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美術展へ② 「石川九楊大全」展

先週、「石川九楊大全」展(上野の森美術館)へ。
石川九楊(1945- )、書道家。
「書は言葉の表現であり、ゆえに書は文学である」

初めて目にした作品は、このような表現があるのか、と衝撃だった。日本語による文章が文字で書かれているのだが、新しい世界観だった。文字が純粋な記号、表象として生まれ変わっているのを見た。

私は修士で、大戦後のフランスの抽象絵画と戦後日本の抽象芸術の交流について研究を進めている。その中で、戦後の前衛書についての研究に取り掛かっている。私は書道は全くを持って不案内である。それこそ小学生の頃の2年ぐらい通った書道教室の記憶があるくらいである。そこで、先日は「毎日書道展」(新国立美術館)に行き、多くの書道作品を体感してきた。2万点を超える作品群であったが、白と黒の世界は静かでありながら、息づいていた。滑らかに、力強く、時に激しく、また、時に妖艶である。日本の「書」という芸術、その画面の表象は美しいと改めて感じた。

そして、間を空けずに「石川九楊大全」展へ行った。同じ紙と墨で描かれた「書」ではあるが、全く異なるものだった。「記号」という言葉を使ったが、ちょっと違うような気がする。墨で描かれた文字は有機的に語りかけてくる。もう「記号」ではない。耳ではなく、目で音を感じるような。自分の表現力の至らなさを痛感する。

新しく、衝撃的な出会いだった。


「石川九楊大全」展 上野の森美術館
石川九楊 絵葉書 左「2001年9月11日晴垂直線と水平線の物語Ⅰ (中)」右・「エロイ・エロイ・ラマサバクタニ」



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