芸術学コース レポートを書いてみる②−2「文献課題」を書いてみる
今回は、文献を読んでレポートにする、という課題についてです。私の卒論では、前に投稿した「作品課題」レポートと、この「文献課題」レポートが合わさった形です。まずは、対象作品の徹底的なディスクリプション、そして、先行研究文献の読み込み、これが美術史の卒業論文では下準備となります。
まずは、レポート構成を以下のように考えました。
文献の要約
文献の観点「どのような立場をとっているか」
文献の観点に対する自分の意見
自分が見出した新知見
これらを規定の文字数に配分します。最初はザクっと四等分で考えてみます。
1文献の要約:まずは、全体を読みます。①どんなテーマが、②どんな構成で③どのような事例で書かれているか。筆者は④どのように結論づけているかを確認します。そして、私は段落ごとにまとめていきます。キーワード、多く使われている言葉をチェックし、わからない言葉はネットや他の書籍に当たります。
この作業に一番時間がかかります。
2筆者の観点:①どの方向から、②どのようにみているか、③どのような問題提起、反駁があるか、を捉えます。
3自分の観点:2で提示された筆者の観点に対して自分はどのように感じるのかをまとめます。その上で、他の文献を見ていきます。他の文献にあたるのを2の時点でやってもいいかもしれませんが、私は、純粋な私の視点を確認してみたいこともあって、まずは、課題文献から考えてみて、その後に他の文献にあたっています。
4新知見:3の上で、では、自分のオリジナリティある知見とはどんなものかを考えて、提示します。3で考えたことの大半は他文献で展開されていたりして、「そうですよね・・・」という気持ちにもなりますが、そこで挫けずに小さな「違い」を見つけ出します。新知見はどんなに小さくてもいいと思っています。このような課題レポートでそんな大きな発見があることなんてないでしょうから。大切なのはよくよく考えて、こねくり回してみることかと思います。
【本日のまとめ】
文献レポートは、言うまでもなく、まずは文献をしっかり理解することが大切です。その文献の内容と研究者の考えを他の人に語れるくらいになっているのがベストでしょう。
そして、比較できる他文献が自身の「小さな新知見」をサポートしてくれます。まずは文献内からキーワードを集めて、それを広げていきながら検索していくようにしています。課題レポートであればそんなに多くの文献は必要ないかもしれませんが、3、4個比較できると書きやすいように思いました。
自分の興味のないテーマですと少々初動がつらくもなりますが、逆に小さな部分で語れるようになる面白さもあります。文献を読み込むトレーニングにもなり、出来上がった後の満足度が高い課題のように思います。