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UV殺菌は織田信長。ろ過の弱点を補うイノベーション

陸上養殖では、魚を十分なサイズになるまで飼育し出荷します。
育てる期間は半年から数年かかるものも。

どこかで魚の飼育環境が悪くなったり感染症が発生し、大量死、なんてことがあれば大きな損害が生じます。だからこそ、常に正常な水質を維持・管理することは養殖事業が安定的であるためにとても大事な要素と言えます。

今回ご紹介するのは「紫外線(UV)殺菌」について。

具体的な仕組みについては、丁寧な解説が載ったwebサイトがたくさんあります。ただ、波長・DNA・不活性化…などの用語が飛び交うため、一見とっつきにくいイメージを持たれるかもしれません。

そこで今回はかなりザックリと、要は何をしているの?を見るところから始めましょう。


UV殺菌をごく簡単に

UV殺菌でやっていることは、その名の通り。
UVを使って、菌などを、殺しています。

陸上養殖の設備として多く使われるのは、水の通り道=配管の中に紫外線を出すライトをつけたものです。

紫外線殺菌装置の一例:ULTRABARRIER™シリーズ(https://www.tlt.co.jp/tlt/products/ultraaqua/lineup.htm#Item07)

紫外線は私たちの目には見えないサイズの微生物やウイルスに対しても影響を与え、それらが増殖したり生存したり能力を壊す(≒不活性化する)力を持っています。そんな光線を水の通り道に置くことで、通過後の水中では病原菌やウイルスが悪さできないようになるという仕組みです。

(UV殺菌の仕組みについてもっと具体的に理解したい場合は、こちらのwebサイトに非常に丁寧な解説を書いてくださっています)

UV殺菌は織田信長

陸上養殖のしくみが複雑に思われがちな理由の一つに、様々な装置が混在していることがあります。もちろん「たくさんの研究成果・技術開発の成果がコラボレーションした結晶だ!」というステキな見方もできますが、一般の目線からすると小難しさを与えてしまう側面も。

水質を浄化する方法だけでも物理ろ過、生物ろ過、泡沫分離、UV殺菌…と実に様々です。何か違いをわかりやすく表現できないだろうか。

生物ろ過や物理ろ過は、飼育水槽中で発生した有害物質をキャッチしたり変換したりすることで水質をキレイにする仕組み。一方で、紫外線殺菌は病原菌やウイルスといった有害物質の発生源を直接破壊・死滅に至らせる方法です。

そうか、UV殺菌は織田信長なんだ。

「鳴かぬなら、殺してしまえ、ホトトギス」
徹底的で、ある意味冷酷ともいえるアプローチが共通しています。特定の光を当てるだけでできてしまう、そんな革新性、合理性も共通ですね。

1人で天下は獲れない

そんなUV信長。やはり1人で水質浄化の天下を取ることは叶いません。

紫外線光を届けて殺菌するので、水が濁るほど効果を発揮しにくくなります。濁りの原因となる有機物を物理ろ過で取り除いてもらう必要があります。アンモニアなど常に発生する有害な化学物質にも対処できません。これらは生物ろ過が担ってくれます。

それぞれが役割を補い合うことで、初めて水質維持の効果を最大限に発揮できるようになる。陸上養殖の水質浄化システムはまさに「たくさんの研究成果・技術開発の成果がコラボレーションした結晶」なのです。

まとめ

  • UV殺菌は病原菌やウイルスの活動を絶って浄化する

  • 各種ろ過システムとの連携でさらに力を発揮できる

でした。

工業的な設備に近づくほど外見から機能を理解するのは難しい。一方で、ザックリとでも役割の理解を深めていくと設備同士の繋がりがよく見えてきますね。

強みを活かしあう同盟を組む。それが天下獲りに通じるイノベーションを生む近道なのかもしれません。

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