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ストレスで食べちゃう人、食べない魚

育てるを育てる。AQSimです。

「どうにも食べ過ぎてしまう…。」
そんな悩みを抱える人は少なくないでしょう。

では、こちらは?

「魚が餌を食べてくれない…。」

こちらの悩みを抱える人はぐっとニッチになると思いますが…、
魚を飼育する、とくに養殖する人にとっては重たい問題ですね。

ヒトと魚で逆のことが起こっているのに、
実はこの原因には共通部分があるのだとか。


ヒトの「感情食い」

人間が食欲を過剰にもってしまったり、あるいは失ってしまうことには様々な理由があります。

例えば、甘いものや脂肪分の多い食べ物を食べたときに脳内でドーパミンという快楽物質が出て、もっと食べたい!となってしまうのは有名ですよね。このように、私たちの身体の中ではホルモンが食欲を制御する役割を担うことがあります。

そのホルモンの1つ、「コルチゾール」はご存じでしょうか。

感情的な要因も食べ物の欲求に大きな影響を与えることが知られており、ストレス、悲しみ、怒りなどの感情が強くなると、人は快楽を得るために高カロリーで甘いものや脂肪分の多い食べ物を欲しがることがあります。この「感情食い」は、脳がストレスホルモンであるコルチゾールに反応して起こると言われています。

やけ食いとか、自分を元気づけるために美味しいものを食べよう!という行動はこのコルチゾール由来かもしれません。

ヒトとコルチゾール

このコルチゾール自体は、ストレスに対処するために重要な役割を果たすホルモンで、体内の様々な機能に影響を与えます。本来は自分の身体を脅威やストレスから守るために働く物質であり、短期的には良い効果を生みます。ただし、長い間コルチゾールが高い状態が続くのは寧ろ体に悪影響も及ぼしてしまうそうです。

例えば、短期的な働き

  • 血糖値を上昇させ、即時に利用可能なエネルギーを増やす。これにより、ストレスに対して素早く対処できるようになる

  • 肝臓で糖新生(新たな糖の生成)を促進し、血糖を維持。これにより、長時間のストレス下でもエネルギー供給が持続する。

  • 炎症を抑え、体がストレスに集中できるようにします。これは医療現場でも、炎症性疾患やアレルギー反応の治療に用いられることがあります。

長期に続くと…

  • 免疫力が低下し、感染症にかかりやすくなることがあります。

  • 記憶にも影響を与える。短期的なストレスには記憶力が一時的に向上することがあるが、長期にわたるストレスは逆に記憶力を低下させることもある。

コルチゾールが自分を守ってくれている間に、ストレスから解放してあげるように心掛けたいですね!

魚にも「感情食い」はある?

ではでは、魚にも「感情食い」のような現象はあるのでしょうか?
じつは、魚のような非哺乳類の動物にもヒトの「感情食い」と同様な行動があるかどうかは、科学的には確認されていません。

ただ、魚にもある程度のストレス反応や行動変化があるのは確かです。
魚はストレスを感じると、むしろ食欲が低下することが多いです。たとえば、捕食者の存在や環境変化(水温の急変や水質の悪化など)があると、魚は緊張状態になり、餌を食べることを避ける傾向があります。

魚はストレスを感じるとエサを食べなくなる。ということですね。

さて、
その魚の食欲を低下させるものも、実は「コルチゾール」なのです。

魚とコルチゾール

魚もストレスにさらされると、副腎に相当する器官からコルチゾールが分泌され、ストレスに対処するためのさまざまな反応を引き起こします。

しかし、ヒトに対する働きとは少々異なるもののようです。
魚は強いストレスを感じると食欲を失うことが多く、コルチゾールの影響で摂食行動が抑制されることがあります。これにより、エネルギーを節約するか、ストレス源から逃れるための行動に専念します。

生き残るために必要な身体の機能を優先する!という点はヒトと同じですが、人が「蓄えなきゃ!」と食べる一方で、魚は「食ってる場合じゃねぇ!」という反応を見せるということですね。

同じストレス、物質に起因する反応でもこれだけ行動が異なるのは実に興味深いです。

とは言え、魚もヒト同様、高コルチゾールの状態が続くのは様々な悪影響を及ぼします。免疫力の低下につながり、感染症や病気にかかるリスクが高まったり、成長や繁殖も抑制されることが知られています。

結論、魚にはそもそもストレスを与えないように気をつけることが重要になります。とりわけ、魚が早く成長してくれた方が生産性の上がる養殖業では非常に気をつかうこととなるでしょう。

「魚にストレスを与えるのは何?」というトピックについても、後日まとめていきたいと思います。

まとめ

ヒトがストレスで食べ過ぎてしまう現象も、魚がストレスでエサを食べなくなってしまう現象も、コルチゾールという共通の物質が関与していたのでした。コルチゾールはストレスに対する防御の役割を担ってくれますが、長い間解消されなければ悪影響を及ぼします。

とくに、養殖においては、魚にとっての短期的な防御反応もマイナスな働きと言えます。魚はストレスフリーに飼育することを心掛けましょう!

このほかにも、人や魚の食欲に関する話は様々あるはず。
もしよければ、本記事のコメント欄で教えてください!

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