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StageLARPの振り返り

はじめに

はじめまして、アクロと申します。
先日のStageLARPでは、1/12「ハイロフォビア」のNPC役を演じました。
(共演者の方々、観て頂いた方々、本当にありがとうございました!)

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今回はお客さんとしても全公演を楽しもうと思っていまして
少し遅くなりましたが、StageLARPの全公演を観終わりましたので
(楽しみきりました!!)
このタイミングで、自分なりの振り返りをまとめてみようと思います。

※物語のネタバレはありませんが、システムに触れている部分はあるので
 気になる方は配信を観てからご覧頂ければと思います。

1.StageLARPとは「なにもの」だったのか?

まず趣旨から振り返ってみたいと思います。
StageLARPは、はじめは LARP×インプロ と表現されていました。https://www.butaiura.com/stagelarp

自分はもともとファンタジーLARP等の経験者で
「特定の状況設定が与えられ、そこでどう行動するかは自由」
というLARPにも親しんでいたので
企画を聞いたときは、インプロとの相性は良いと思っていました。

ただ、蓋を開けてみると、もう少し難しい挑戦がそこにはありました。

今回のLARPは、MATH-GAMEさんによる
物語性の強いLARPがもとになっています。
プレイヤー自身が体験し、没入するという点は変わりませんが
より物語に重点が置かれていて、ストーリーを追っていくことで
心動かす体験が得られるコンテンツです。
(念のため書くと、自分はどちらの形式のLARPも大好きです)

したがって、ここには2つの挑戦がありました。

・LARPという「ゲーム」と、お客さんに見せる「演劇」の交差点
・シナリオの「ストーリー」と、その場で作られる「即興」の交差点

この2つのテーマが共存することで、今回のStageLARPは
よりスリリングで、チャレンジしがいのある挑戦になったように思います。
(このアイデアを思いつき、実行に移した舞台裏さんは凄い方々です)

上記2つの合流点(落とし所)を探る、というのが
稽古段階でもしばしば話題になったテーマであり
各インプロ団体さんの個性によって、様々な印象の公演が生まれた
理由だったとも思います。

※Twitterでも少し触れましたが、本当にどの公演も、それぞれ
 別の観点での見所があって、おすすめです。

2.「ゲーム」と「演劇」の交差点

さて、それぞれのテーマについて簡単に触れたいと思いますが
まずひとつ目のテーマは「ゲーム」と「演劇」が交わる部分です。

このテーマにおける重要な点は「ゲームのどの部分を再現するか」
という所かと思います。

たとえば人狼TLPTで言うと、配役やゲーム進行は通常の人狼と同じなので
誰が人狼かを推理したり、疑心暗鬼な雰囲気を楽しんだり、という部分で
お客さんも一緒になって楽しむことができます。

今回のLARPの場合、たとえば以下のような場面でゲーム性がありました。
・探索、アイテム入手
・謎解き(パスワード等)
・オークション
・戦闘
演劇として見せるという観点のみで言うと、これらは省略するか
演者任せにしてしまっても良いところですが
今回は真っ向からゲーム性を表現するということに取り組み
「GM」や「運命カード」などを用いてゲームとして処理しています。

この方法の是非は今後語られることになると思いますが
ゲームを舞台として表現する上では外せない要素だったと思いますし
必要な試みだったと思います。

今後もStageLARPが続いていくときには
より観客から分かりやすい・ワクワクするものが絞られて
ブラッシュアップされていくのだろうと思います。

3.「ストーリー」と「即興」の交差点

続いてもう一つのテーマ、「ストーリー」と「即興」が交わる部分です。
こちらについては、おそらくインプロ関係者の方々が一番詳しいとは思うのですが、僭越ながら自分目線での見解をまとめてみます。

まず大前提として、今回のLARPはシナリオがしっかり決まっていましたし、その体現者として、NPCがいました。
彼らはPCたちを物語に引き戻し、エンディングへ導く存在となっています。

一方でPCたちは、インプロバイザーの方々です。
彼らは即興で物語を紡いでいることに長けています。

つまり今回のStageLARPは、ある種、NPCとPCの引っ張り合い的な要素もあったと思います。
物語に引き込もうとするNPCと、即興で話を進めようとするPCと。
このパワーバランスの違いによっても、様々な形の公演が生まれていたと思います。

ちなみに、即興、と一言で言っても
①即興のキャラクター(ひととなり)
②即興の状況設定(直近の事情、病気など)
③即興の物語展開
などの要素がありますが、今回、どこに注力するかは
個々のインプロ団体さんに委ねられていたようで
それも見ていて違いが面白い部分でした。

顕著な例でいうと、1/16の「終局世界物語」を担当したPlatformさんは、
①のキャラクター設定や相関図については事前に決められていたようです。
その分、濃密な物語がそこには出来上がりました。
一方で、比較的エンディングの自由度が高い「あなたの全てを賭けて」では
③に挑戦する、ルールの枠に縛られない試みが散見されたように思います。

また、即興の手法としては、インプロバイザーの方が考える部分と
ハンドアウトとして最初に配られる部分とがあり
それぞれの長短があったと思うので、こちらも今後のStageLARPがあればブラッシュアップされていく部分だと思います。

※個人的な好みとしては、ハンドアウトがある方が
 キャラクターの個性づけがしやすくて、見やすい印象はありました。

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以上がStageLARPとは「なにもの」だったのか?
どういう試みだったのか?

という振り返りでした。

ここからは、今回各公演を見ていて、重要だと思った要素について
つらつらと書いていこうと思います。

4.キャラクターの個性について

イチお客さんとしての目線ですが、冒頭でキャラクターの個性が
はっきり示された方が、話を追いやすいと思いました。
(特に演劇を見慣れていない人ほどそう思ったのではないでしょうか)

どの人がどういう立場の人で、どういう目的で動いているか。
これが分かると一気に見やすさが上がった気がします。

また、個性の付け方についても
普通の人達ばかりだと盛り上がりに欠けてしまうこともありますが
尖った個性の人がいると、話が動きやすいなと。

その人のセリフから緊張感が生まれたり、その人と別の人の関係性が見所になったり、と、いい意味で見所が増えるように感じます。

実際に公演を観ていると、タイミングを見計らって不穏なセリフを差し挟むことで、うまく緊張と緩和を操作している方もいらっしゃって
凄い技だなと思ってみていました。

5.情景描写について

これは自分が演劇畑の人間でないから思うのかもしれないですが…
やっぱり、観客から見通せる木造の舞台で
状況設定を的確に伝えるというのは難しいことだと思います。
観る側の想像力や受け取り方に委ねられる所があります。

そこで、重要になるのが役者陣(NPC含む)の情景描写です。

特に顕著だったのが1/15「ハイロフォビア」のteamDICE☆kさんで、かなり情景描写の演技を行っていた印象です。
たとえば枝を振り払う動きがあれば、観ている方も、鬱蒼とした森をイメージできますし、これも匠の技だったと思います。

他の公演ですと「終局世界物語」などは
状況設定がちょっと飲み込みづらいものだったりもするので、役者の方々の演技でだいぶ補完される部分があると感じました。

6.説明のテンポについて

これまでの話とも関わりますが、たとえばキャラクター設定にしても、情景描写にしても、アイテムの説明にしても、一気に情報が出てくると
どうしてもお客さん目線としては混乱するので
なるべく一つずつ、理解する間を取って見せる、ということが、このStageLARPだと特に重要と感じました。

またPlatformさんの例になりますが
舞台上に登場する人物を意図的に絞っているような場面が散見されて、これは良いやり方だなと思いました。

特に冒頭など、一人ずつ姿が見え、ひととなりがわかっていくことで
自然に徐々に情報が入るようになっていたと思います。

#ちょっと余談ですが、インプロバイザーさんは、演技のスキルはもちろん
 演出の視点も求められる部分があるんだなーと思います。

 話を投げかけるタイミングや、見栄えの良い立ち位置、カメラの向き、
 他の人との位置関係、などなど……

 皆さん息を吐くように自然に行ってますが、これは本当に凄いことなので
 改めてインプロバイザーの方々には尊敬の念をお送りしたいと思います。

7.GMの緩急について

前述のテーマとも関わりますが、今回、GMがどのように
物語に介入していくか、という部分でもかなり
公演ごとに個性が出た部分だと思います。

GMの色を積極的に出して盛り上げていくか、
あくまで舞台装置として進行に徹するか……など。

ここは好みが分かれる部分だと思うのですが、個人的な感想としては
冒頭など、一人で語る部分は「自分が主役」となって盛り上げていき
システム的な処理に関してはテンポよく流す、というような
緩急をつけた進行だと、見やすい印象がありました。

ただ本当、皆様個性的で良かったです。

8.NPCの関わり方について

こちらも前述のテーマと関わりますが、NPCは物語の進行を担っている
「PCとはレイヤーの違う人」となっています。

そのため、どのようにPCに関わっていくか、もっと言うと
どういう第一声で入っていくか……といった所は
かなり重要なポイントだと思いました。

今回の公演だと、演じ方は大枠だと二種類あったような感じがしていて
・PCとは馴れ合わず、雰囲気を変えて進行する
パターンと
・PCと同じ目線に立ち、介入する
パターンがあったかなと思います。

前者は迫力や特別感が大事で、
後者は自然さやPCとのテンポ感が大事で。

特に顕著だったのが「終局世界物語」だと思うので
気になる方は是非是非、それぞれのNPCを見比べてほしいなと思います。

9.最後に

最後に自分個人の振り返りをしておきますが……

こういうことを、舞台前に考えておけばよかったー!! と思ってます。
(終わったからこそ見えたことも沢山ありますが)

今回のStageLARPではとにかく自分の役割を果たそう、という意識で
全体像を見て動く、動かすということはできていなかったので
もしも今後、機会があるようなら、その辺りも頑張っていきたい所存です。

あとはシンプルに演技力の差を実感する所でもありました。

自分の公演を見返して、もっと座・シトラスのPCさんを驚かせたり
観客に良い場面をお見せできたな、という場面もあったので
その辺りは、自分の反省点として、次に繋げて行きたいと思います。

ちなみに「ハイロフォビア」については自分がサイコパス系、タローさんが迫力がある直球の怖さと評されておりますので
時間のある方は是非、見比べてみるのもオススメです。

私見としては、1/15の公演の方がシナリオの想定には近く、1/12の方がイレギュラー気味なのかなと思っています。

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……と、いうことで。
非常に長くなりましたが、自分なりの振り返りでした。

周りの方はベテランの方々ばかりで、自分のような者が書くのも
恐れ多い部分も沢山ありますが、
少しでも他の公演に興味を持ってもらったり、
次のStageLARPに活かせるヒントになったりしてくれたら、これ以上の幸いはありません。

※アーカイブチケットもまだ観られますよ!
https://www.butaiura.com/stage-larp1ticket

末文になりますが、今回共演して頂いた方々、スタッフの方々、
観て頂いた方々、本当にありがとうございました。

またどこかでお会いできたら幸いです。

アクロ


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