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John Green「PAPER TOWNS」を読んだ

ずっと前から、あらすじすら知らない洋書を買って辞書引きまくりながら最初から最後まで読み通すことに挑戦したいと思っていた。今年に入ってからハマったPodcast「THE ANTHROPOCENE REVIEWED」があり、ホストのJohn Greenはアメリカではベストセラー作家ということで著作を読んでみることにした。

John Greenの小説で映画化されている作品として「The Fault in Our Stars」と「PAPER TOWNS」があり、初めての洋書ということでハードルを下げるべくページ数が少ない方として後者を選んだ (30ページくらいの差だけど)。

読んでから把握したあらすじ:
クェンティン・ジェイコブセン (名前の頭文字をとってあだ名は "Q")はフロリダに住む高校3年生。隣の家に住む幼なじみの女の子: マーゴに心底惚れ込んできた。「隣の家にマーゴが住んでいることは、自分の人生に起きた奇跡だ」と思うほどに。Qは歳を重ねるごとにマーゴとはだんだん疎遠になっていが、高校の卒業式を数週間後に控えたある日の夜、突然マーゴがQの部屋の窓に現れて彼に依頼をする。「今夜やりたいことが9つあるから手を貸して欲しい」と。

9つの依頼によりQとマーゴがかけがえのない時間を過ごしたその夜以降、マーゴは街から忽然と姿を消してしまう。Qは友人のベン、レーダー (っていうあだ名の同級生)と、マーゴが残した手がかりを集め、卒業式前夜、彼女がいると信じた場所へのドライブに出発する……。

本作品は上記の「9つの依頼」をこなしていく第一部、マーゴが不在となってから彼女の所在を明らかにしようともがく第二部、そして圧倒的なスピード感で綴られるロードムービーの第三部、の構成となっている。

第一部で繰り出されるいくつもの痛快で辛辣な悪戯の面白さ、長い夜のような第二部を超えて青春の煌めきが炸裂する第三部の爽快さは逸品だった。

世の中ではしばし、人とのつながりを「糸」に喩えているけど、本作では「自分たちは木の葉で、見かけ上離れていても根が繋がっている」というメタファーが登場する。糸のように繋がっている世界では、ソーシャル上でブロックしたら相手との関係は終わったように思えるかもしれない。でも実は潜在的には関係は断たれてはおらず、離れた木の葉も同じ根から吸い上げられた水で育っていくように何かを共有しているのかもしれない。それに気付けたことは大きかったと思う。

映画版は2015年にアメリカで公開され、日本で劇場公開されなかったようだけど、Disney+で配信されているのでいつか観よう。

ちなみに物語のキーになっている「著作権トラップ」についてはJohn GreenのTED動画を観るまで知らなかったんだけど、2008年でGIGAZINEの記事として紹介されている。

John GreenのTED動画はこちら。


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