。
PDFへの変換方法は、以下のサイト様などを参考にするととても分かりやすくありがたいです。
原稿ができたので次はさあ入稿!なのですが、
ちょっと長くなってきたので続きは次の記事にしたいと思います。
ここまでお読みいただきありがとうございました。