#3 やってみないとわからない
コロナで内定取消になったその後の話してなかったですよね。
お祈りメールが来たのは大学卒業3日前。
’’まじかあ、やっぱりそうきたか…’’
当時は、半分あきらめに近い感情がありました。
もうなに言っても内定取消という事実は変わらないということを早々に理解したわたしは、学生時代一番長かった飲食業界に戻ることを決意し、手に職をつけようと料理人になることにしました。
「ほんっっっっっっっとに人生って思い通りにならねえな!くそ!」
って思いましたよ。ええ。もちろんね。
でももうね、何がきっかけというより23年も生きてきたら人生なんか思い通りにならんものなんだと思えるもんなんですね。
まあ時間かかっても思い通りにしてやるって思ってますが。
てなわけで、ご縁があった北海道の某クラフトビール屋に新卒で入社したのです。
そもそも’’グローバルな環境で働きたい’’という願望が生まれたきっかけは、大学時代に海外の旅人たちと出会ったことでした。
その結果、’’海外で働いてみたい’’という漠然とした夢ができて、その手段としてゲストハウスで働くという発想に至ったのです。
ただその道が閉ざされてしまったからには他の手段を考えなければならない。’’食は世界共通だ!’’っていう単純な発想で、海外で働くためのひとつの武器として、料理人を目指すことに決めました。
それから約10ヶ月、必死で働きました。月6休、毎月給料のほとんどを貯金に回し、毎晩夢ノート(高校生の頃から書いている’’叶えたい夢’’をただ書き殴ったノート)を眺めていました。
コロナが明けたら…!夢のため…!と奮い立たせていたけれど、毎日鏡で見る自分の顔からは覇気がなくなっていくのがはっきりとわかりました。
やりたいことのためにやっているはずなのに、気持ちが入らない毎日。性格上、お金ではなく物事に対する熱量がないと本当に頑張れないタイプで。今考えると訳がわからないが新卒素人で副料理長。本当に頑張っていたと思う。
弱音を吐いてもしょうがない、自分で生きるためにやるしかないと思っていたので親や友達には立派なことを話していましたが、とにかく色々と限界でした。(長くなりそうなので割愛します)
そんなこんなで辞める決定的な出来事になったのはコロナのワクチンが出来たことでした。
2021年4月、わたしはいっさい予定していなかった飲食の正社員を新卒10ヶ月で辞めました。
前置きが長くなりましたが、全く予定になかった料理人という職人の世界に足を踏み入れて分かったことは、資格が全てではないということ。調理の専門学校出身の上司たちが口を揃えて言いました。
’’資格はいらない’’
好きこそモノの上手なれ。
好きなことであれば素人でもプロ並みに上手かったりするもの。あのことわざは本当だったんだ…。
やってみて気づきました。
わたしは特に料理が好きなわけじゃなかった。資格があれば強いと思った。海外で武器になるかなと思った。それだけで頑張れるタイプではなかった。
やっぱり戻らなければならない。自分が目指した世界へ。
全部やってみなければわからなかったこと。
たった10ヶ月、されど10ヶ月。たくさんの気づきを得た会社員生活だった。