見出し画像

室内ポートレートのすすめ(前編)

1. はじめに

今回は、ポートレート撮影の中でも、僕がメインとしている室内での撮影を紹介できたらと思います。
少しでもお役に立てたら嬉しいです。
今回の記事はスタジオでの1対1での撮影を想定したものとなっています。
また、この記事の次に書こうと考えている後編では、モデルの方とのコミュニケーションや料金などのやり取り、テーマの伝え方などを僕の具体例を使ってお伝えしたいと思います(需要あるのか‥?)。

もちろん撮影にあたっては、事前にこのスタジオでいいのかを話し合ってください。
それと、結構重要なポイントかと思いますが、スタジオへの入室はモデルの方とカメラマンが一緒がいいのかも事前に確認しておいてください。
隠しカメラなんかをセットする人はいないと信じたいですが、モデルの方も自衛のために入退室を一緒にしたいと考えている方も多くいると思いますので、信頼を築くためにもこのあたりは適切に。

ポートレート撮影と聞くと、まずは屋外の自然光を想像する方が多いかもしれませんが、室内でのポートレート撮影には、天候や時間帯に左右されにくいという利点はもちろん、意図的にライティングや背景をコントロールできるという大きな魅力があると思っています。
狭い部屋や限られた照明環境でも工夫次第で多彩な表現が可能です。

屋外撮影とはひと味違う、室内ならではの世界観をぜひ楽しんでみてください。

2. 室内ポートレート撮影の魅力

室内ポートレートの魅力は、光の状態を自分でコントロールしやすい点にあります。
自然光を活かす場合でも、窓辺の光をレースカーテンでやわらかくしたり、レフ板や補助ライトを使って光を足したりと、比較的自由に調整ができるかと思います。
また、室内という限られたスペースが逆に“ストーリー”を作りやすいというのもポイントです。
家具などで生活感を活かして、モデルのキャラクターをより引き立てることができるのも醍醐味かなと考えています。

さらに、天候に左右されないメリットは見逃せません。
雨天でも風が強い日でも、室内ならスケジュール通りに撮影を進めることが可能です。
天候に左右されがちな屋外撮影と比べて、安定した環境下で撮影ができるのは大きな強みと言えます。

3. 撮影準備編


3.1 機材選び

僕の場合、室内ポートレートでは、まずカメラの選択
全体的にアンダーで暗めのテーマを設けて撮影することが多いので、感度耐性と手ぶれ補正を優先してカメラ選んで持っていっています。
以前の記事でも書きましたが、現在はLEICA SL2-Sがメインです。

意図的に背景をぼかしたい場合やテーマによって異なりますが、F値を1.4や1.8の開放で撮ることはほとんどなく、背景もある程度映るF4以上で5.6や6.3などで撮ることが多いです。
(この辺は好みの問題かもしれません)
また、スタジオのどの部分でも撮れるように、レンズは24−70程度の標準ズームレンズと70−200mmの望遠、50mmの単焦点と言った組み合わせが多いです。
これだけあれば十分賄えるので、特殊なテーマでなければ僕の場合はいつもレンズは2〜3本の構成です。
(特殊なテーマでは魚眼レンズを使用することも多いです)

最初は標準ズームレンズ、いわゆるキットレンズがあれば十分かと思います。
(僕もキットレンズが大活躍です)

また、三脚や一脚を使うかどうかは状況次第ですが、スローシャッターで撮影したい場面や、ライティング機材の配置を頻繁に変えない場合などは、あると便利ですが、基本的には手持ちが多いです。

↓これは三脚を使用しての例ですが、横から持参したブロワーで髪に風を当てながらリモートシャッターで撮影しました。
(髪に動きを出したければ小型の扇風機でもいいと思います)

屋外よりも計算して髪に動きを出せるのも室内の強みかと思います

3.2 背景と小物

部屋の壁紙や布を背景に使うだけでなく、カーテンやインテリアなどを活かすと、より自然な雰囲気を作り出せるかと思います。
小物を使う場合は、モデルの方の個性や撮りたい世界観に合わせるのがポイントなので、「違和感のないものを」と思うのであれば、モデルの方に実際に使っているものを持ってきてもらうのもありかと思います。

ただ、こちらも僕の場合ですが、あまり小物に気を取られるくらいなら、モデルの方のみで勝負したいのが本音です。
モデルの方だけで十分素敵な写真が撮れるので、小物を必要とするテーマでなければ、僕はほとんど小物を使わないスタイルです。
(ただ「かわいい」って感じの写真が撮りたいと思うなら小物たくさんも全然ありだと思います)

3.3 照明

室内でのポートレート撮影で最も重要なのがライティングだと思います。
自然光を最大限に活かすなら窓の近くで撮るのがおすすめですが、曇天や夕方など光量が足りないと感じる場合は、LEDライトを絶賛お勧めします。
見たままの状態で撮影をできるので、微調整を繰り返しながらの撮影も簡単で、特に始めて間もない方ほどLEDがおすすめです。
持ち運びが大変なのが難点ですが、そこは筋トレでなんとかしましょう!w

既出の記事ですが、参考に僕が使っているライティング機材を紹介していますのでこちらも是非。

4. 撮影実践編

4.1 ポージングと演出

ここが一番難しくて一番楽しいところ。
室内撮影では、屋外よりもモデルの方の動きが制限されがちかと思います。
座りポーズやもたれかかるポーズなど、スペースをうまく使った動きを意識すると良いかと思います。
ソファなどがあればいいですが、床に寝てもらうようなポージングをお願いする時は事前に購入しておいた布などを必ず持っていくようにしています。
自分の撮りたいテーマに合わせた色を用意できるのはもちろんですが、「床に寝て」って言われてもなんか汚いかもで嫌ですよね?って話しもあるので、その辺りは気を使いましょう。
僕はユザワヤで定期的に2m×2mくらいの布を買い込んでいます。
(レースのものとかもあって、何時間も選んでられます‥笑)

スタジオの感じにもよりますが、撮れそうな場所がいくつもある場合は、露出の設定や雰囲気を確かめながら撮影し。
その中でモデルの方がより魅力的に写る場所や、テーマにあった場所で何回も重ねて撮るのがいいかと思います。
様々な表情やポーズを試していただき、より良いものを目指していくような感じです。

4.2 モデルの方とのコミュニケーション

ここは一番重要な部分だと思います。
屋内での撮影は、モデルの方との距離が近くなるため、緊張を和らげるちょっとした会話や音楽の演出が効果的です。
(僕は、いつも小型のBluetoothスピーカーを持って行き、モデルの方が好きな音楽を流せるように準備しています)

初対面のモデルなら、撮影前に撮りたいイメージの共有をしておくと、互いにスムーズなのは言うまでもありませんが、何度も撮影している方でも、事前にテーマをお伝えして、合った衣装などを用意いただくのも重要かと思います。

僕の場合は、撮影が2時間ならテーマや各カットの説明に1時間はかけていると思います。
それ以外のカメラを構えている時間も常に話をしていることが多いです。
ポーズや視線の位置だけでなく、素敵な写真が撮れればその分素敵だったことを伝えるようにします。
褒められて嫌なことはないと思うので、過剰にならないバランスで声をかけることが重要かと思います。
もちろん全てである必要はないですが、撮ったものをその場で確認していただきながら話すのも、次のポージングの改善にもつながるので積極的に。

ただ、テーマによっては役になりきってもらうようなケースもあるので、その場合は必要な指示出しにとどめ、間に入れる休憩でいろいろと話すようにしています。

説明するのが難しいですが、このあたりはバランス感覚を大切に。

ずっと黙って撮り続ける人もいるかもしれませんが、会話するのも楽しいと思いませんか?
一緒に何かを作り上げるのなら、モデルの方の意見や考えも積極的に取り入れながら撮影してみるのも楽しいと思います。

また、ポージングを指示する際は、「あごを少し引いてみましょう」「体重を左足に乗せてみてください」のように、シンプルで分かりやすい声かけをするのがポイントかなと思います。
一度に多くの指示を出すと混乱するので小刻みに修正していくイメージで。

長くなってしまったので、続きは後編で。

後編ではカメラの設定と現像、モデルの方とのポージング以外のコミュニケーションの続きについて。

続きは後半で



いいなと思ったら応援しよう!