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【考察】半イチ・本日は、お日柄もよく【7回劇場に足を運んだ人の妄察】

1.はじめに

「半径1メートルの君〜上を向いて歩こう〜」は2021年2月26日に公開された映画で、8本のショートストーリーをまとめた作品です。
今回の記事はこの作品の中でJO1 豆原一成くんと岡村隆史さんが主演した「本日は、お日柄もよく」というストーリーの考察です!かなりネタバレを含みますので、まだ見ていない方はご注意ください。

主演の一人である豆原一成くん(通称、豆ちゃん)は公開の約1年前までは普通の高校生でした。そんな子が初めて挑戦した映画に、沢山の思いを寄せて作ってくださった、脚本家の丑尾健太郎さん、監督の山内大典さん、その他スタッフの皆さん、本当にありがとうございます!初演作としてこの作品に出会えたこと、ファンの一人として大変嬉しく思っています。

・映画の詳細はこちらをご確認ください→🔗公式HP
・予告映像はこちらです→https://youtu.be/bPGv2YY6M44
・バーナーの画像はこちらから引用しております→https://twitter.com/hankei1m_movie/status/1346380919767068672?s=21

2.本題である考察〜タイトルの意味〜

ご存知の通り、タイトルは新郎新婦の新しい門出を祝うスピーチの始まりの定型文として使われます。
今回のメインの登場人物は、豆原一成くん演じる浅田弘樹(以下、弘樹)と佐久間小春(以下、小春)、岡村隆史さん演じる小春のお父さん佐久間昇(以下、お父さん)の3人。

タイトルのこの言葉には、この3人が「大切な日」に初めてそれぞれと向き合ったことで、新しく"これから"が始まる、つまり門出を迎える、そんな意味が込められていると思います。


3.ストーリーのざっくり概要

お父さんの「今日は大切な日」と言う言葉とタイトル、一方で終始暗い顔をするお父さんから発せられる「ストーカー」と言う言葉。はじめはわからなかった弘樹とお父さんの関係が、会話を重ねていくことで明かされていきますが、「大切な日」が何なのかははっきりとはわからない。

そして、最後の最後に喪服と仏壇を見せることで「大切な日」が"亡くなった日"であることがわかります。
また、「探しても見つからなかった」という言葉から、"亡くなった日"が"遭難した日"であることが推測されます。

以下、私の妄想が混じった考察である妄察が入ります。


4.弘樹とお父さんの関係性

「いつの間にか一人で山を登りに行くようになった」という言葉から、"遭難した日"も小春は一人で山登りに行ったことが推測されます。小春が1人で山登りにいき、家に帰ってこなかった日から、お父さんは来る日も来る日も、探しに登りに行っていたと思います。

はじめは元気な姿のままでいると信じ、多くの協力者と一緒に探していたと思います。しかし、時間が経つにつれて、疲労がたまり、希望が少しずつ薄れていき、同時に協力してくれる人も減っていき、信じ続ける元気がなくなっていったと思います。
そして、山登りはいつからか、自分にとって生活の一部になっていたんだと思います。それが唯一、小春を感じられるものだからです。

そこに弘樹はずっとついてきていた。
最初は交際していたとは伝えずに、小春の家庭教師の生徒とだけ伝えて協力していたのかもしれません。少しずつ気持ちを落としていくお父さんの姿を見て、『小春さんを見つけたい』という気持ちだけでなく、『お父さんを一人にはしておけない』という気持ちも芽生えていき、お父さんと山を登るようになったのではないでしょうか。

そうして、山に娘を探しにいく父親とストーカーという構図が出来上がります。
お父さんは人当たりはいいけど口下手で、弘樹を突き放すことも言ってこなかった。だけど、あの日、学生3人との出会いをきっかけに言葉にすることができたんだと思います。


5.弘樹に心開いていくお父さん

学生3人に予定を狂わされたと嘆き始めたことから、今まで感じていた弘樹への思いが少しずつ言葉になって表れていきます。

「一生お前のものにはならんのや」
この言葉を簡単に言っているように見えますが、かなり重い言葉だと思います。
娘の姿を探して山に登っているのにもかかわらず、”一生戻ってこない”と自分で言う。この言葉によって一番傷ついているのはお父さんのように思います。他人から言われていたであろう言葉を弘樹に改めて言うことで、自分にも言い聞かせているようなシーンだと思いました。

さらに弘樹への悪態を重ねていくなかで小春との思い出を振り返り、また、自分が知らなかった小春の思いを弘樹から知ることになります。

「もっとあいつと話したかった」という言葉の裏には、『もっとちゃんと本心を話し合えていれば、一人で山登りしに行くこともなかった』という後悔の気持ちがあるように思います。
当時、向き合うことができなかった小春の思いにようやくここで向き合うことができたんだと思います。だから、最後に「ごめん」と言うことができたんだと思います。

こうしてこの日、弘樹との会話を経て、お父さんはようやく3年前の小春と向き合うことができ、今まで向き合うことを避けてきた自分の悔いを許すことができたんだと思います。


6.最後に

このストーリーは三回忌の式場に向かう弘樹とお父さんで終わります。
家族ではない二人が特別な関係になって未来に向かって歩み出す、「本日は、お日柄もよく」というタイトルにはそんな意味が込められていると思います。明るい未来を表すように、二人がいなくなった部屋が真っ白な光に照らされていたのがとても印象的でした。


7.備考

上記の考察には関係のないさらなる考察をつらつらと書いていきます。

(備考1)弘樹と小春の出会いはいつなのか?

弘樹とお父さんの会話からわかるのは、

出会い ➡︎ 弘樹:高校生、小春:家庭教師
現在  ➡︎ 弘樹:大学生、小春:失踪から3年

これだけです。

個人的な希望としては、

出会い ➡︎ 弘樹:16歳、小春:19歳
遭難事故➡︎ 弘樹:17歳、小春:20歳
現在  ➡︎ 弘樹:20歳、小春:23歳(失踪から3年)

です。
進路について悩む弘樹が、両親の希望に沿わない夢を叶えたいと小春に相談して少しずつ距離を縮めていく二人を想像しています。今は、小春と夢を語り合った時に目指していた大学に通っていてほしい。

同じように妄想好きな方がいらっしゃったらご意見伺いたいです!二人の過程と、弘樹の今について語りたい。


(備考2)小春が遭難した日

小春が遭難した日、お父さんと小春が些細なことで喧嘩して、そのまま一人で山登りに行き、帰らなくなってしまったんじゃないかなと考えています。
お父さんの「ごめん」の言葉、弘樹の「小春さん、怒ってないと思います」という言葉があるので、遭難当日に喧嘩したのは確定かなあと思っています。


(備考3)小春が登山を始めたきっかけ

「悩んでいる時に山に連れて行ってくれた」と弘樹が山登りを始めたきっかけをお父さんに話した時、一瞬、お父さんが弘樹を見つめるシーンがあります。
このお父さんの行動の理由は、自分が小春に山登りを誘った時と同じだったからじゃないかなと思います。だからこそ、小春は一人で山登りしに行ってしまったのかな。
きっとお父さんにとっての山登りもまた、同じで、自分と向き合う場所じゃないかなあと思います。

(備考4)弘樹の思い

上記考察では、お父さんの心の変化に着目して書きました。では、弘樹にとってはどうなのか?ここからは本当にただの妄想で補填していきたいと思います。

結論から言うと、このストーリーでは、弘樹の心の変化は感じ取ることはできませんでした。あまりに強すぎる弘樹の愛情を感じるばかりでした。


引き出物のタオルを会ったばかりの学生に渡したり、「すみません」と繰り返したりと、垣間見えるおっちょこちょいなところが、豆ちゃんの人当たりの良さそうなお顔にぴったりですよね。まさに、毎朝おばあちゃんを助けてそうな弘樹。

その反面、自分の思いは曲げない、芯の強さも有している。
お父さんに「小春のことを忘れろ」と言われると「忘れません」と唯一反抗的に話すところが、小春への思いの強さが表れていますよね。
この後、「家ではガサツだった」と小春の話を聞くと、少しずつ顔が綻んでいき、愛おしそうな顔になる弘樹が大好きです。この顔を見てにやけない自信はないです。


「お父さんに登山を教えて欲しい」
「一人よりも二人の方が楽しいじゃないですか」
人懐っこく話す弘樹の言葉の裏には、『一人で登山をさせたくない』という気持ちがあるように感じます。そこには、一人で登山をしていなくなってしまった小春のことを思うから、同じ目に遭わせたくないという強い気持ちがあると思います。
この強い気持ちが、学生を助け、お父さんの心を開いていきます。

弘樹がいてくれることで、お父さんには光が差してるんだと思います。小春が連れてきてくれた、また別の風を入れてくれる人。


ただ、あまりにこの小春とお父さんへの気持ちが強すぎると感じています。きっと大学生活も、小春のことを考えずにはいられず、身が入らないぐらいではないでしょうか。
そうでないと、招待もされていない三回忌の前に登山に行くお父さんを見つけることができるのでしょうか。


私は、お父さんと弘樹の新しい関係ができたことで、弘樹が自分自身で未来を切り拓いていくことを願わずにはいられないです。


終わり

こんな長文を読んでいただいた方には本当に頭が上がらないです。

温かい作品が初演作品となったこと、改めて本当に嬉しく思います。豆ちゃんにとっての宝物がまた一つ増えたこと、本当に誇らしいです。
これからもみなさんと一緒に弘樹を愛していきたいと思います。

※もし新たな気づきがあれば追記していきます。

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